多摩爺の「時のつれづれ(文月の21)」
ワクチンの供給量と接種率
4度目となる緊急事態宣言発令を踏まえ、コロナ対策担当大臣が、
「休業要請に応じない店については、
金融機関と情報を共有しながら順守の働きかけを行っていく。」と発言したもんだから、
飲食業だけではなく、国家権力の弱い者イジメであり、憲法違反であるとの批判が起こってしまった。
担当大臣の発言は、確かに問題発言であり、非難の誹りは免れず、
既に撤回したといっても・・・ 敵を作り過ぎたことから、
そう簡単に分りましたとは行かないだろう。
とはいえ緊急事態宣言がだされ、
飲食店の営業時間や、お酒の提供に自粛が要請されているにも拘わらず、
「そんなことは、知ったことではない。」と言い、平然と夜遅くまでお酒を提供する飲食店に対し、
「それはダメだよ。」という識者が一人もいないというのも、それはそれで大問題ではなかろうか?
むしろ、そちらの方が現時点の闇であり、
事の本質であって、問題点の一丁目一番地だと思うが、いかがなものだろうか?
この国のメディアは、コロナ禍に陥った一年半、
緊急事態宣言がだされると、飲食店がやっていけないと騒ぎ、
緊急事態宣言を解除しようとすると、こんどは医療関係者がやっていけないといって騒いできた。
メディアに登場する、お抱えの医療従事者は、
したり顔で・・・ 自分が正しく、政策が間違ってるとの持論を展開し、
それを医療や経済に関する専門知識を持っていない芸能人や、コメンテーターが煽り立て、
政治の責任で、国民が右往左往してると決めつけ・・・ それを楽しんでいるかのように、
対策への働きかけをすることもなく、目先の1点だけにフォーカスして、
政府は無策だというイメージを作り上げてしまった。
それでもって・・・ 内閣の支持率が低下したことを、まるで勝ち誇ったかのように揶揄し、
自治体によって、ワクチンが不足していることについても、
ワクチン担当大臣や、厚労大臣の説明よりも、自分たちが作り上げた仮説を正当化して、
公共の電波で垂れ流すのだから、この国のメディアは政局にしか興味ないことがハッキリしている。
これはあくまでも、理屈の上というか・・・ 机上での試算になるが、
昨日現在の、ワクチン1回接種者は約3,850万人で、
全人口(約1億2,550万人)に占める接種率は約31%である。
ワクチン担当大臣は、これに接種券を持たない学生などの若者に加え、
纏めてVRSに投入するために漏れている接種者が、約500万人いると言うので、
これを加算すると1回接種者は約4,350万人となり、接種率は約35%となる。
ワクチン担当大臣がいってるように、
毎日120万件(4,350万人/120万人≓36日)程度で接種が進めば、
いまから36日後(8月20日ごろ)には、ワクチン1回接種者は約70%に達し、
それから3週間後(9月10日過ぎ)には、ワクチン2回接種者も約70%になることから、
余程ワクチン不足がない限り、アメリカやイギリスのように、
我が国も集団免疫を獲得することができるのである。
さらに、いまは高齢者の接種が先行してるが、
自治体によっては高齢者向けは、既に頭打ちに近づいており、
今後65歳以下の層への接種が進み、接種者の年代構成のバランスがとれてくれば、
一定数の感染者はあっても、日々の感染者数は落ち着きを見せ始め、
重症者が格段に減ってくるのではなかろうか?
偶然かどうかは分らないが・・・ 政府が東京都に発した、8月22日までの緊急事態宣言の期間は、
それまでに、にっちもさっちも行かないぐらいデルタ株がまん延し、
オリパラで海外から大量の感染者が流入しない限り、
最後の緊急事態にしたいという、総理の言葉は・・・ まんざらではないと思うがどうだろう?
政府が数字を使って、キチンと言って説明すれば、納得する人も多いと思うんだが、
あくまでも推測の話であって、そのようにしたい希望的な観測だから、
言質を取られることを極端に嫌う政府は・・・ そういった説明をすることはない。
また、ワクチン接種は、全人口に対する接種率が約31%だから、
峠を越すのはまだ先のように見えるが、
担当大臣によれば、6月末の時点で、ファイザー製は、1億9,000万回分の契約のうち、
1億回分(5,000万人)は既に配送されており、
モデルナも1,000万回分(500万人)も接種機関にあることから、
いまがまさに峠(ピーク)であり、あとは無駄がないように接種を終えて、
どうやって終息させていくのかが課題となってくる。
この戦(いくさ)は・・・ 接種希望者がいれば、ワクチンが足りないからといって、
接種を拒むようなハードランディングができないという・・・ 難題を抱えており、
この難題をクリアするためには、大変申し訳ないと思うが、
自治体からの要求数に「はい、わかりました。」とは言えず、
お上が供給量をコントロールしなければ、ソフトランディングさせることができないのである。
なにが言いたいのかと言えば・・・ ワクチンは潤沢にあるわけではなく、
必要数しかないということであって、後々に廃棄になるような無駄を作ることができず、
タイミングをみて、お上がコントロールしなければ、
どこかで不足して、泣くような自治体が出てくるのである。
いま各自治体が、声を上げて騒ぐように、幾つ必要だから送れと騒いでも、
そこに含まれている必要数のプラスアルファ(予備)を集計すれば、
それだけで契約数を超えてくるだろう。
特に経済圏(仕事)と生活圏が異なる首都圏や近畿圏では、
自治体の人口と接種人口が大きく異なる可能性も出てくるため、
そういった自治体で個別接種を主として、集団接種を控えめにすれば、
自治体内で接種する人数の目論みは大きく違ってくる。
ワクチンが潤沢ならば、余った物は廃棄すれば良いので、それも有りなんだろうが、
必要数しかないとなると、峠に達した今から、
配送数量の調整が必要となってくるのはだれにでも分ることだ。
まだまだ先のように見えて・・・ ワクチンの供給量は、
既に中盤から終盤に向かおうとしているのである。
自治体には、自治体の言い分があることは分るが、いま一度冷静になってほしい。
ワクチンは潤沢にあるわけではなく、必要数しかないことを改めて認識すべきではなかろうか?
「トップギアに入ったスピードは落とせない。」は、正論だが・・・ 早い者勝ちではない。
いまは既に、スピードを上げる視点から、人口に見合うワクチンの供給に目途が立ったことを踏まえ、
着地点(10月中)に向かって、
どうやってソフトランディング(希望者全員へ接種)させていくのか、
政府の視点は・・・ そちらに移っているのではなかろうか?
なんども言って申し訳ないが、
ワクチンは必要数しかなく、潤沢でないんだから、
供給量がピークに達したならば、供給のバランス調整するしかない。
それが、いまこのタイミングなんだと思う。
楽観的過ぎるとの批判は・・・ あると思うが、
客観的にみてみれば、長かったトンネルの出口が見えてきている。
あとひと踏ん張り、あとひと踏ん張りだから・・・ 頑張ろうじゃないか。
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