人生を棒に振るアスリートたち

多摩爺の「時のつれづれ（文月の５２）」
人生を棒に振るアスリートたち

あと１週間経てば、待ちに待ったパリ・オリンピックが始まるというのに、
ここに来て立て続けに、現役アスリートや元アスリートの信じがたいような失態が続いている。

昨日の午後、パリ・オリンピックを控えて代表合宿に参加していた、
女子体操のエースであり、チームの主将を任されていた、大学２年生の女子体操選手（１９歳）の、
喫煙が発覚し、事情聴取したところ飲酒していたことも分かり、
代表行動規範に違反したとして、代表辞退の申し出があったことが発表された。

この国に生まれて住む者なら、誰もが知っているとおり、
１８歳で成人だが、喫煙と飲酒は２０歳からだと・・・　法律で決まっており、
代表行動規範云々と云う前に、法律に違反していたことになる。

然は然り乍ら（さはさりながら）・・・　１９歳という微妙な年齢と、
協会サイドの「これはこうあるべき」的な対応が、今の時代それで良いのかという視点もあり、
考え方は人それぞれだが、個人的には選手個人の将来を考慮し、
事態の炎上を極力抑えるためにも、始末書の提出を求めて、厳重注意で良いと思っている。

しかし、そうなってないところを見ると、
例えば常習性があったとか、チーム内のミュニケーションに問題があったとか、
表には出せない、なにかしらの理由があったのではと推察できるが、
体操協会がそれに言及しなかったということは、それなりの温情なのかもしれない。

事の発端が内部通報だったと発表しているところに・・・　着目すれば、
チーム内のコミュニケーションが、すでに崩壊していたことが見て取れるので、
大変残念だが・・・　おそらく、そういうことだったんだろう。

人の粗を詮索するのは好みじゃないので、これ以上の突っ込みは止めとくが、
積み上げてきた栄光を、いとも簡単に捨ててしまい、
下手すりゃ、今後の人生までも棒に振るかもしれないというのに、
煙草と酒に逃げた１９歳のアスリートに気づき、諫める者が居なかったことが、残念でならない。

そして、もう一つ残念なのは、オリンピックへのエントリーがすでに締め切られており、
病気やケガでない限り、補欠選手の繰り上がりが認められないことだろう。
こちらもまた、残念で堪らないが・・・　登録されている選手の活躍を、祈念するしかないだろう。

また、先週には昨年サムライブルー（サッカー日本代表）に選ばれたことがあって、
ドイツリーグへの移籍が決まっていた、期待の若手（２３歳）が、
あろうことか・・・　不同意性行をやったとして逮捕されてしまった。

認めたとも、認めてないとも、その後の情報が出てないので、ハッキリしたことは分からないが、
不同意性行の罪は、執行猶予がつかない実刑になる可能性が高く、
もしそうなれば、海外移籍もなくなり、ペナルティや慰謝料が発生してしまい、
スポンサーが付いていれば違約金を請求されるので、待っているのは借金地獄になりそうである。

さらに、このことが原因かどうかは分からないが、
来週からパリ・オリンピックに挑む、Ｕ－２３日本代表のバックアップメンバーに選出されていた、
彼の弟（２０歳）が、今週に入って招集を見送られており、
もし、そういった背景が影響したとすれば・・・　残念だが、家族まで巻き込んでしまった。

一般的には「弟は関係なんだろ！」なんだが、世間の目はそうならないことから、
こればっかりは気の毒の極みだと思うが、如何ともし難いだろう。

そしてトドメの一撃は、元オリンピックメダリストの国会議員が、
秘書に香典を持たせたという大失態（公職選挙法違反）をやらかしてしまったことである。

公職選挙法では、議員本人が葬儀に参列する場合に限って、
香典を包むことは認められているが、秘書に香典を持たせたらアウトになることも知らないで、
いったい、何年議員をやっていたのだろうか？
言っちゃ悪いが・・・　自爆であり、バカ丸出しである。

事案は三者三様であり、総てのアスリートがそうだとも思わないし、
それで、今後の人生を棒に振るのも、人それぞれであって、自由ではあるが、
ちょっと考えたら分かる事なのに・・・　いったい、なにを考えていたのだろうか？

競技に挑むため、試合を勝ち抜くため・・・　ギリギリまで追い込んで、
心と体を鍛えるのは理解するものの、厳しい物言いになって、大変に申し訳ないが、
ものごとを思考し、善悪や正邪を判断する脳みそまで鍛えて、
筋肉にしてしまう必要はないと思うが・・・　如何なものだろうか？

アスリートでもなかった年寄りが、生意気なことを言うつもりはないが、
努力して積み上げてきた栄光を、いとも簡単に捨ててしまい、人生を棒に振っていることが、
あまりにも勿体なくて・・・　残念で堪らない。