多摩爺の「時のつれづれ(霜月の20)」
人生は後半戦が面白い。
本人に言ったら叱られてしまうが・・・ うちの女房は、おっとりした性格で、
じれったいほどではないが、家事も化粧も身支度にも・・・ 少し時間がかかるタイプである。
2歳年下の女房の妹は、何事にもテキパキとそつなく動き、
横になるのは、寝るときと死ぬときみたいなタイプで、
止まることなく、高速で大海を突っ走るマグロのような女性である。
また、うちの母も同様で・・・ 行動力の素早さは、息子の私でも理解できないぐらいで、
晩酌して、ゆっくりメシを食ってると、目の前で洗い物を始める気の短さだからまいってしまう。
洗濯だって、干す位置と干し方に拘りがあって、
手伝っても、必ず後から手が入るので・・・ 女房でさえも、手伝うことに戸惑っていた。
この二人に共通しているのは・・・ 次女ということである。(それとB型)
長子には目の前に真似るような目標がないが・・・ 二番目には目の前に目標があるので、
幼いときから、それを超えようとする闘争本能が磨かれているのかもしれない。
そういえばお袋の姉も、おっとり型で、行動パターンは女房によく似ている。
こればっかりは、万人に当てはまるものではないが・・・ ふと、そんなことを思っていた。
おっとりタイプと、猪突猛進タイプのどちらが良いとか、悪いとか言いたいのではないが、
ただ一つ言えるのは・・・ 女房が、おっとりタイプだったからこそ、
知的障がいがあって、なにをやっても必ずといって良いほど失敗を繰り返す娘を、
怒ることなく、長い時間をかけて向き合いながら・・・ 育てることが出来たんだと思っている。
同じことを何度も何度も説明しながら、丁寧に諭している姿を40年も見続けてきたんだから、
多少焦れったいことがあっても・・・ もうそれだけで、
私は女房に頭が上がらないし、尊敬に値している。
そんな強い女房が・・・ まさか、コロナうつを患うとは思いもしなかった。
今度は私が女房と向き合いながら、話し相手(聞き役)になって、家事をするのかなと思うと、
あれほど面倒くさかった家事が、全く持って苦にならないのだから・・・ どうしちゃったんだろう?
女房の視点でみたら、私の家事に不満があることは薄々分っている。
しかし、最初から100点はないからと言って、私のミスを見逃してくれている。
その優しさに触れるたび、人間っていう生き物は、感情の生き物だから、
誉められて、煽てられて育つことを・・・ 改めて理解し、納得せざる得ない。
どうでも良くて、見落としがちな、小さな行動に気づかせてもらうだけで、
目の前がパッと明るくなり、視界が広がるんだから・・・ 女房の着眼点には適わない。
山本周五郎の晩年の名作「ながい坂」に次のような一説がある。(ある新聞に載っていた。)
「伴(つ)れ添う者に身も心も任せ、安心して幸不幸をともにしようとする女の姿ほど、
いじらしく愛らしいものはない。
この平凡な分かりきったところから、男のもっとも男らしい働きが生れるのだ。」
夫婦の在り方とは・・・
いまある環境に、お互いが順応することなんだと思った。
下り坂を歩き始めたら、
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、ちょっとだけ我儘に・・・ 人生は後半戦が面白い。
薄皮を剥ぐように・・・ 日常と、元気を取り戻しつつある女房に、
気持ちと、言葉と、行動の助け船を出しながら、
少し離れた場所から、目を細めながら眺めているのが・・・ いまの自分だ。
別に監視したいと思ってるわけじゃないが、
ここんとこ、落ち着きを取り戻していることが嬉しい。
焦らず、慌てず、ちょっとだけ我儘にできたら・・・ それで良い。
「桜梅桃李(おうばいとうり)」という言葉が・・・ 私は好きだ。
人には、その人にしかない生き方がある。
半生を振り返ってみると・・・ たくさんの教訓に出会っていた。
しかし、どれ一つをとっても、万人にあてはまるものはない。
教訓にするか否かは、自分自身の選択だと捉えたら、焦ることも、慌てることもないだろう。
まさに、それこそが・・・ 「桜梅桃李」なんだと思う。
ブログを通して為になることを教えていただきありがとうございます。
夫は私のことどう思って見てるかはほぼ分かっている。、、つもりです。が(笑)
とにかく こちらも後半も後半の人生です! 仲良く一緒に日々過ごしていきたいと願ってます。
いつもありがとうございます。
もっと早く、女房に寄り添えていたら良かったのにと思いますが、年を重ねないと分らないことがあるんでしょうね。
地震、雷、火事、親父なんて昔のことで、いまじゃ・・・ 炊事、洗濯、家事、親父です。
既に13年もお釣りなんです。
だから、今は、百歩譲っても、表現的には、終盤戦かな?
第三コーナーはとっくに周っているイメージ。
良い奥様に恵まれましたね。
くちこみたいなキチキチしていて、自己中で、短気で完璧主義な妻だと、母親だと、夫や子供は苦労の山ですよ。
こちらは、サメ氏が鉈タイプ。
くちこがカミソリタイプ。
カミソリは、密かに、鉈の鈍感さにイラつきつつも、どれ以上に救われています。
人間は自分にないものを持ってる人が気になり、惹かれて縁があるんだと思います。
運良く夫婦になったら、持ちつ持たれつで、互いの得意分野で補完し合えれば、それで良いと思ってて、
私には良くできた女房だと感謝しています。
健康でいてくれて、私より長生きしてくれれば、お金が少し足りないこと以外は、いまの生活に文句はありません。