多摩爺の「時のつれづれ(長月の47)」
タブーに挑んだ朝ドラ
NHKの朝ドラ「虎に翼」が・・・ いよいよ大詰めに入った。
この国初めての女性弁護士で、のちに裁判官を務めた方のオリジナルストーリーで、
多少はデフォルメされた部分があったと思われるが、
進行の時代背景が史実に沿っていて、歴史好きの私たち夫婦は、毎日楽しく見せていただいている。
特に注目に値すると思ったのは、お堅いイメージの国営放送(NHK)が、
主人公が口癖のように問いかける・・・ 「はて?」の言葉から、
口にすることが憚られたり、できることなら避けて通りたいような、
当時も今も、人の心に内在しているタブーに・・・ 果敢にチャレンジしたことだろう。
女性の生理痛、在日朝鮮人トラブル、男女の働き方、同性愛、選択的夫婦別姓、認知症などについて、
見ている者に向けて・・・ 「あなたはどう思う? あなたならどうする?」と、
人としての良識や、価値観について、問いかけてる場面がでてくるたびに、
自然体で感情移入してしまい、女房と言葉を交わすことが幾度となくあった。
極めつけは。国民の皆が知ってるようで知らない・・・ 原爆は戦争犯罪か否かについて、
多くの被爆者がいて、悩み苦しんでいるという現実が、目の前にあることを踏まえ、
法律に記された言葉の解釈と、人として必要不可欠な良識がせめぎ合う姿を、
敗戦国という立場から天秤に乗せたら・・・ どちらに傾くのだろうかと、問いかけたことだろう。
すでに答えは出ていて、その結末は学生時代に学んではいるものの、
頭の片隅に残っているようで、いまやすっかり忘れてしまった・・・ 大事な大事な史実を、
原告と被告がどのような論争していたのか、どこまでが史実どおりかどうかは分からないものの、
そういったシチュエーションの設定が、ずしりとハートに突き刺さり、
これはもう、なんていうか・・・ 見ていて得したような高揚感が溢れてくる。
ただ・・・ 時代が昭和30年代の前半だということにフォーカスすれば、
平成から令和の時代になってから注目され始めた諸課題に、視点が飛躍し過ぎていて、
いささか胡散臭さを感じつつも、巧みにウケを狙った脚本家の狙いに、
ものの見事に嵌められた感が否めないことは・・・ 記しておかねばならないだろう。
この国で学ぶ歴史教育で、唯一疎かにされ続けてきた史実を挙げるとすれば、
それは近代史であり、昭和史ではなかろうか?
特に戦前、戦中、戦後については、学年末の三学期に超特急で学んだ記憶しかなくて、
キーワードになる出来事だけ覚えておけば、それで良い程度の授業だったような気がしないでもない。
そういった意味では、歴史にその名を刻んだ人物の半生を描いた、
「ブギウギ」、「らんまん」、「エール」、「まんぷく」などの朝ドラは、まさに昭和史であり、
いまこの歳になって再び学ぶ歴史の教科書といっても・・・ 過言ではないだろう。
さて、「虎と翼」の結末は、いったいどうなるのだろうか?
残すところ、3週間と少しになったが・・・ 楽しみにしたいと思う。
追伸
全くもっての余談になるが・・・ 記憶が確かなら、
私の故郷である、山口を舞台にした朝ドラが三つあったので、併せて紹介しておきたい。
一つ目は、50年前に上関町(柳井市の南)の向かいにある、瀬戸内海に浮かぶ長島を舞台にした、
被爆孤児の半生をドラマ化した、斎藤こず恵さんと藤田美保子さんが主演した「鳩子の海」で、
二つ目は、萩市に生まれ育ったのちに、宝塚歌劇団で活躍した、紺野美沙子さん主演の「虹を織る」、
三つ目は、亡き義母の故郷でもある長門市青海島からドラマが始まった、
渡辺梓さんが主演した「和っこの金メダル」である。
いずれも30年から50年も前の作品であり、時代背景が昭和20年代から30年代だから、
戦前、戦中、戦後の昭和史を知るには、欠かせない作品だが、
地デジ対応じゃないため画面が荒くて、再放送を願うのは無理かもしれない。
いま時代に改めて振り返ってみたら、また新たな気づきがあると思うが・・・ 残念でならない。
本当に今回の朝ドラは今迄の作品と一線を画していましたね。毎日楽しみに視聴しました。ご本人に近い方々が生きておられるので、難しい点もあったと思います。ブログに書かれた事に同感しています。
ご夫婦でドラマの感想や考え方を話し合われるなんて、本当に素晴らしいと思います。いつも仲良しご夫妻で良いなーと思っています。あと少しで最終回。最後迄楽しみに視聴したいと思います。 なおとも
昨夜は早く床に就いていて、コメントを先ほど読ませていただきました。
年金生活に入り、いきなりのコロナ禍、そして女房のコロナ鬱でしたから、
家事手伝いをしながら意識して女房との会話を増やしてきました。
いまじゃすっかり家事手伝いもベテランで、炊事は女房ですが、掃除、洗濯、皿洗いは私の仕事になりましたが、
時間が来れば体が動くので、最近は女房のご指導を賜ることもなく、夫婦関係は極めて良好だと思います。
二人の孫が社会人になるまでは、なんとしてでも元気で頑張らなきゃと思っています。
わたしは初めて朝ドラを見続けています。
と言っても録画ですが。
そして毎週必ず金曜日にはもれなく泣かされてしまいます。
お母様は青海島のご出身なのですすね。
何度か訪れたことがあります。
昔のままの本屋さんとか金子みすゞ鈴木記念館とか。
海が綺麗で素敵なところですよね✨lily
鈴木って言う文字が入っていますが入力ミスです。
そうなんです。
義母は青海島の出身です。
女房は夏休みやお正月に、母の実家に遊びに行くときは、小学校までは橋がなかったので船だったと言ってました。
いまでは従姉が後を継いでいるので、ときおりお邪魔させてもらっています。
また、金子みすゞ記念館の近くに従妹がいて、帰郷する度に女房の実家(長門市俵山)に遊びに来てくれています。
懐かしい故郷の光景を思い浮かべるコメントをいただき嬉しく思います。
ありがとうございました。