多摩爺の「時のつれづれ(卯月の32)
外交って、そんなものだから
先月の末、製薬会社の幹部社員が、スパイ容疑をかけられ大陸で逮捕されると、
外務大臣が即座に反応して・・・ 大陸に飛ぶと、
大陸の外交トップである政治局員や、ナンバー2の首相との会談を行った。
その結果は、両国が言いたいことを言い合ったというか、
罵り合いに近いような応酬を繰り返し・・・ 平行線を辿ったらしい。
外務大臣が、自ら率先して出かけて行ったにも拘わらず、
外交の場では、半導体製造装置の輸出規制に関して、大陸の外務大臣から、
「悪人(アメリカ)の手先として働いてはならず、封じ込めは自立自強の決心を強めるだけだ。」と、
常軌を逸した言葉で・・・ 恫喝されてしまった。
こういった状況をみて、この国の外交力の弱さを嘆く声が多く上がっているが、
では・・・ 外務省のトップに、いったいなにを期待したのだろうか?
逮捕された製薬会社の幹部社員が即座に開放され、
連れて帰ってくることができるとでも、思っていたのだろうか?
もし、そう思っていたのなら、大変申し訳ないが、おめでたいとしか言いようがない。
少し前に「然は然り乍ら・・・ 防衛費」とのタイトルで記したが、
かの国は、この国の背後にチラつく圧力(防衛力や日米安保)を見極め、
寸止めと、恫喝を平然と使い分けてくる・・・ ならず者である。
そんな、国家に乗り込ん行って、完全アウェーのなかで、
しかも・・・ 背後にチラつく圧力に圧倒的な差がありながら、
不当なことを不当だと・・・ ガチンコで訴え、
わけも分らず逮捕されてしまった、民間企業の幹部社員の即時開放を求めたのである。
個人的な思いとしては、大陸に乗り込んで行ったことに意義があり、
けっして引くことなく、頭を下げることもなく、
パンチの応酬を繰り広げたことに・・・ 意義があったと思っているし、
大陸よりといわれる大臣が、怒りを隠すことなく対峙したことに、大きな意義があったと思っている。
さらに、そんななかで・・・ 大陸では外務大臣より格上の外交トップから、
外交儀礼とはいえ「古い友人」だとの、おべんちゃら(お世辞)を引き出したことは、
無視できない存在だと認めさせたことに、等しいと思うがどうだろう?
一般論で言えば・・・ 成果が形で見えない外交は、成功したとはいえないだろう。
とはいえ・・・ 不当なことは不当だと、言葉を濁すことなくハッキリ伝えることが出来たし、
先にこの国の政府が発表した、半導体製造装置の輸出規制が、
取引の材料にはならないと、面と向かって示したことに・・・ 大きな意味があったと思う。
外野席の野次馬から見れば、成果が形として出なかったことは、不本意の極みだと思うものの、
この国の大臣の背後にチラつくものが・・・ 相手が気になるぐらい強化されれば、
違った答えがあったのかもしれないが、
外交って、そんなものだから・・・ 過度の期待をすると、虚しくなるだけではなかろうか?
極論かもしれないが・・・ 面と向き合ったとき、背後にチラつくものが均衡しないと、
議論は噛み合わないし、妥協点まで辿りつかないことが・・・ ハッキリ分ったのではなかろうか?
仮に背後にチラつくものが均衡していたら、常軌を逸した恫喝はきっとなかったと思うし、
そもそも、不当な逮捕そのものがなかったかもしれない。
正直に胸襟を開いた、誠実な外交であってほしいと願うものの、
二国間外交の現実は・・・ 相手がどこの国であろうと、表向きは対等を装っていても、
財力と、武力のパワーバランスを、双方が納得した上で、
対話が成り立っていると思うが・・・ 如何なものだろうか?
外国人を自国の屁理屈でスパイ容疑をかけて拘束し、外交のカードに使うんだから、
長渕剛さん風に言えば・・・ 「ろくなもんじゃねぇ。」ってことだろう。
にも拘わらず、この国ではスパイ防止法を作ろうとすると、
反対する輩が騒ぎ出すんだから、これもまた「ろくなもんじゃねぇ。」ではなかろうか?
早いとこ法律を整備しておかないと、この国の土地を買われるだけじゃ済まず、
情報満載のアプリは、驚くほどに野放しだし、
和牛、果物、アニメなどの、この国を代表するブランド品までもが・・・ 海を渡っていくだろう。
ある政治評論家が「やられたら、やりかえせ。」なんて、物騒なことを言ってたが、
やりかえすかどうかは別にしても、国益と邦人の安全が根底にあると思えば、
法律の整備に向けて、問題提起することや、議論することに躊躇がしてはならないし、
早々に着手すべき課題だと思うが・・・ 如何なものだろうか?
相手は、性善説と常識が通用しない・・・ ならず者であって、
武力をチラつかせ、恫喝する輩だということを理解した上で、
どうすれば、対等の外交になるのか、そこんところから議論を始めれば、
法整備も、予算措置も・・・ あるべき姿形が見えてくるのではなかろうか?
なにがどうだと、具体的な知識を持ち合わせているわけではないものの、
そこに議論が向かわないということは・・・ あくまでも推測の域を出るものではないが、
戦後78年もの間、与野党がともに見て見ぬふりを繰り返し、問題視することを避けてきた、
なにかしらのタブーがあるように思うが・・・ 如何なものだろうか?
追伸
視点や思惑は、人それぞれなので、さまざまな考え方があることを、否定するものではないが、
外交って、そんなものだから・・・ 過度の期待するとガッカリするだけである。
そのように捉えれば、私的には行って良かったと思っている。
少し思い込みが強過ぎる文章になってしまったが、
あくまでも個人的な思いであって、
このことについて議論するつもりはないので・・・ ご理解いただければありがたい。
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