多摩爺の「時のつれづれ(如月の11)」
人事と選挙は違う。
失言により失職せざる得なかった、
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長の後任が決定した。
個人的には谷垣さんがイチオシだったが、
まぁ、落ち着くところに、上手くソフトランディングしたと思う。
それにつけても、今回ほど人事の透明性を問う声が多く上がったことはなかった。
失言で失職せざる得なかった前任が、後任の人事に口出しすることはもっての外だが、
どんな人たちが、どんな基準で、どんな意見を交わし、
どういった妥協点を見出し・・・ だれを選んだのか?
それをオープンにしろというのは、
いかにも正論のように聞こえるが、そんなことができるわけがない。
選考にあたっては、基準に添っていたとしても、選考委員それぞれに思惑や、しがらみがあり、
候補者に挙げられる人は、選考委員の背景により・・・ 微妙にズレが生じてしまう。
それをオープンにしたら・・・ いったい、どうなるんだろうか?
納得できるような候補者が絞られれば良いが、
同レベルの候補者が複数名いれば、いったいどうなるだろうか?
選考で選ばれた人のみならず、選んだ人までもが、賞賛と批判に二分されてしまい、
それぞれに同調圧力が働き、炎上することもあるだろうし、
悪乗りしたメディアが火に油を注ぎ、延々と不毛の議論を繰り返すことにならないだろうか?
酔っぱらいの発言ではなく、差別に対して敏感になるべき立場の職位であり、
その後任について、開かれた場で議論してほしいという気持ちは分かる。
とは云うものの・・・ 開かれた場というものは、
第三者を入れて、議論の一言一句を皆が知らなきゃいけないものだろうか?
どうでも良い人じゃ拙いと思うが、
理想と建て前だけがどんどん大きくなって、聖人君子を求めていないだろうか?
メディアやネットに煽られて、騒ぎすぎてはいないだろうか?
もう半年も前のことになるが、日本学術会議の候補者選びのときもそうだった。
推薦された候補者が、絶対に必要だということを、
メディアや野党から連日のように、頭にすりこまれ、
組織の実態を見ることなく、やみくもに「けしからん。」とする批判に、多くの国民が同調していた。
しかし・・・ 広義の意味でも、軍事研究を行わない組織だと知り、
その結果が、昨今のワクチン開発(生物化学兵器対策)の遅れに、
大なり小なりの影響を与えていたと知ると、途端にその話題は雲散霧消してしまった。
もし、学術会議メンバーがオープンになった場で、政府の承認を得ることなく、
投票権を持つ委員だけの選挙で、選ばれる仕組みだったらどうなっていただろうか?
この国の科学技術は、偏った思想に支配されるとまでは云わないものの、
騒ぎ立ててる方々の背景を見ると、それに近い状態に陥ってしまう可能性は高いと云わざる得ない。
ハッキリ言うと、日本学術会議の会員候補は密室で選ばれている。
そして・・・ それを総理に、黙認しろと迫っている。
明らかに密室人事だが・・・ これについて、メディアや野党はなにも云わない。
なんでもかんでもオープンにすることを求めるなら・・・ 選挙をすればいい。
面白いのは、会社組織の人事はオープンではないが、
組合組織の人事は、選挙で選ばれた者が、それぞれの役職を任命する間接的な任命制度だ。
選挙と人事が、決定的に違うところは・・・ いったい、なんなんだ?
それは、妥協の産物であるか否かではなかろうか。
会長に次ぐ役職にある副会長と事務局長が、さまざまな方面にバランスを取った理事から数名選び、
人事会議を開いて、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長の後任は選ばれている。
選ばれた人が、気にいらないと言うのなら分かるが、
選ばれる手法が、気にいらないと言うのは、妥協を排除して混乱を作り出し、
東京2020そのものを阻止したい人たちの、屁理屈以外のなにものでもないと思うがどうだろう?
国民の声というものは、尊いものだと思う。
そんなことは分かっちゃいるが、直接参画することができず、一票を投じることができない、
組織の人事というものは、その組織の良識に、白紙委任していることであって、
その組織に、看過できない不正や、不誠実が行動がない限り、
騒ぐこと自体がナンセンスなんだと思う。
どうしても・・・ 徹底的な透明性を求めるなら「選挙をせよ!」と行動を起こすことしかないが、
それが無理なことを承知しているにも拘わらず、ただやみくもに文句だけを言い続け、
混乱することを、楽しんているようにしか見えてこない。
そもそも・・・ 選挙と人事は違うのだ。
選挙は、オープンというか、監視下のもとで行われるが、
人事は、特定のメンバーが集って密室(失礼、会議室だ。)で行われるものである。
いったい・・・ なにが間違っているというのだろうか?
そして結果は、大山鳴動して鼠一匹ではないか。
いかに寒い時季とは云え、メディアやネットによって巷にばら撒かれ、
無理を承知で追及する野党の国会質疑など、
混乱を意図とした、まやかしウイルスに、いとも簡単に罹患し、高熱にうなされ過ぎである。
もう少し、賢くならねばならないと思うが・・・ どうだろう?
コメントを頂戴しありがとうございました。
前任者の放言はアウトですが、後任人事についてこれほど騒ぐとは
この国って・・・ つくづく平和なんだと思います。
他に言うことは一言もありません。