時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
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ある歌舞伎役者の常識と非常識

2023年07月05日 | 時のつれづれ・文月 

多摩爺の「時のつれづれ(文月の37)」
ある歌舞伎役者の常識と非常識

1週間かけて、旅行記と昼メシの食レポを書いてたが・・・ やっと終ったので、
ボチボチ昨今の出来事について、爺の思いをぼやいてみたい。

もう2ヶ月近く経つので、ずいぶん昔のことのようになってしまったが、
5月18日の朝、ワイドショーの放映中に飛び込んできた、
あまりにもショッキングなニュースの、その後について、思いの丈を述べてみたい。

飛ぶ鳥を落とす勢いで、歌舞伎界の発展に貢献するとともに牽引してきた、
人気役者の一家(本人・父・母)で・・・ あろうことか、
自殺及び、自殺未遂といった、驚きを隠せないような痛ましい事件が起こった。

その後・・・ 約1ヶ月、
各局のワイドショーでは、たいして新しい情報があったわけでもないのに、
事件の引き金を引いた、週刊誌報道の真相を掘り下げることをせず、
当該出版社や、記事を書いたライターに問うこともないまま、だらだらと関わり続けていた。

ところが・・・ 事件から約1ヶ月が過ぎた、先月の27日、
早朝より、人気役者に自殺ほう助の疑い有りとの報道が出て、そのまま逮捕に至ると、
メディアの報道姿勢が一変するから、ちょっと理解し難かった。

それはまるで、半島で好まれてる、大陸の故事に習い、
「川に落ちた犬は棒で叩け!」だから・・・ メディアの思考は、半島型になったようだ。

他所の家庭の中のことまで、ベラベラ、ベラベラ話す者が出てくると、
逮捕され、人気歌舞伎役者が反論できないことを良いことに、
個人的な視点で、人気歌舞伎役者の所業を指摘しながら世論を誘引するとともに、
自ら命を絶とうとした一家に向けて・・・ ムチを打つような報道に切り替わっている。

さらに報道の暴走は・・・ それだけでは済まなかった。
度を超えたセクハラとパワハラで、昨年の夏にテレビ業界から追放されていた従弟が、
今月の歌舞伎イベントで、舞台に立つはずだった人気歌舞伎役者の代役を見事に果たしたなんて、
歯が浮くような美辞麗句を並べて、持ち上げるもんだから、
その変わり身の早さに「おいおい、どの口がそれを言うんだ。」と・・・ 開いた口が塞がらない。

テレビドラマやCMヘの出演と、歌舞伎の仕事は違うと云えば、それまでのことだが、
彼は自らMCを務めた番組で謝罪こそしたものの、あっという間にメディアの世界から追い出され、
この国のトップ企業(自動車会社)のCMからも、バッテン(降板)をくらったにも拘わらず、
1年も経ってないのに、社会はもう許したのだろうか・・・ 私には、その感覚が理解できない。

この業界における常識も、非常識も・・・ 個人的にはどうでも良いことなので、
「ふふん。」と思いつつ、なり行きを直視しているが、
事件の引き金を引いた週刊誌の報道に、法的責任はないとしても、
果たして・・・ 道義的責任はなかったのだろうか?

政治家にはいつも厳しいメディアが、そこに触れようとしないんだから、モヤモヤ感が拭えない。
ライターが書いた記事と、それを掲載した週刊誌が、結果的に2人の人間の命を奪い、
図らずも1人だけ生き残った人間が、自殺ほう助という罪に問われようとしているというのに、
週刊誌サイドに・・・ 道義的責任は、本当にないのだろうか?

スキャンダルや、ハラスメントがあれば・・・ 「ああ、やっぱりそうなんだろうな。」的に、
ある意味で、ハラスメントに関する常識が欠如しているとも思える業界に見えてしまうが、
だからといって、引き金を引いた核心を、このまま掘り下げないで良いのだろうか?
そこんところが・・・ 私的には合点がいかない。

多くのブロガーさんが書いておられたが、メディアは警察官でなければ、裁判官でもない。
まさに、その通りであって、報道姿勢に偏りがあってはならない。
だが・・・ メディア業界が、利益にならないことに目を瞑ってきたことは、これまでにもあった。

古くから噂があったにも拘わらず、いまごろになって話題となった、
男性の人気アイドルグループを抱える大手で、性的虐待があったことしかり、
古くはプロ野球の人気チームの指導者が、反社会的勢力に脅されて大金を払ったことしかりである。

もちろん、厳正な取り調べと裁判によって、償うべき罪があるとすれば、償うのは当然だが、
元総理を銃撃し、殺害した犯人に対しては、減刑を求める声があったが、
今回の人気歌舞伎役者に関しては・・・ 同情の余地すらなかったのだろうか?
そのような嘆願があるという話しは、いまのところ聞こえてこない。

報道に寄れば、人気歌舞伎役者は、
週刊誌にあることないことを書かれたと吐露してるようである。

いずれ裁判になれば、引き金を引いた当事者たちに、なんらかの聴取か弁明はあると思うが、
メディア各社が、あることないことについては、問題視しないのであれば、
報道の自由を盾にした、同業者間でのもたれ合いを、
暗に認めたことになると思うが・・・ 如何なものだろうか?

個人的には、逮捕された歌舞伎役者を、この期に及んで庇うつもりはないどころか、
最高学府まで出たにも拘わらず、極めて軽率な思考レベルであり、
40を過ぎているにチキンハートで、世間の視線に怯え、責任の取り方を学んでなかったうえに、
人の生死について、あまりにも軽く考えていた・・・ 愚か者だと思っている。

常識と非常識が見え隠れする、歌舞伎界のあるあるについて、
本件の引き金を引いてしまった、報道の自由の検証について、
さらには、人気歌舞伎役者が、取り調べで語ったという、あることないことについて、
その真相を掘り下げるべきだと思うが・・・ 如何なものだろうか?

いまとなっては、他人事のように報道される事件になってしまったが、
SNSが進化したネット社会において、本来この事件が明らかにすべき肝は、
事件は事件として、客観視することは当然だが・・・ 報道の自由とか、道義的責任といった、
フワッとして掴み所が難しい事案に、
越えてはいけない一線を、どこに引くのかではなかろうか?


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2 コメント

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Unknown (1948219suisen)
2023-07-05 08:24:15
まったく同感です。

よく書いてくれました。私も書きたいと思っていました。

最近は、ちょっと何かあると必要以上に叩きすぎだと思います。その叩いている人に、その権利があるのかと聞きたいです。人を叩くことで日頃の鬱憤を晴らしているのではないかと思ってしまいます。
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Unknown (多摩爺)
2023-07-05 08:45:26
水仙さん、おはようございます。

本人に反論する機会がないのに、取り巻きが推測を含めて喋りすぎだと思いますし、
それを如何にも真実であるかのように報道するメディアの姿勢にも、甚だ疑問ありですね。
メディアに事件の落としどころをコントロールする権限はないと思っています。
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