時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

外資の買収がもたらす影響

2025年01月06日 | 時のつれづれ・睦月 

多摩爺の「時のつれづれ(睦月の53)」
外資の買収がもたらす影響

年明け早々、飛び込んできた大きな話題と云えば、
今月20日に退任が予定されているアメリカ大統領が、最後の仕事になるかどうかは分からないが、
日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を中止するよう命令したことであり、
これを受けて両社のトップが、アメリカ政府への訴訟も辞さないと、激しく反発したことだろう。

アメリカ政府は「これは日本を巡る決定ではなく、あくまで米国最大の製鉄企業の一つを、
米国所有の企業として維持し、鉄鋼の国内生産能力を保つためだ。」との見解を示し、
国家安全保障上の懸念や、強靱なサプライチェーン(供給網)の維持などを理由としている。

一方で命令を受けた日米双方の会社は、アメリカ政府による買収計画の審査が、
「著しく適正さを欠き、現政権の政治的目的を満たすためにあらかじめ決定されたものだ。」と、
痛烈な非難をするとともに、訴訟すると息巻いているが、
そんななかでも、極めて痛烈で痛快な発言をしたのは・・・ USスチールのCEOだった。

CEOは「USスチールと社員の未来と、国家の安全保障を損なうものだ。」と前置きすると、
「経済や安全保障で重要な同盟国を侮蔑しており、米国の競争力を危険にさらすのみならず、
 中国共産党の指導者たちは小躍りして喜んでいるだろう。」との一撃を放った。

20日に就任が予定されている新大統領も、買収には反対していることから、
事態の転換は極めて厳しいと思うが・・・ これが民主主義、自由主義の大国の現実である。

同列に取り扱う必要はないと思うものの、
この国の政界も、そろそろ政治とカネの問題は程々にしていただき、
民主主義とはなんなのか、自由主義とはなんなのかと
いった、格調高い議論をしていただきたいし、
この国が向かうべき方向について、知恵を絞っていただきたいと願ってやまない。


とはいえ、この国においても、外資が国内大手の看板や、老舗の暖簾を買い取ることに、
一国のトップが口出しをすべきか否かは、悩むところではあるが、
なに気に足下に目を向けてみれば、
すでにこの国にも、外資のマネー攻撃が活発化しているから、うかうかしていられない。


昨年末には、統合を発表した大手自動車メーカーに、外資が注目してるという話しがあったし、
秋口には、コンビニ大手にM&Aという話しがあったと記憶してるが、
個人的な思いで恐縮だが・・・ いま東京で、最も注目しなきゃならない外資の脅威は、
東京都区内の火葬場の多くが・・・ 事実上、外資の支配下にあるということではなかろうか?

今年はゴールデンウィーク明けに、高齢になった母を実家から東京に呼び寄せようと思っており、
高齢者とはいえ、呼び寄せる前から葬儀のことについて考えるのは、いささか不謹慎だと思うものの、
つい最近、ご近所で亡くなられた方の葬儀が、火葬場の予約が取れず10日も先になったと聞き、
葬儀については避けて通れないので・・・ 調べてみたら、あることに気づいたのである。

それは・・・ 東京都における火葬場事情だった。
東京都の火葬場は島嶼部を除いて18ヶ所あり、都区内に9ヶ所、多摩地区に9ヶ所あるが、
多摩地区の9ヶ所は8ヶ所が公営で、民間は1ヶ所だから、価格に大きな差はなく抑えられているが、
都区内の9ヶ所は公営2ヶ所、民間7ヶ所で、民間の価格がけっこう高かったのである。

火葬に関する価格の情報をネットで調べてみたら、
東京都区内の相場では、公営と民間に大きな価格差があるとあり、
ネット情報をそっくりそのまま鵜呑みにはできないが・・・ この差はけっこう大きい。

おそらく火葬だけじゃなく、葬儀代金の一部を含めてのものだと思うが、
都民が住む自治体毎に、決め決めではないものの、
予め利用する場所が指定されている・・・ 火葬場のような公益事業のタリフに
価格差があるのは、正直如何なものかと思っている。

さらに驚いたのは、7ヶ所の民間火葬場のうち6ヶ所の運営会社は、
買収されていたわけではないが・・・ 
持ち株比率の関係で、
実質的には海外の実業家の支配下にあるというから驚きを隠せない。


経緯はいろいろあったんだと思うが、
コロナ禍を経て都区内での火葬は値段が上がる傾向にあり、

多摩地区の火葬の相場が安価なこともあって、
隣接する都区内から多摩地区で火葬する方が増え、火葬場が混み合っているらしい。

そもそも火葬場は、対象となる自治体に住んでた方々のために低価格に設定されているはずだが、
都区内の相場と多摩地区の相場には・・・ 差が生じている場合もあり、
いまさらだが遺族としては、亡くなった方がどこに住んでいて、どこで亡くなるかも、
けっこう大きな問題とあり、避けては通れない難題になってるらしいと、ご近所の方は話されていた。

因みに都区内の火葬場で公営は、臨海斎場(大田区)と瑞江葬儀所(江戸川区)の2ヶ所だけで、
民間は戸田葬祭所(板橋区)は、この国の会社が経営しているが、
その他の落合斎場(新宿区)、桐ヶ谷斎場(品川区)、代々幡斎場(渋谷区)、町屋斎場(荒川区)、
堀ノ内斎場(杉並区)、四ツ木斎場(葛飾区)は、海外の実業家の影響下にあるようだ。

我が家に母を呼び寄せた後、東京で亡くなってしまうと・・・ たぶん公営の立川聖苑(立川市)か、
府中の森市民聖苑(府中市)か、民間の多磨葬祭場(府中市)で火葬することになると思うが、
都区内に隣接していることもあって、都区内からの予約状況によっては、
待たされることも、予め想定しておかねばならなくなっている。


ゴールデンウィーク明けに、母を呼び寄せるとなると、
まだ健在でピンピンしてるのに、いろんなことが浮かんできて、
片付けておかねばならないことや、届け出をしておかねばならないことが・・・ あまりに多く、
布団の中で、あれこれ考えることも、けっこう多くなってきている。

USスチールの買収から始まって、母が亡くなったわけでもないのに火葬場の話しに飛び、
正月早々から、とんでもないバチ当たりな話しをしてしまったようだが、
自国の魂とも云うべき事業や、故人や遺族の心に関わるような事業に、
外資がビジネス感覚で乗り込んできたら・・・ その国の人々は、どう思うのだろうか?

どうでも良いことかもしれないが、そんなことを思い浮かべてみると、
滅多なことは言えないが・・・ アメリカ大統領の拘りにも、
なんとなく共感できないこともなくなるから、こういった問題はメチャメチャややこしい。

なお・・・ 東京23区の人口は約920万人で、公営の火葬場は2ヶ所だが、
横浜市の人口は約370万人で、公営の火葬場は4ヶ所あり、
大阪市に至っては、人口は約270万人で、公営の火葬場は5ヶ所あるそうだ。

東京都が公営の火葬場に拘る必要はないと思うものの、
事業の公益性という一点にフォーカスし・・・ 拘るとすれば、
都区内と多摩地区の火葬場が、同水準でサービスの提供できるよう、
東京都には、この事業にもっと強く関わってほしいと願いたいが・・・ 如何なものだろうか?

新年早々から、辛気くさいことを書いてしまい、申し訳ないと思うが、
近年あまりにも家族葬のCMが多いもんだから・・・ ついネタにしてしまった。
文脈や言葉遣いには配意したつもりだが、
拙い表現があったとすれば・・・ 他意はないので、ご容赦願えればありがたい。


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6 コメント

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Unknown (wada67miho)
2025-01-06 06:12:21
多摩爺さま

前政権の功績?を覆すのがトランプですから、今回は逆にディールで合併を認めたりして。
知らんけど😃
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Unknown (多摩爺)
2025-01-06 06:42:36
和田さん、おはようございます。

損得を考えたら、可能性はゼロではありませんが、どうなんでしょうか?
私的にはウインウインだと思いますが・・・ 知らんけど。
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Unknown (1kamakura)
2025-01-06 07:12:39
江戸の秋

えーっ!
なんで中国が火葬場を牛耳っているのか、ショックです。
私たちが火葬されるのはたぶん戸田。
日本人経営ですか。
ま、少し安心。
いや、そういえば、義父は落合だったような。
落合になるのかしら。
いくら日本人経営でも、高いのは嫌ですね。
あー、なんて時代なんでしょうね。
やだわ。
情報をありがとうございました。
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Unknown (多摩爺)
2025-01-06 08:22:42
江戸の秋さん、おはようございます。

そんなことはないと思うんですが、
葬儀とセットで価格やスケジュールを決められていたら残念ですね。
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おはようございます。 (けんすけ)
2025-01-06 09:50:47
今まで公営事業と思っていました火葬場の件は日本人の価値観での業務形態と思っていましたが、国民性の全く異なる異国の民族にやらせている事に腹が立ちます。
東京都の事でしょうが、いつの間にか日本国全土に広がる怖さを感じます。
返信する
Unknown (多摩爺)
2025-01-06 11:10:23
けんすけさん、こんにちは

公益事業とはいえビジネスですから、民間企業にお仕事をしていただいていると捉えれば、
目くじら立てるのもどうかと思っていますが、
東京都は隣県や隣接する自治体と比較して、納得できる価格でバランスが取れるよう、関与を強めていくべきだと思います。
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