多摩爺の「時のつれづれ(弥生の45)」
適法、脱法、違法
商品やサービスなどのランク付けには、松竹梅という区分があって、
高い物から安い物に向けて、上中下ではあまりに品がないので、松竹梅としたんだと思うが、
これを商品ではなく、事の善悪に当てはめるとすれば・・・ 白、グレー、黒となり、
別の例え方に置き換えれば、適法(合法)、脱法、違法(不法)になるんじゃなかろうか?
ややこしいのは、真ん中に位置する脱法という・・・ いわゆる、グレーというやつで、
法律に触れることなく、法律の盲点を突いて、目的を達成してしまうことで、なんだか釈然としない。
この国の法律(刑事罰)の基本(原則かな?)は・・・ 「疑わしきは罰せず。」である。
よって適法ではないが、違法でもないので、刑事罰として裁かれることはないが、
だからといって、道義的な責任から逃れることはできず、
しばらくは、針の筵(むしろ)に座り続ける覚悟だけはしておかねばならない。
まさにそれが・・・ いま、野党が国会で追及している「政治と金」の問題であって、
衆参の政治倫理審査会では、検察が違法として立件できないと判断を下した政治家数名に対して、
どうしても違法だとしたい野党が・・・ 舌鋒鋭く切り込んでいるが、
道義的な責任は認めるものの、その真相についてはのらりくらりでストレスが堪る展開となっている。
この期に及んで、こんなことを言うのは後ろ向きすぎて、情けない気がしないでもないが、
百戦錬磨の検察でも、立件するに至らなかった案件を、
取り調べの専門家でもない政治家が、世論を煽って、国会答弁でボロを出させようと、
同じような質問を、パフォーマンス感覚でいくら繰り返しても・・・ 生産性があるとは思えない。
気持ちは分かるし、疑念は晴れないが・・・ この国は法治国家であって、
お隣の半島のように、感情で罰を下すような人治国家ではない。
どうせやるなら、院政を敷いていたとまでは言わないが、引退して尚且つご意見番に君臨していた、
舌禍の権化であって、フェアプレーのラガーマンを自称する・・・ 元総理の参考人招致に、
最初からターゲットを絞るべきだったと思っている。
今月の頭には、政倫審を開いたがために、来年度予算の審議時間が足りないとして、
野党第一党は、衆議院本会議で予算委員長の解任や、財務大臣の不信任を提出したうえで、
フィリバスター(審議引き延ばし)までやったにも拘らず、
低迷する内閣と与党の支持率には打撃を与えたが、国民生活にはなに一つ成果を挙げていない。
にも拘わらず、政倫審に出席した議員に対して、自らの未熟な追求を棚に上げて、
今度は証人喚問を求めているが・・・ 議事録も、メモも、メールなどの確たる証拠がないなかで、
検察でも崩せなかった嘘と思い違いの高い壁を、
専門家でもない議員が、いったいどうやって崩せると思っているだろうか?
証人喚問での発言は、偽証罪に問えるらしく、偽証罪で告発された件は、過去にもあったようだが、
今回のように先に検察が捜査に入って、後から国会が証人喚問をして、
それでもって、偽証罪に問えるような新たな証拠が出てきたら、
検察の沽券にも関わるので・・・ 決めつけるわけではないが、さすがにそれはないだろう。
さらに野党第一党は、裏金を手にしたとされる80数名の議員全員に対しても、
政倫審への出席を、引き続き求めているらしい。
「成果がでない。」とまでは言わないが、
ストレスが堪りに堪る禅問答的を、国会で今後も見せつけられ続けるのは、
大変申し訳ないが勘弁してほしい。
それでも・・・ 世の中の評価というか、国民が腹の中に溜めてる思いを代弁すれば、
「有耶無耶にするな!」ってことに、なるんだろう。
法律的には、疑惑を持たれた議員のほとんどは、不起訴との結論がでているが、
検察審査会に申し立てれば、不起訴処分が覆る可能性がないわけでもない。
然は然り乍ら(さはさりながら)、そういった対応(検察審査会への申し立て)は、
検察に委ねられた、検察マターの仕事であって、
国会議員が感情に任せて、国会で司法のまね事をやるようなことではない。
よって、この次に用意されるべき展開は、証人喚問などでイタズラに時間を費やすことではなく、
検察審査会への申し立てを求めることであり、
さらには国民が納得いくような、道義的責任(党内での処分)を経て、
政治と金に関する、法律の改正を行うことに尽きると思うが・・・ 如何なものだろうか?
政治と金の問題は、確かに大問題ではあり、時間が必要なのも分からんではないが、
既にそればっかりで・・・ 2ヶ月が経っている。
しかも、その2ヶ月は事態を改善するための議論ではなく、司法のまね事であって、
大変失礼だと思うが・・・ 結果的には、時間の浪費以外のなにものでもないだろう。
言わずもがなだが・・・ 今国会で議論すべき課題は、それだけではないはずだ。
経済対策があれば、震災復興もあるし、外交防衛、少子高齢化対策も気になっている。
特に防衛費については、まだ早いかもしれないが・・・ もしトラとなった場合を想定しての、
安全保障がどうなるのか、さまざまな視点から捉えた議論があっても良いだろう。
そして、いま真っ先にやるべきは、政治家の責任を明確化することであり、
領収書の添付や、報告書のデジタル化など、脱法(グレー)を無くすための法律改正だと思うが、
その検討に入ったとの情報は、国会が招集されて既に2ヶ月経つというのに、
未だに聞こえてこないんだから・・・ 「なにやってんだか。」である。
党内での処分は、おそらく党員資格停止で落ち着きそうだが、これはこれでけっこう重く、
選挙の際に、政党の公認がないので資金の援助がないうえに、いまさらパーティーもできない。
さらに無所属で立候補しなきゃならないので、比例で復活することもなくなる。
国会での司法のまね事しなくても、早かれ遅かれ有権者が厳しい判断を下してくれるのだ。
「政治と金の問題は、これぐらいにしとけ。」なんて、言うつもりはサラサラないが、
大事な議論が、どんどん、どんどん、どんどん、どんどん先送りになってるし、
国会審議を経ないまま、与党内の議論と閣議決定だけで進められているが、
野党は眺めているだけで良いとでも思っているのだろうか?
裏金問題の引鉄を引いたのは、間違いなく巨大与党であり、その責任は重大ではあるものの、
それだけに拘りすぎて、プライオリティを見失ってしまった野党も野党ではなかろうか?
老婆心だが・・・ ホントに、こんなんで良いんだろうか?
わざわざ遠回しに、難しいことを言ってるのではない。
目の前のことは避けて通ることは出来ないが・・・ その先、その先の先のまで考えておかないと、
目の前のことが落ち着いたとき、またまた議論の時間が足りない事態に陥るのではなかろうか?
そういった視点で捉えると、政治の劣化があまりに酷すぎると思うが・・・ 如何なものだろうか?
なお、本文はあくまでも個人的な思いであって、
コメントを頂戴しても、議論するつもりはないので、ご容赦願えればありがたい。
おはようございます。
「脱法(グレー部分)をなくすための法改正」こそ必要なのに、国会は狸と狐の言い合い、化かし合いですね。(ゆ~)
いろいろあって、腹立たしいのは分かりますが、
そろそろ、やらなきゃいけないことを前に進めてほしいと思っています。