多摩爺の「時のつれづれ(如月の4)」
純白についた染み(これも一つの危機管理)
11都府県に緊急事態宣言が発令されている真っ最中、
総理や都知事が、20時以降は特に不要不急の外出を控えてほしいと、訴えていた拘わらず、
それを支える立場にある与党の幹部が、深夜に銀座の高級クラブを利用していたとして、
先週の頭から、国会やメディアで袋叩きにあっていたが、
今週に入って相次ぎ出処進退を明らかにした。
自民党の議員3名は、副大臣という役職から更迭されたり、
党内の役職を解かれたうえで離党を表明したが、
一方で公明党の議員は、議員辞職を表明するとともに、普通の民間人に戻ると言い切り、
年内に任期がやってくる、次期総選挙への立候補もしないと応えた。
このことについて・・・ ある政治ジャーナリストが、ワイドショーで面白いことを言っていた。
「公明党の政党イメージは、純白なんですよ。」
「自民党の方は、グレーみたいな感じでしょ。」と話した後、
「そこに染みがついた時、どっちが目立つかって言ったら、純白はものすごく目立つんですよ。」と
言っていた。
予めこういったコメントを用意してたのだろうか? そこんにとこは分からないが、
さすがに政治ジャーナリストの看板を掲げて、メシを食ってるだけに、
上手い例えをするなと感心する。
一般的に政治家の出処進退は、政党の意向もあるだろうが、政治家自身が判断すべきと云われている。
両党ともに当事者が会見を開き、その理由を説明して、質疑に応答していたが、
辞職を表明した議員は、週末に熟慮を重ねた結果、辞職が望ましいと判断したと云っていた。
おそらく・・・ 同党の支援者(ある評論家は支持団体の婦人部と云っていた)から、
相当の突き上げがあったと思われる。
さらには、地方選挙には圧倒的な強さで、候補者を全員当選させてきた同党で、
週末に異変があったことも影響してるだろう。
関東地区のある市議選で、候補者が1人落選するという事態が起こっており、
こういった背景を踏まえれば、
議員辞職は、政党イメージや議員本人の良心を含め、当然の流れだったと思う。
これが野党の議員だったら、その内容にもよるが、
政党がまず当該議員を除名し、政党とは関りがないことにしてしまい、
辞めるべきかどうかについては・・・ 本人任せにするだろう。
間違ってたら申し訳ないが、いままでは、そうだったと記憶している。
これは、政党としてのケジメをつけるか否かの違いはあるが、
結果的には離党することと五十歩百歩である。
週明け午前中に、辞職会見を行った議員の後を受けて、午後から離党会見した3人の議員は、
出処進退については地元の支援者と相談して決めると言い、
その場で議員辞職について言及することはなかった。
辞職した議員は、週末のうちに相談して、週明け早々に自らの出処進退を明らかにしている。
申し訳ないが・・・ 本件が発覚して、一週間という時間があったのに、
いままで、支援者と相談する時間はなかったのだろうか?
辞職した議員の対応について、潔いと取るか、当然だと取るか・・・ それは人それぞれだが、
こういった対応の早さが、
経験豊かな政治ジャーナリストにして「純白に染みがついた。」と表現させたのではなかろうか?
事実、辞職をした翌日以降は、同党と同議員をメディアが取り上げることはほとんど無くなり、
純白についた染みは、滲みとなり漏れ広がることもなく・・・ 沈静化に向かっている。
結果だけ見れば、自業自得であり、自爆であり、それ以外のなにものでもない。
とはいえ・・・ メディアが泣いて喜ぶような、最悪の事態だったにも拘わらず、
被害は最小でくい止めており、コロナ禍で、危機管理が注目されるいま、
彼の行動はけっして褒められたものではないが、
皮肉にも・・・ 危機管理というか、ダメージコントロールは、アッパレだったのかもしれない。
一方で、離党することで事態の沈静化を待つ自民党議員は、未だにメディアの餌食となり、
緊急事態宣言の延長を表明し、コロナ対策に全力で挑もうとする政府の足を引っ張り続けている。
任期の途中で解散がある衆議院議員は、いつ解散があっても大丈夫だとの意思表明を兼ねて、
常在戦場という言葉を・・・ よく使う。
いまさらだが・・・ 常在戦場の信念を、本当に持っているのであれば、
事の影響に鑑み、自らの出処進退に、迷いなど生じないと思うが・・・ 如何なものだろうか?
それとも、恥ずかしげもなくグレーの中に紛れた小さな染みとして、
残り僅かな任期を凌ぎきるつもりなんだろうか?
犯罪を犯した訳ではないので・・・ それも一つの判断だが、
危機管理といっても、比較的軽度で分かり易いダメージコントロールなのに、
それが分からないと云うんだから、支援者・支持者が離れていくのは必然の流れだろう。
そして・・・ いま、コロナ禍で緊急事態宣言が継続されているなか、
国会での議論然り、地方での取り組み然りで、
使える政治家と、使えない政治家が・・・ あまりにも見事に分類されてきている。
一概に危機管理といっても・・・ 様々な視点がある。
現下のようなコロナ禍において、政治がその中心にあることは必然だが、
そこには、為政者一人ひとりの資質が含まれていることも・・・ 忘れてはならない。
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