ひとりついった

ただひたすら、ひとりごと、つぶやき続けます!

映画 ■■黄色い星の子供たち■■

2011年08月17日 | 映画
フランス政府によるユダヤ人の一斉検挙
ユダヤ人の一斉検挙が、フランスでもあったんだ...
しかも、フランス政府によるもの?

と、自分の無知を知らされたけれど
フランス国内でも、長い間、この事件に触れることは
タブーとされてきたらしい。

どの国にも、フタをし続けてきた
恥ずべき過去はあるのだな、と改めて思いました。



映画 ■■黄色い星の子供たち■■

☆☆

日本の Yahoo ムービーの評価 4.2(5点満点)



観る前からだいたい、どのような事件が起きるのか
予想できたから
ショッキングで、残酷で、凄惨な
虐殺シーン、殺戮シーンが出るかも知れない
...と、覚悟していきました。



実際には、目を覆いたくなるようなシーンは
ありませんでした。

視覚に訴えるよりも
ハートに、静かに静かに訴えてくる映画でした。



看護士役の女性、どこかで観たことがある!
と、思ったら「オーケストラ!」のバイオリニスト!

ジャン・レノ、良かった!



















ネタバレ感想



子ども達が、母親達から引き離され
母親達は、収容所行きの列車に乗せられるシーンが
印象に残っています。

子ども達も、母親達も
激しく泣き叫び、抵抗します。
でも、殴られ、銃で脅迫され
断腸の思いで母親達は列車に追い込まれ
母親達と子ども達は、文字通り「引き裂かれ」てしまいます。



私の個人的な感想なんだけど
こういうシーン

私にも子どもがいたら、もっと身につまされるように
自分の身体が引き裂かれるように
「痛い」と感じるんだろうな~と思いながら観ました。

私には、想像したり、推測したりするしか出来ないので
彼女たちの痛みを、ちゃんと共感することが出来なくて
なんだか申し訳ない気持ちでした。



フランスの歴史の暗闇を描いていますが
より印象に残ったのは
ユダヤ人を助けようとしたフランス人の存在です。



自分の信じる正義、倫理観、神の教えに逆って
ユダヤ人迫害を、見て見ぬ振りをしたり
時には、迫害に荷担しなくてはならない...
そうしないと、自分の生命が脅かされる。
そんな異常な「戦争」という時代の中で

監視の目をくぐって
自分の良心が赴くままに
出来るだけ、ユダヤ人達を助けようとするフランス人が
たくさんいました。



警察が検挙に来たら
「いなくなったネコを呼ぶ振りして
大声を出すから、そしたら、すぐに逃げて」
と、近所のユダヤ人家族に伝える人。

通行許可書を偽造する配管工。

収容されたユダヤ人達に
消火用の水を分け与える消防士

収容されたユダヤ人達から託された手紙を
こっそりブーツの中に隠し
危険を冒しながら、頼まれた人に届けようともします。

収容所から脱走した男の子を保護し
養子に迎えてくれた夫婦。



見つかったら、自分の命が危険にさらされる時
正義感の赴くままに
ユダヤ人を助ける、逃がすという行動できるか。

本当に勇気ある行動だと思うけど
結構沢山の人が、実にさり気なく
表面上は、ユダヤ人を差別したり
警官に協力したりする演技をして
後でこっそりと、便宜を図っているのです。



ユダヤ人を助けるフランス人達の行動は
宗教心に支えられていたのか
正義感、倫理観からの行動なのか、分かりません。

でも、全く躊躇がなく
とても自然にやってのけるのです。

それは、ユダヤ人達は
その時点でもうすっかりフランス社会に溶け込んでいて
ご近所づきあいや、一緒に仕事をしたりする中で
宗教や民族は違っても
自分たちと全く同じ人間であること
自分たちのコミュニティの中の、大切なメンバーであること
正直で、働き者で、思いやりに溢れる人達であることを
よく分かっていたのだと思います。

だから、まるで「家族を守る」かのように
ごく当たり前に、自然に、毅然と出来たのだと思います。



さてさて、この映画を観ている私に
気になるのは
ヨーロッパで初めて、「ブブカ禁止法」が出来たのは
フランスだったという事実です。

今、ヨーロッパ中で起きている
ネオ・ナチの増大
白人と、イスラム系移民との衝突を
考えずにはいられませんでした。



戦前と同じような空気が流れつつある今
この映画は
観る人の良心に訴えかけているような気がしました。

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