昨年12月、九州電力は川内原発再稼働の条件のひとつだった「免震重要棟」の建設を撤回。規制委員会に激震が走った。九電いわく、「免震棟を建てるより、現在の代替施設と新設する支援施設を組み合わせた方が早く安全性を向上できる」。
これに対し規制委員会は「免震施設の設置を前提に再稼働の許可を得ている。基本的に守ってもらわないといけない」「早く向上できると言うのに、どれだけ早くなるのか説明がない。なぜ計画を変えるのか動機の説明がなく、最も重要な根拠を欠いている」「審査をクリアすればいいと言うところが(九電に)あるのかもしれない」と不快感も示し、異例の再検討を求めた。
何しろ、この免震重要棟、規制委員会の再稼働申請段階では今年の3月には新設(完成?)するようになっていたのだ。福島第一原発事故で東電幹部が「あれがなければと思うとぞっとする」と語ったほど重要な役割を担った施設を簡単に反古にする九州電力の傲慢さを何に例えたらいいのやら。
彼らはこの撤回案が規制委員会に受け入れられると思っていたのだろう。続いて1月8日には玄海原発の免震重要棟建設計画も「白紙」にすると唐津市議会特別委員会で語り、委員から「約束したものを後退させるような発言はあってはならない」と批判の声があがった。
その後1月26日に上記の規制委員会審査会が開かれ、説明に当たった九電社員は反論できなかったという。
これを受けて2月19日、九電の瓜生社長が免震棟の再検討を電気事業連合会の定例会見で述べている。「説明不足により、混乱を招いたことは大いに反省している。」「(免震施設については経験がなく)耐震ならば自信を持って(やれると考えたからだ)」と語りはしたが、免震重要棟にするとの明言は避けている。
そして3月9日。免震重要棟は作らないと断言した。
はあ?
規制委員だけでなく、住民からも不信の声が上がっているが、この激震を九電瓜生社長だけは感じていないようだ。社長ひとりが「免震施設」に住んでいるのかもしれない。