2014年に端を発し、昨年2016年フランスの原発事情を大きく揺るがしている「原発の強度不足問題」。60基近くある原発のうち12基を安全上の疑念がなくなるまで止めさせていますが、その疑念と言うのが「日本鋳鍛鋼株式会社」が供給した鍛造部材です。
原子炉容器などに使われているこの部材の何が問題なのかと言うと、「炭素偏析」とよばれる、炭素が多すぎる箇所があることで、炭素が多いと物質は堅くなって良いようだけれど、しなやかさが減少して温度変化や衝撃に弱くなります。
勘のいい方なら「日本鋳鍛鋼株式会社」と聞いただけで、日本の原発に飛び火するのでは?と思われたことでしょう。その懸念通り、玄海1・2・3・4号炉、川内1・2号炉、高浜2号炉、大飯1・2号炉、伊方2号炉、敦賀2号炉、美浜2号炉、福島第二2・4号炉、志賀1号炉の原子炉容器の上蓋や胴部がこの会社の鍛造によるものでした。(日本の原発の蒸気発生器水室にのみ鋳造法使用)
フランスからの報告を受けて規制庁が調査させましたが、電力各社やメーカー各社の報告書では主に書類上のチェックと製造時の端材サンプルや実物大模擬体によるチェックを流れ作業的に進めた結果、規格外の炭素濃度の領域は残っていないとしているのです。
日本鋳鍛鋼株式会社は製造プロセスがフランス向けと日本向けはちがっていたと説明していますが、すんなり信じるひとがいるでしょうか?
九電の広報マンは「皆さんはメーカーを信用しないで車を買うんですか?」と、メーカーの昔の「トリセツ」で何が悪いのかとばかりに開き直りましたが、自動車メーカーの「燃費データの不正問題」はつい最近でした。
フランスでは現物を物理的にテストして十分に安全と言えるまで12基の再稼働を認めないとしています。その中には、120トンの鋼塊を新しく日本鋳鍛鋼株式会社が製造して炭素濃度のマッピング、化学分析、物理的テストをするというものまであります。
日本でもせめて問題の全ての部位の非破壊検査をやるのが当たり前ではないでしょうか?しかし九電は「非破壊検査、破壊検査ともにやるつもりはありません」と言っています。
12月9日国会原発問題調査特別委員会で民進党の初鹿議員がこの問題を取り上げ、規制庁の田中委員長の「玄海2号炉は今のところとまっておりますので、稼働までにはきちっとした、その点についてももう少し確認を深めていきたいと思います。」という発言を引き出しています。
まだ物理的検査をさせると明言したわけではないので、今後の私たちの動きが大事です。
地震が起きなくても原子炉がパカッと割れたら大事故ですから。
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