3月24日、映画「グリッドマンユニバース」が公開された。
現時点で僕は2回鑑賞している。
「電光超人グリッドマン」も「SSSS.GRIDMAN」も「SSSS.DYNAZENON」も視聴している僕にとってやはりとても大事な作品であるこの映画、感想を書いておきたい。
思いっきりネタバレなのでご注意を。
最初におことわり
本作は設定・概念・描写が非常に壮大かつ複雑で、自分も全てを完全には理解・把握できていない。一部で解釈違いなどを起こしていないとも限らない。ご了承ください。
さて今回の映画は「普通」
…というのは冗談で、どんな言葉を使うのが一番良いかわからないが、とにもかくにも、ここまで完璧に仕上げてくるとは、誠に恐れ入った。ここまで満足度の高い映画は珍しい。それほど素晴らしい作品だったと思う。
お祭り作品としても、一連のシリーズの集大成としても、ヒーロー・ロボット・SF作品としても、ラブコメとしても…とにかくよくできていた。
今回の映画はSSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENON、両作品の共演かつ一連の作品の集大成的存在となることが大きな見所となっているが、シリーズ作品とはいえ世界観の異なる両作品をいかにして繋げるか、TVシリーズで区切りのついているポイント等の扱いはどうなるか、そもそも両作品ともTVシリーズで綺麗に完結しているだけにあそこからどう広げるか…など気になる点もいくつかあった中、それらを納得の展開で見事にクリアした上、相変わらず非常に面白く見応えがあり、高いクオリティを保っていた。期待に応えるばかりか理想を大幅に超えてくる…そんな作品だった。
グリッドマンユニバースとは、グリッドマンを中心にした一連のメディアミックス全体を表した言葉でもあり、この映画における「SSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENONの共演」という作品性を表した言葉でもあり…この映画における事件の中核となる文字通りの"グリッドマン"の"ユニバース(宇宙)"を表した言葉でもあった。このグリッドマンユニバースの設定は、いかにもこの映画のために考案されたような無理矢理感・蛇足感のあるものでは全くなく、これまでの作品を観ていれば自然と結びつく、納得のいくものであった。戦いの中でグリッドマンを勝利へ導く「仲間」という重要なポイントは、SSSS.GRIDMANやSSSS.DYNAZENON、ひいては電光超人グリッドマンの頃から共通する普遍的なテーマであり、これまでの積み重ねを感じることもあり、非常に心に沁みた。
両作品の共演で、メインキャラクターたちが一堂に介して寝泊まりや食事を共にしたり、学園祭の準備に集まったりしているあの感じも、なんとも言えない高揚感をもたらす、好きな雰囲気だ。
様々な世界や概念が複雑に交差するSFストーリーや、大迫力でこれだけでも何度も劇場に足を運ぶ価値があるというほどのバトルシーンなどが見所なのはもちろんのこと、登場人物間のドラマも重要な要素だ。蓬と夢芽の関係のその後だったり、ガウマさん(レックス)と「ひめ」の再会だったり(本当に果たすとは思っていなかったので驚いた上に嬉しかった)、ちせは大事な友達ゴルドバーンのことを変わらず気にかけていたり…そしてやはり最大のイベントは裕太の六花への告白だろう。これは予告編でも使われるほど重大なポイントだ。蓬と夢芽がTV本編で行くところまで行ったのに対して、裕太と六花は裕太からの好意が明示されたきりだったのでこちらもきちんと決着をつける意図があったんだと思うし、決着をつけてくれて嬉しかった。本筋の事件と独立したイベントになっているのではなく、怪獣少女アノシラスが少し語ったように今回の事件解決への糸口ともとれるイベントとなっているのも上手いと思った。
この映画では両者ぎこちなさを隠せない感じで幕を閉じたが、ボイスドラマを聴く限りは順風満帆とはいかずともそれなりに悪くない関係を続けているようで、安心できる。それはそうと、これまでも存在が仄めかされていた六花の「お兄ちゃん」が、こんな形で本格登場するとは。
今回の映画で気になっていたポイントのひとつが、「響裕太本人」が登場することだった。「SSSS.GRIDMAN」の響裕太は「裕太に宿ったグリッドマン」であり、裕太本人は最終回で目覚めてほんの僅かに登場しただけ。裕太本人が出るのは今回初めてであり、一体どんな風になるかちょっと想像がつかなかったが、実際観てみると確かに初めて見る「本当の裕太」なんだけど殆ど違和感もなかったし、TV本編での記憶がないことに対する寂しさのようなものもあまり感じさせず、寧ろグリッドマンとの絆を感じさせるもので、よくまとまっていた。
そして…これも非常に気になっていたポイントであり、公式・ファン双方の動向を見ても最大のネタバレ要素と言っても過言ではないのが、やはり新条アカネの存在だ。
実を言うと、僕のSSSS.GRIDMANでの推しキャラクターがこのアカネである。そのため、今回の映画でもやはり出てほしいと思っていたのが本音だった。
しかし、「SSSS.GRIDMAN」はアカネの現実世界への帰還と共に終わっており、それはとても綺麗な幕引きだった。そのため本来ならばもう裕太たちの世界に現れることはないはずで、また彼女がそこに現れるとなるとTV本編での展開を蔑ろにしたり余韻をぶち壊しにしたりすることにもなりかねない。それでもやっぱり出てほしい…そんな気持ちの中で揺れ動いていた。
とはいえやはり、全く登場しないということはないような気がしていた。何かしら納得のいく形で出番があるだろうと信じていた。そしてこの映画はそんな期待にもバッチリ応えてくれたのだ。
アカネは現実世界にいることには変わりないが、世界の危機のために一時的に力を貸すという形で登場してくれたのだ。登場が危ぶまれていた中だったが、ある意味では最も美味しいポジションだったと言えるかもしれない。変身?した姿も純粋に非常に魅力的だったし、かつて自らを利用していたアレクシスを逆に利用するという展開にも度肝を抜かれた。そう、今回については形はともかくとしてアレクシスも味方として戦ったことになるのだ。
アンチとのやりとりにもすごく重みを感じたし、今回直接的にアカネと関わったのがアンチとアレクシスのみというのも良い落とし所だと思った。
その上、事件収束後はアカネが現実世界でちゃんとうまくやっていることも示してくれて…アカネの扱いという点でも大満足だ。
アレクシスは本当に消滅したのだろうか。また現れる可能性についても示唆されていたし、このあたりがまたキモになってきそうだ。
「電光超人グリッドマン」との繋がりについても触れておきたい。電光超人グリッドマンは両アニメの原作であり、物語としての原点でもある。今回は物語的な繋がりはあまり強くなかったのだが、反面小ネタとしての原作要素が満載で、さりげない興奮ポイントが目白押しだった。なんなら開始後すぐの段階で「これを出すんだ⁉︎」と思ったほどで、その後も「あっ、アレは‼︎」がたくさん出た。自分も原作は3周は視聴した人間なのでその点でもかなり楽しかったが、原作39本分のネタがあったそうなので、僕でもごく一部しか見つけられていないのだ。
そしてSSSS.GRIDMAN、SSSS.DYNAZENONに引き続きまたも小尾昌也さんも出演。少ない出番ながらポジションとしては重要で、台詞にもしっかりファンサービスがあった。
「電光超人グリッドマン」のアニメ作品としても、本作はとても優秀だった。
ざっと感想を書いてみた。
僕はやっぱりグリッドマンが好きだと実感したし、この作品のスタッフ・キャストの皆さんには本当に信頼と感謝しかない。ありがとうございました。
相当に楽しませてもらったが、まだまだ理解できていない部分もあるし、何回でも観られる作品だと思う。まだまだ観たい。期間中、あとどれくらい観ようかな。
グリッドマンユニバースは非常に好評なようだし、さらなる続編の可能性も公式に示唆されている。もっともっと楽しませてもらいたいし、もっともっと応援していきたい。
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