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クラウドとオンプレミスのいいとこ取りを実現する。

〇 “クラウド出張所”とは。

遅れている基幹系システムのクラウド化。

長引くコロナ禍、緊迫する世界情勢など、企業ビジネスを取り巻く環境は大きく変化している。これらを乗り越えるため、競争力の源泉となる情報インフラのクラウド化に取り組む動きが一段と加速している。

一方、その実情をつぶさに見ていくと課題も感じられる。一口にクラウド利用といっても様々な形態があるが、現在その多くを占めているのがオフィス系業務でのSaaS利用だ。ビジネスの本丸ともいうべき基幹系システムをクラウド化するケースはまだ少ない。実際、JUAS(一般社団法人 日本情報システムユーザー会)の調査でも、基幹システムにパブリッククラウドを採用している割合は約20%に留まっていた

主な要因は、コストの高さやセキュリティ面の不安、移行作業の難しさなどだろう。とはいえ現状のままでは、定期的なハードウェア更新や日常の運用負荷が重くのしかかる。また、戦略的デジタル活用に貢献すべきIT部門が、インフラのお守りに追われる状況も望ましくない。基幹系システムのクラウド化の遅れは、組織のDX戦略を推進する上でもボトルネックになるものといえるだろう。

そこで今、企業の間で注目を集めているのが「オンプレミスクラウド」である。これは富士通が提唱するアプローチで、オンプレミスならではの安心感を損なうことなく、パブリッククラウドのメリットも享受できるようにするもの。企業が所有するマシンルームやデータセンターにクラウドを置く、いわば“クラウド出張所”ともいうべき新たなシステム形態のことだ。

今回は、その具体的な実現方法やソリューションについて、ユースケースと併せて紹介する。

※ JUAS「企業IT動向調査2022」。

オンプレミスとクラウドの「いいとこ取り」を実現。

佐藤 哲也 氏
 
画1、佐藤 哲也 氏・富士通株式会社 DC・クラウドサービス事業本部・クラウド戦略事業部クラウドビジネス部 マネージャー(クラウドサービス企画担当)。

「オンプレミスクラウドとは、様々な機器やサービスで構成されるパブリッククラウド基盤の仕組みをお客様の任意の場所に構築し、月額払いのサブスクリプション型で提供するお客様専有型のクラウドサービスです。近いものにプライベートクラウドがありますが、オンプレミスクラウドの場合はハードウェアや仮想化基盤の所有、管理、運用責任がクラウドベンダー側に存在します。そのため、プライベートクラウドで課題になりがちなインフラの運用・管理工数も、大きく削減することが可能です」。こう説明するのは、富士通の佐藤 哲也氏だ。

企業が長年使ってきたオンプレミス環境は、データの機密性、自社のみでのリソース占有、専用線による通信遅延の回避といった様々なメリットを備えている。一方、煩雑なインフラ運用をいかに手離れするかが、人的リソースを有効活用する上で重要になっている。

オンプレミスクラウドでは、インフラをサービスとして利用でき、日々の運用管理や障害対応などはすべてベンダーに任せられる。当然、インフラ購入にかかる初期投資も不要だ。

これにより、オンプレミスのメリットはそのままにIT資産のオフバランス化、運用負荷の軽減を図ることが可能になる。いわば、オンプレミスとクラウドのいいとこ取りを実現するアプローチといえるだろう。

「また、一般的に『クラウド化』という言葉は、高度な技術を駆使したクラウドネイティブな環境を指しがちです。しかし現実には、既存のオンプレミスシステムを、一足飛びにクラウトネイティブ化できるケースは多くありません。まずは現行構成を維持しつつ、クラウドへリフトする。その後段階的にクラウドネイティブへシフトしていくことが現実解といえます。当社は、この考え方を踏まえたオンプレミスクラウドサービスを提供しています」と佐藤氏は言う。

スモールスタートでスムーズな移行を実現。

それが「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-Outstation」(以下、FJcloud-Outstation)だ(図1)。実績豊富なクラウドサービス「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-V」(以下、FJcloud-V)をベースとしたオンプレミスクラウドサービスである。なお、FJcloud-Vは第3世代 インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーを搭載した「FUJITSU Server PRIMERGY」を採用。高信頼、安全・安心な環境と最適な移行手段を提供している。

図2,FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-Outstation
図1●FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-Outstation
 
FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-Vの設備やサービスを、そのまま自社オンサイトで利用できる。セキュリティポリシーやデータロケーションの要件を満たしつつ、クラウドならではの運用負荷低減が狙える。
 
高藤 大輔 氏
画3、高藤 大輔 氏・富士通株式会社 DC・クラウドサービス事業本部・
クラウド戦略事業部クラウドビジネス部。

「FJcloud-Vは、多くの企業で使われているVMware vSphereをベースとしており、既存システムの移行が容易です。AIベースの予防保守、HA機能などでSLA99.99%を実現しているほか、OS『Red Hat Enterprise Linux』の長期サポートも用意。基幹系システムの移行先として安心してご利用いただけます」と話すのは富士通の高藤 大輔氏だ。既に9000件以上の導入実績があるという。

FJcloud-Outstationでも、これらのFJcloud-Vのメリットをそのまま享受できる。既存VMware vSphere環境からの移行であれば、面倒なアプリケーション改修は不要。具体的には、L2延伸によって現行のIPアドレスをそのまま利用できる。インフラ運用管理も経験豊富な富士通の専任メンバーが担当するため、ユーザーは業務システムの利用だけに注力できるだろう。インフラは自社データセンターなどの任意の場所に配備できるため、セキュリティやデータのロケーションに関する要件も満たすことが可能だ。

「移行前に使っていたお客様のデータセンター設備をそのまま活用できるので、コストメリットも生み出しやすくなります。サービスメニューは、20~30VM向けのXSmallから1000VM以上に対応したLargeまで幅広くラインアップしており、お客様の目的や予算に応じた規模でスタートできます」と高藤氏は説明する。

開発環境やSaaSの基盤としても効果を発揮。

FJcloud-Outstationのユースケースを3つ紹介しよう。

1つ目は、サイロ化した業務システムを集約するケースだ(図2)。用途もハードウェア導入時期もばらばらな複数の業務システムを集約するのは、なかなか難しい。とはいえ、そのままではシステムごとに管理要員が必要なほか、セキュリティリスクも倍々に増えてしまう。FJcloud-Outstationを使えば、機器の更新時期を迎えたシステムから段階的かつ効率的に集約・統合を進めることができる。

図4、サイロ化した業務システムを段階的に集約。
図2●サイロ化した業務システムを段階的に集約
 
ハードウェアの更新時期に合わせて段階的にクラウドへ移行する。その間も、ユーザーは既存システムと移行後のシステムを意識することなく利用できる

「拠点間で資産が分散されてしまっているお客様では、各拠点に分散したシステムをFJcloud-Vで順次統合し、ITガバナンス強化やデータ利活用の促進を図っています。FJcloud-Outstationを使えば、同様の取り組みを、より柔軟に進められるでしょう。基幹系システムのクラウド移行も、この手法を用いることで進めやすくなります」(佐藤氏)

2つ目は、パブリッククラウドとの併用による効率的なリソース供給だ(図3)。潤沢なIT予算が確保できない中小企業では、定常的に稼働し続けるシステムはオンプレミス環境を選択するケースが多い。一方、新製品の開発を行う際には多くの開発・検証リソースが必要になる。ここで、ピークに合わせて新たなオンプレミスのシステムを構築していては、閑散期に余剰コストがかかってしまうだろう。

図5、●パブリッククラウドとの併用による効率的なリソース供給。
図3●パブリッククラウドとの併用による効率的なリソース供給
 
常に使用するリソースはオンプレミスクラウドに、一時的に必要なリソースはパブリッククラウドに構築する。両方のアーキテクチャが同じなので、開発したサービスの再テストも最小で済む

「その場合、FJcloud-Outstationにシステムを配備し、一時的に必要となるリソースをFJcloud-V上に確保する構成にします。開発の進捗に合わせてリソースを柔軟に調整できるほか、アーキテクチャが同じなので、開発したシステムやデータをシームレスに行き来させられます。『パブリッククラウドで開発して、オンプレミス環境でテストする』といった環境ごとのテストプロセスも極少化できるでしょう」と高藤氏。開発終了後は環境を削除すれば、コスト最適化が図れる。

なお、企業システムの中には、Webフロント系のようにパブリッククラウド向きのものも存在する。このようなものはFJcloud-Vで、基幹系システムはFJcloud-Outstationでと使い分けることで、適材適所のハイブリッドクラウド環境を構築することも可能だ。

そして3つ目は、SaaS事業者などが自社サービスの基盤として活用するケースである(図4)。サービスを運営する中では、インフラ機器の入れ替え、基盤の拡張などの作業が随時発生するが、これらの作業には相応の工数がかかる。運用が追い付かなくなると、サービス自体の競争力低下を招いてしまうだろう。

図6、SaaS事業者がサービス基盤として利用。
図4●SaaS事業者がサービス基盤として利用
 
サービス運営の中で必ず発生するインフラ運用を手離れし、自社サービスの強化・改善に注力することが可能になる

「FJcloud-Outstationであれば、インフラが大規模化しても運用管理負荷は増えません。自社サービスの強化・改善のみに集中することが可能です」と佐藤氏は語る。

富士通は、システムのクラウド移行支援や事前アセスメントなどのサービスも提供している。FJcloud-Vと“クラウド出張所”であるFJcloud-Outstation、さらにはその他システム環境の最適配置を相談しながら、自社に最大の効果をもたらす環境が構築できるだろう。オンプレミスクラウドは、これからの企業IT戦略に不可欠なものになる可能性を秘めている。

画7、PRIMERGYや、HCI(FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for VMware vSAN)に採用されている第3世代 インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーはクラウド・コンピューティング、リアルタイム分析、ミッション・クリティカルな業務の処理、ビッグデータのインサイトを提供します。データセンターの効率性および信頼性が向上し、あらゆるワークロードの処理に対応します。


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