〇 画角やフレームレートに注目しよう。
新型コロナウイルス感染拡大やワークスタイルの変化によって、Web会議を導入した企業が増えた。従来はノートパソコンに標準で搭載されたWebカメラを使って参加する人が多かったが、利用機会の増加にともなって「逆光で見にくい」「角度を変えたい」といった不満を訴える人が出てきた。
こうしたパソコン内蔵のWebカメラに対する不満を解消できるのが、外付けのWebカメラだ。では、どんなWebカメラを選べばよいのか。デジタルカメラやスマートフォンのカメラ機能とは異なる選択ポイントを解説しよう。
滑らかさ重視なら高フレームレートの製品を。
Webカメラで撮影した画像の精細さに影響を与えるのが「画素数」だ。製品の仕様に記載されている画素数は、レンズに映した光をデジタル信号に変換する映像素子の細かさを示す。「200万画素」「2メガピクセル」といった数値で示す。一般的に画素数が多いと、高画質になる。
画素数と同様に、精細さを表す仕様として「撮影解像度」にも注目する。撮影解像度は撮影した映像の解像度を示す。ノートパソコンやディスプレ製品の解像度と同じで、「1920×1080ドット」といった横×縦のドット数で表す。テレビ製品でよく使われる「1080p」(1920×1080ドット)や「720p」(1280×720ドット)といった表記方法で記載される場合もある。
Web会議で使うときは、フレームレートにも注目する。「30fps」や「60fps」といった数値で、fpsは「フレーム/秒」の略である。1秒間に何コマ撮影できるかを示す数値で、撮影解像度ごとに記載されるのが一般的だ。フレームレートが高いほうが、より滑らかな映像を撮影できる。
Webカメラで重要視したいのは「画角」。
画角はWebカメラのレンズが撮影できる範囲を示す。「視野」などの単語が使われることもある。この数値が多いと写る範囲が広い。画角には左右の範囲を示す「水平画角」、上限の範囲を示す「垂直画角」、左右と上下の範囲の対角線で映す範囲を示す「対角画角」があり、製品によって記載方法が異なる。画角で製品を比較するときは、記載方法に注意したい。
画角はWeb会議でパソコンと正対した自分だけを映すなら、対角画角で60~80度の程度あれば十分だろう。会議室全体やホワイトボードといった広い範囲を映すのであれば、100度以上の対角画角がある製品を選びたい。
デスクトップパソコンにはマイクを搭載した製品が便利。
Webカメラの中には、マイクを搭載する製品もある。マイクはサウンドデバイスとして認識される。マイクを搭載していないデスクトップパソコンには、マイク搭載Webカメラを選ぶとマイクを別途用意する必要がないので便利だ。
顔認証に使うなら「Windows Hello」対応。
Windowsパソコンを使うときにパスワードやPINを入力するのが面倒だと感じているなら、「Windows Hello」対応製品を選ぶとよい。Windows Helloと呼ぶ生体認証機能によって、Webカメラを使った顔認証ができるようになる。なお、Windows Helloに対応した製品は少ないので注意したい。
映し出す角度にこだわるなら「パン」や「チルト」を重視。
Webカメラをパソコンから離れた場所で使うなら、設置方法も重視しよう。多くWebカメラはノートパソコンやディスプレイの縁に引っかけて取り付けられる。取り付けた状態で、レンズの向きや角度を調節できる製品であれば、Webカメラを固定した状態で画角を調節しやすい。
「パン」や「チルト」は、カメラの首振り機能のことを示す。Web会議で自分を映し出す角度にこだわるなら、必ずチェックしよう。パンはWebカメラを固定した状態で水平方向、チルトは垂直方向にレンズの向きを移動できる。
ねじ穴を設けている製品であれば、デジタルカメラ用の各種アクセサリーを取り付けられる。三脚やクリップといった器具が活用できるので、あらゆる場所に固定しやすい。
ケーブルの長さも必ず確認しよう。ノートパソコンであれば、USB端子からWebカメラの設置場所まで50cmもあれば足りる。ただし、デスクトップパソコンの場合は、パソコンの背面からディスプレイまでケーブルを取り回すのであれば、ケーブルの長さは2m前後はほしい。
手元にあるものを映し出すなら最短接写距離は重要。
Webカメラはフォーカスの種類も確認しておきたい。安価な製品は固定フォーカスが多く、ピントの合う範囲が限られている。接写に弱いとカメラからある程度離して使うしかない。手元にある小さな物をカメラに映したいときに困るだろう。ピントを合わせることができる最短距離は、仕様の中で「最短接写距離」などと表現されている。
「手動フォーカス」に対応した製品は、レンズの周囲にあるフォーカスリングを回すことでピントが合う位置を調節できる。至近距離でもピントを合わせやすい。高価なWebカメラには「オートフォーカス」に対応した製品もある。被写体に合わせてピントを自動調整する。
「3軸ジンバル」対応製品が登場。
一般的なWebカメラと比べて価格はかなり高価だが、「3軸ジンバル(電動スタビライザー)」を備えたWebカメラが登場している。レンズを左右または上下に動かすことができ、カメラを水平に保つ。
また、被写体の検出機能やAIによる自動追尾機能を持つ製品もある。レンズが自動的にその方向に動き被写体を確実にとらえる。会議中に移動することが多い状況で使いやすい。360度全周囲を撮影するレンズを搭載し、被写体を追う製品もある。360度全周囲を撮影するレンズは常に全周囲を撮影し、必要な部分だけ切り出して使うため、被写体の切り替えに強い。また、会議室の中央に置けば、複数人を同時に撮影しやすい。