考えるあるみさんのブログ

「たたかうあるみさんのブログ」の管理者が「革命的」に「生産」「労働」と「分配」について考えるブログ

労働からの解放は死をまねく

2019-02-27 19:50:43 | 労働について

 さて、前回はこう結論づけた
 可変資本を減らせば、剰余価値量は上昇する。搾取率も上昇する…よって資本家どもは、労働者の賃金を切り下げ、人員削減に励むのだ
 ということで、資本家は労働者の賃金を切り下げよう、切り下げようとする。あるいは「合理化」攻撃をかけ、労働者の数を減らして、同じ量だけ生産しようとする。
 前者のやり方は、多くの企業が正規労働者を減らし、時給の低い、あるいは社会保険料を負担しなくてよい非正規労働者に切り替える…なんてことをやっていく。
 後者は、労働強化や機械やロボットの導入その他もろもろの「技術革新」によって行おうとする。

 ところで、一般的には機械やロボットの導入のような「技術革新」は、人間を苦しい労働から「解放するもの」として肯定的にとらえられている。また、同じ人間の労働であっても、機械を使う場合と使わない場合では、生産力がまるっきり違うことも多い。機械やロボットは、人間社会を豊かにするものと考えられている。
 シャツを作る労働はどう「機械化」されるのか分からないから、その1歩手前のシャツの原料である布をつくることを考えてみよう。
 大昔、布は、まあ一応機械ではあるけれど、人間がえっちらおっちら「機織り機」を動かしながら織って、布を生産していた。現在はその「機織り機」を自動化して、電力(産業革命期は、蒸気力や水力)を使用して布を大量生産している。
 布が大量にできるためには、原料となる糸も大量に必要だ…これも大昔は、人間が蚕の繭や綿花なんかから、糸車を回して取り出していた…今やこれも大量に「機械」を自動的に動かしてやっている。原料も第一次産品である繭や綿花ではなく、石油化学工業の製品だったりする。
 こうして人間は今や、ちょちょっと働くだけで生活に必要な様々な品物を手に入れることが出来る「ハズ」になったのだが…
 資本主義社会においては、労働の対価としての賃金を得られないと、生活に必要な様々な品物を得ることは絶対に出来ない。その賃金は、冒頭に上げた真理、「資本家どもは、労働者の賃金を切り下げ、人員削減に励むのだ」によって、常に切り下げられ、脅かされる…それどころか、人員削減によって労働現場から放り出されることもある。

 機械やロボットは、人間を苦しい労働から「解放するもの」と書いた…だが資本家は可変資本を減らすために機械やロボットを使用する…資本家から見れば、労働者を労働から「解放」することで、剰余価値をより多く得ることができるのだが、労働者にとって労働からの「解放」は、おまんまの食い上げ、死に直結する。

 さて最初に工場を全自動化させて、労働者ゼロの工場をつくってみた…AIの発展によって、全ての労働がAIやそれに制御される機械に置き換わるかもしれない。その時どうなるか?ということ考えるためのものであった。荒唐無稽かもしれないが、こんな世の中が来るカモしれない。その時、資本主義社会がそのままであれば、人間は労働から「解放」されるが、同時に多くの労働者は「生存」すら出来ないことになる。

これを防ぐ一つの方法として、「社会主義、共産主義革命」があるわけだが、別のやり方が提案されている。それがベーシックインカム(BI)だ。
「労働とその対価による賃金」というあり方でなく、人が生存していくための最低限の「収入」を、誰にでも保障しましょうというもの… 次回から、これについてちょっと考えてみる。

おまけ…梅の季節だから、大阪天満宮の梅の花

 

 


じゃあ、人間を労働させて「搾取」している工場ではどうなるのか?

2019-01-27 14:08:57 | 生産について

 

全自動で労働者を使わない工場においても、標準的に1枚当たり500円の剰余価値が付加される…と仮定した。しかし、まじめに労働者を雇って「剰余価値」を生み出している工場からすると、こんな理不尽な話はない!?
 もういちど、基本形はこうだ。
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円 =510円
 可変資本 v   500円
 剰余価値 m 500円
   ただし、労働者の賃金…時給が1000円で、1時間あたり2枚のシャツを作ることができる。労働者が1時間働いた場合に生産する価値量は2000円である。
 ここで資本家が労働者の賃金を1000円ではなく、800円に切り下げたとしよう。だが労働者は1時間働けば、2000円分の価値量を生み出すのは同じで、シャツを作る速度も1時間あたり2枚であるとする。1時間労働者をを稼働させると、剰余価値量は時給1000円の時は1000円だが、時給を800円に切り下げると1200円になる!シャツ1枚当たりでは600円だ。可変資本は800円の半分の、400円
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円 =510円
 可変資本 v   400円
 剰余価値 m 600円
  そう、シャツ1枚当たりの労働者の取り分は400円になるが、剰余価値は600円に増える!

 逆 に労働者の賃金が1200円に増大すると…
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円 =510円
 可変資本 v   600円
 剰余価値 m 400円
となるハズだ。シャツ1枚当たりの労働者の取り分は600円に増大し、資本家が取る剰余価値は400円になる。

 剰余価値が一律500円という世界は、ありえねえ!

  が、もう一度よく見てみよう…労働者の時給を減らす、可変資本を減らせば、剰余価値が増えている。時給を1000円から800円に切り下げれば、剰余価値は500円から600円になっている→時給を500円にすれば、1時間当たり作られる2枚のシャツに付加される価値量は2000円と変わらないので、剰余価値は1500円/2=750円   

時給を200円にすれば、剰余価値は1800円/2=900円になる。

時給を0円…すなわちタダ働きさせれば、剰余価値は1000円となる…やったー(^^)

 とすると全自動工場は、可変資本分をドンドン切り詰めた「時給0円工場」であると考えたほうがよい。すなわち
  不変資本 c 原材料500円+工場設備10円 =510円
 可変資本 v   0円
 剰余価値 m 1000円

 この場合、剰余価値率m/vは、v=0円なので計算できない…ということになる。

  最初から、こう考えたほうが良かった…いきなり工場を全自動化させて、労働者をゼロにした場合、どうなるか?ではなく。労働の価値を切り詰め切り詰めやっていけば、労働者0、可変資本0の工場ができる。その場合の剰余価値は、相場として労働者が働いて付加する価値量…この場合、時間あたり2000円。1時間あたりシャツ2枚製造するなら、シャツ1枚あたり1000円というのが正しい。ただし「搾取」はない。全自動工場であれ、ドラえもんを使おうが(もちろんドラえもんにも賃金なんぞ払わん!タダ働き)「時給0円工場」の場合はこうなるのである。

結語…可変資本を減らせば、剰余価値量は上昇する。搾取率も上昇する…よって資本家どもは、労働者の賃金を切り下げ、人員削減に励むのだ…この究極のカタチが、「時給0円工場」である。

 おまけ…0円といえば日テレでやっている「ザ鉄腕ダッシュ」の企画「0円食堂」…農家さんや商店、港や市場から捨てられるいらない食材を「TOKIO」のメンバーがかき集め、料理するというモノ。先週(2019年1月20日)の放送では、キムタクがゲスト出演した。


全自動工場なら、全てが工場設備となるハズだ

2018-12-22 11:06:26 | 生産について

 これまでは、労働者を使ってシャツを作っていた工場において、労働者をロボット(ドラえもん?)に置き替えたら?というふうに考えてみた。しかし、「全機械化した工場」を最初から構築した場合、どうなるか?全自動でシャツを作る工場を最初から作るのである。労働者は一切、雇わない!AIを使って、完全自立…管理する人間も要らないものを作るのだ。
 現在でも日本に縫製工場が存在し、技能実習制度を使って外国人労働者を低賃金・無権利でコキ使っている状況がある…シャツのような服を作るという労働は、なかなか自動化することは難しいだろう。シャツの構造や、概念すらも大幅な変更を余儀なくされるかもしれない…が、ここはシャツ自動化工場ができたものとする。シャツ1枚当たりにかかる原材料費も変わらなかったとすると、シャツ1枚当たりの資本構成は
 不変資本:c 原材料500円+工場設備γ円
 可変資本:v 0円
 剰余価値:m 0円 

ひえぇ~また可変資本0円、よって剰余価値も0円となったじゃないか?

 工場設備γ円は、工場設備にかかった資本量(お金)を、工場設備がぶっ壊れる(使用価値がなくなる)まで使った時まで生産されるシャツの枚数…おそらくとてつもない量になるハズだ…で割った値となる。これが仮にシャツ1枚当たり100円だとすると、シャツ1枚の価値は600円となる。だが、これを600円で価値通りに売っても、資本家の元には何ものこらないことになる。 

 でもこれって、いきなり本論!人間の労働がロボットに置き換わったら?で考えた
  不変資本:c 原材料500円+工場設備10円+ロボット90円=600円
  可変資本:v 0円
  剰余価値:m 0円

と一緒やん。要するに、工場設備10円+ロボット90円の部分が、工場設備=100円になっただけである。

 だから、これまでの労働者を使って生産してきた工場において、全ての労働者をロボットに置き換えた場合も、ロボットは工場設備の一部とすれば、あらかじめ全自動工場を作った場合と同じになる。剰余価値は生まれない。そこで前回はアクロバット的に、「ロボット=ドラえもん」としてみた…そうすると相場としての労働の価値=2000円/時間・人というのがある世界であれば、ロボットが「労働」した時間分の、剰余価値が生ずる…という整理で、標準的な労働者が労働する分だけ、剰余価値が付加されるものとしたわけだ。

 そうすると、最初から全自動工場を作ってシャツを生産した場合も
 不変資本:c 原材料500円+工場設備100円=600円
 可変資本:v 0円
 剰余価値:m X円

 となりそうだ…X円はシャツ1枚あたり製造する場合にかかる時間×1時間あたり標準労働における、労働者が生み出す剰余価値量である。この社会では時給が1000円で、労働の価値が2000円/時間・人だから、1時間あたりの剰余価値量は1000円となる。

 これまでの工場が、時間当たり2枚のシャツを製造することが出来た…1枚当たりの剰余価値量は500円、全自動化してもこの生産速度が変わらないものとすると…
  不変資本:c 原材料500円+工場設備100円=600円
  可変資本:v 0円
  剰余価値:m 500円
  合計で、1100円 

 どうもこのような「整理」が妥当そうだ。この場合、通常の労働者を使って生産している工場におけるシャツ1枚あたり1510円だった。それが1100円で販売することが出来る…価格競争力は、ばっちりだ。また周辺の工場が労働者を使ってシャツ1枚あたり1510円で販売している時、剰余価値分(資本家の取り分)を、910円まで高めることも可能だ(本質的には、これは「剰余価値」とは言わないが)おお、資本家、大儲け! 

 かくして資本家どもは、全自動工場を目指し、労働者を工場・生産現場がら追い出そうとするのである。

 おまけ…年末なので、アニメはたらく細胞の「血小板ちゃん」で癒されてください(^^)  細胞たちがはたらく人間の体の中…饅頭売っていたり、暑い時には冷たい麦茶がおいてあったりします。資本家はいないので、労働が搾取されることはアリマセン。


もしシャツを作るロボットが「ドラえもん」だったら

2018-11-18 14:41:05 | 生産について

 もしシャツ工場において、労働者の代わりに「ドラえもん」をたくさん使って生産を行ったとしよう。「ドラえもん」もロボットなので、シャツ工場においてシャツ製造の労働を全てロボットに置き換えることになる。

 シャツ1枚の資本構成は
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円+ドラえもんβ円=510+β円
 可変資本v   0円

 ドラえもんβ円は、いったいいくらだろう?

 でも、まてよ…ドラえもんって、のび太くんの家でメシを食ったり、押し入れで寝たりしているよね。ほとんど人間といっしょ。
 ヤツはロボットじゃない!労働者だ!?

 ドラえもんに「労働」させるには、それなりの「賃金」が必要だ…ドラえもんの労働の価値は、ドラえもんが生存し、かつドラえもんを再生産するに必要な金額となる。ドラえもんの「再生産」て、一体どのようにするのか見当もつかないが…
 仮にドラえもんが1日8時間、人間と同じ労働をし、同じようにシャツを作るとする。1時間に2000円分の価値を付加する労働で、労働者1人、1時間あたり2枚のシャツが出来る速度は変わらない…ドラえもんも1時間あたり2枚のシャツを作るものとする(ひみつ道具は、使っちゃダメだからね)。
 で、ドラえもんが律儀なヤツで、人間の労働者と同じ賃金で働いてもいいよって言って、時給1000円で働いてくれれば、シャツ1枚あたりのドラえもんβ円は、500円ということになる。

 シャツ1枚当たりの資本構成
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円+ドラえもん500円=510+500円=1010円
 可変資本v   0円 

 あっ、さっきドラえもんが「1時間に2000円分の価値を付加する労働」をすると書いたので、ここでは剰余価値が発生するハズだ!?1時間に2000円分の価値を付加し、時給が1000円だから、剰余価値は1000円、シャツは1時間2枚できるから、1時間に500円分付加される。

 シャツ1枚あたりの資本構成は
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円+ドラえもん500円=1010円円
 可変資本v 0円
 剰余価値 m 500円
  合計で、1510円 

 えっ、労働者を使っていた時と同じ価値量じゃない…それに、不変資本で「ドラえもん500円」って、なんか変???

 ドラえもんには、時給1000円で賃労働してもらっているから、これを可変資本に入れるとすると…
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円=510円
 可変資本v ドラえもん500円
 剰余価値 m 500円
  合計で、1510円 

 おっ、これで労働者を使って生産している時と、同じになったね(^^)

  と、喜んでいる場合ではない!やっぱドラえもんはロボットである。それが「寝て、食って」するから労働者扱いだなんて…普通のロボットも、動かせば「1時間に2000円分の価値を付加する」と仮定すれば、前の全行程をロボットにさせた工場でも、シャツ1枚あたり1000円分の価値を付加する。で、シャツ1枚あたりのロボットの不変資本価値αは90円だったから、剰余価値が910円ということにすれば…

 シャツ1枚当たりの資本構成は
 不変資本c 原材料500円+工場設備10円+ロボット90円=600円
 可変資本v 0円
 剰余価値 m 910円
  合計で、1510円 

 なるほど?全機械化した工場においても、相場としての労働の価値=2000円/時間・人というのがある世界であれば、ロボットが「労働」した時間分の、剰余価値が生ずる…という整理でエエわけだ。
 しかも、人間(ドラえもん?)がやっていた時の剰余価値500円より、910円と増加している!

 かくして資本家はドラえもんなんか雇わず、別の産業用ロボットを導入するわけだ。

 おまけ…ネットから拾った画像を加工…しかし漫画の世界って、オバQ、ドラえもん、ラムちゃん、ケロロ軍曹、イカ娘…と、なぜ得体の知れないモノをホイホイと居候させるのだろう?食費もバカにならないと思うのだが…


 


いきなり本論!人間の労働がロボットに置き換わったら?

2018-10-23 16:29:07 | 生産について

 ここで、科学技術がエラい進化を遂げて、シャツ工場においてシャツ製造の労働を全てロボットに置き換えるとどうなるか?ってことを考えてみる。なお、シャツの製造能力や原材料に関わる費用は変わらないものとする。
 1時間あたりの労働の価値が2000円で、労働者が1日時給1000円で8時間働いている剰余価値率100%の世界で、100人の労働者が働いている…その労働者を全てロボットに置き換えるのだ!
 資本家は、労働者に賃金を払う必要がなくなる。ただし、ロボットに投入する費用は必要だ…これは不変資本に入り込む。ところが剰余価値は労働者の賃金分、可変資本から生まれるので、賃金がゼロになれば、可変資本もゼロになり、剰余価値もゼロになる。

 シャツ1枚あたりの資本の有機構成は
 不変資本:c 原材料500円+工場設備10円+ロボットα円=510+α円
 可変資本:v 0円
 剰余価値:m0円 

 剰余価値率m/vも、v=0で計算が出来ない?労働者を雇わないと、搾取のしようがなくなるのだ…従って、可変資本分の支払いをケチって、労働者を全てロボットに置き換えると、資本家の取り分…剰余価値、利潤がなくなってしまう!

 ここで、シャツ1枚当たりのロボットにかかる不変資本αが、90円だとしてみよう。それも結果は同じ…
 不変資本:c 原材料500円+工場設備10円+ロボット90円=600円
 可変資本:v 0円
 剰余価値:m 0円

 なお、価値は価値通りに売られるので、この場合のシャツ1枚は、600円で売られることなる。労働者を使って生産していた時は、1510円だった…

 もし、他のシャツ工場が、同じような工場設備で、あいかわらず労働者を100人、時給1000円で8時間雇い、1日にシャツを1600枚生産し、1510円で販売していたとしよう。おっ、チャンスだ!ロボットを導入した資本家は、シャツ1枚を1000円で売れば、他のシャツ工場のシャツより価格競争で絶対に有利だ!確実に売れる。
 この場合、シャツ1枚あたり1000-600=400円の「利潤」が出る。1日1600枚売って、400×1600=640,000円 労働者を使ってシャツを作っていた時に得られた「剰余価値」800,000円よりは少ないが、なんとか「利潤」は出た…しかし、こんな「やり方」で良いのだろうか?

 全ての工場が、シャツ1枚あたり90円かかるロボットを使うようになれば、シャツは1枚600円で売るしかないので、剰余価値ゼロだと絶対に「利潤」なんか出なくなる。
 そうすると、資本主義社会である以上、「全ての労働者を、不変資本たるロボットで置き換えることはアリエナイ」という結論になるのだろうか?

まあ、こういったことをいろいろ考えてみようという実験である。

おまけ…江ノ電の写真