全自動で労働者を使わない工場においても、標準的に1枚当たり500円の剰余価値が付加される…と仮定した。しかし、まじめに労働者を雇って「剰余価値」を生み出している工場からすると、こんな理不尽な話はない!?
もういちど、基本形はこうだ。
不変資本c 原材料500円+工場設備10円 =510円
可変資本 v 500円
剰余価値 m 500円
ただし、労働者の賃金…時給が1000円で、1時間あたり2枚のシャツを作ることができる。労働者が1時間働いた場合に生産する価値量は2000円である。
ここで資本家が労働者の賃金を1000円ではなく、800円に切り下げたとしよう。だが労働者は1時間働けば、2000円分の価値量を生み出すのは同じで、シャツを作る速度も1時間あたり2枚であるとする。1時間労働者をを稼働させると、剰余価値量は時給1000円の時は1000円だが、時給を800円に切り下げると1200円になる!シャツ1枚当たりでは600円だ。可変資本は800円の半分の、400円
不変資本c 原材料500円+工場設備10円 =510円
可変資本 v 400円
剰余価値 m 600円
そう、シャツ1枚当たりの労働者の取り分は400円になるが、剰余価値は600円に増える!
逆 に労働者の賃金が1200円に増大すると…
不変資本c 原材料500円+工場設備10円 =510円
可変資本 v 600円
剰余価値 m 400円
となるハズだ。シャツ1枚当たりの労働者の取り分は600円に増大し、資本家が取る剰余価値は400円になる。
剰余価値が一律500円という世界は、ありえねえ!
が、もう一度よく見てみよう…労働者の時給を減らす、可変資本を減らせば、剰余価値が増えている。時給を1000円から800円に切り下げれば、剰余価値は500円から600円になっている→時給を500円にすれば、1時間当たり作られる2枚のシャツに付加される価値量は2000円と変わらないので、剰余価値は1500円/2=750円
時給を200円にすれば、剰余価値は1800円/2=900円になる。
時給を0円…すなわちタダ働きさせれば、剰余価値は1000円となる…やったー(^^)
とすると全自動工場は、可変資本分をドンドン切り詰めた「時給0円工場」であると考えたほうがよい。すなわち
不変資本 c 原材料500円+工場設備10円 =510円
可変資本 v 0円
剰余価値 m 1000円
この場合、剰余価値率m/vは、v=0円なので計算できない…ということになる。
最初から、こう考えたほうが良かった…いきなり工場を全自動化させて、労働者をゼロにした場合、どうなるか?ではなく。労働の価値を切り詰め切り詰めやっていけば、労働者0、可変資本0の工場ができる。その場合の剰余価値は、相場として労働者が働いて付加する価値量…この場合、時間あたり2000円。1時間あたりシャツ2枚製造するなら、シャツ1枚あたり1000円というのが正しい。ただし「搾取」はない。全自動工場であれ、ドラえもんを使おうが(もちろんドラえもんにも賃金なんぞ払わん!タダ働き)「時給0円工場」の場合はこうなるのである。
結語…可変資本を減らせば、剰余価値量は上昇する。搾取率も上昇する…よって資本家どもは、労働者の賃金を切り下げ、人員削減に励むのだ…この究極のカタチが、「時給0円工場」である。
おまけ…0円といえば日テレでやっている「ザ鉄腕ダッシュ」の企画「0円食堂」…農家さんや商店、港や市場から捨てられるいらない食材を「TOKIO」のメンバーがかき集め、料理するというモノ。先週(2019年1月20日)の放送では、キムタクがゲスト出演した。