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「たたかうあるみさんのブログ」の管理者が「革命的」に「生産」「労働」と「分配」について考えるブログ

ベーシックインカムのある世界を仮定してみた

2019-03-25 20:20:01 | 分配について

 ベーシックインカムとは、全ての人に…ここで「全ての人」は、労働しているかいないか?労働する能力があるかどうか?財産・資産の有無、性別・年齢その他もろもろ一切関係がない。ただ社会の「成員」であればよい…に生存のための最低限収入を保証するというものだ。これまでの「社会保障」制度では、例えば生活保護や児童手当など、ケース毎に需給の資格や要件が細かく決められていたり、年金や健康保険等、あらかじめ「保険料」などの負担が義務付けられていたりする。そのため需給のために審査が必要だったり、保険料を徴収したり、保管・運用することが必要だったりもする。年金制度をみてみよう…全国あちこちに年金事務所があって、年金保険料の振込みや支払いを管理している。集まった年金資金は公債や為替、株式等に投資し、運用されている。そういった組織や人員が大幅に削減もできるよというメリットがあるのもベーシックインカムなのだが、それはひとまず置いておく。 

 社会の全成員に等しく「最低限収入」を保障するということは、社会の成員に必要最低限の財やサービスを購入するクーポンを渡すようなものだ。もちろんクーポンと引き換えることが出来る財やサービスは十分生産可能であることが前提である。ここで、シャツ工場の前提で考えた社会…人間の1時間の労働が2000円に等しい価値をつくりだし、労働力の1日分の価値、人間が生活し再生産するのに必要な1日あたりの費用が8000円に相当する社会であるとしよう(ベーシックインカムがある社会では税金とかが違ってくるのでホントは違うのだが、計算しやすいように変えない)。ベーシックインカムがある社会では、どのような人にも1日8000円分のクーポンが配布される。一方、社会の標準が8時間労働であれば、一人の人間は1日8時間働いて、16000円分の財やサービスを社会に提供している。ここでこの社会が、半分の人間しか労働をしていない…残りの人は高齢である、病気である、まだ子どもである、その他もろもろの理由で働けない、働かない…社会であるとしても、1日一人働いて生産した16000円分の財・サービスは、働いている人に配布されたクーポン8000円分、働いていない人に配布されたクーポン8000円分にすべて消費される。
 ただしここでは「資本」の取り分はゼロである。このような社会は、資本制を廃止した後でしか成り立たない 

 現代社会はマルクスが「資本論」その他で示したような剰余価値率100%なんてなまぬるい社会ではない。おそらくその10倍以上の剰余価値率で資本主義社会が動いているだろう。10倍の剰余価値率であるとするならば、計算がやりやすいように、労働者1人当たり、1日あたり生活費が100円、8時間労働で一人1100円分の生産が行われると仮定しよう。資本家に残る剰余価値は1000円、剰余価値率は1000円/100円=1000%、10倍だ。

 社会が1人の人間が働き、あと4人ぐらいが働かない、働けないような社会であるとする。日本の人口が1憶ならば、労働者は2000万人しかいないような社会だ。で、5人の人間に一人1枚、1日あたり100円のクーポンが渡される。一人が1日生産して1100円の財・サービスが生産されるので、5人が1日当たり100円のクーポンを使って500円分の生産物を引き出しても、残りは600円である。仮に労働をした人が1日当たり賃金100円を受け取り、最低限生活に必要なものは配布されるクーポンで手に入れる。賃金は何か別のモノやサービスを手に入れるため全部使うとすると、600円から100円引かれて500円が残る。十分成り立つ。
 ただし、ここで書いたクーポンは「貨幣」ではない。政府機関が発行する「紙切れ」に過ぎない。権利証書、すなわち人が1日100円分の財やサービスを引き出すことが出来るというものでしかない。だから資本家は1100円分の生産をして労働者に100円支払い、クーポン5枚500円分を手にした後に残るのが500円ということである。

 クーポンは貨幣でないから、別途資本の拡大等に使用することは出来ない…ひょっとしたら、使える人や日にちすらも限られているかもしれない。これでは資本家は納得しないだろう。ベーシックインカムが無い社会では、労働者に賃金を払った残りの1000円がまるまる自分の懐に入ったのに、ベーシックインカムのある社会では500円と、クーポン(紙切れ5枚)ということになる。これは資本家から「収奪」する社会だ…ってことは、やはり革命が必要だ

おまけ…2015年秋、長崎の路面電車


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