前回、BIとして人びとに渡すものは、政府機関が発行する「紙切れ」…クーポンである…とした。ただし、別にクーポンでなくても政府に「収入」があれば、現金をそのまま人々に手渡してもエエわけだ。毎日、1日当たり100円を全民衆に配る。労働している人は賃金として別途100円受け取るが、のこり4人は100円しかもらわない。一方、資本家は1日1100円分の商品を世の中に送り出し、賃金分として100円払っている。生活必需品として5人が500円分は必ず購入がある一方、別の賃金労働をしている労働者が残りの商品を買ってくれるので、全ての商品が売れたとすると、あと500円手に入る。これで何も問題はないハズだ。
問題は政府にBIを実施する十分な「収入」があるかどうか?ということだ。仮に1日100円を1億人に配るとすると、1日100億円。1ヶ月3000億円、1年で3兆6千億円となる。
仮定の社会では1日100円で人が生活できるとしたが、現実の社会はそんなに甘くはない。仮想社会として1日一人当たり8000円が必要としたが、もう少し厳しくして、年金制度の1階部分に相当する、一人月6万円程度、日あたり2千円!はいるだろう。これを1億人に配るとして、1か月6兆円!1年で72兆円もの「財源」が必要だ。しかも恒久的に。
財務省のHPにある昨年度の一般会計昨年度の一般会計(pdf)の歳入内訳を見れば、所得税収入が約19兆円、法人税収入が約12兆円、消費税収入が約17兆6千億円となっている。また支出では社会保障費が約33兆円、国債費が約23兆円、地方交付税交付金等が約15兆5千億円、公共事業が6兆円、文教費・防衛費がおのおの5兆円ぐらいである。
BIを実施する場合、社会保障費の一部、たとえば生活保護のためのお金や、年金制度を維持するためのお金はBIにつけ代わる、あるいは削減できる。あと防衛費や公共事業費から1兆円ぐらいずつ出るか?それで所得税を130%増税して6兆円弱、法人税を150%増税して6兆円…ひえぇ~(消費税増税は、反人民的なのであえて考慮しない)30年前、バブルの頃は所得税収入が最高で26兆円あったし、法人税も19兆円の収入があった。これぐらいははなんとかなりそう? でも+70兆円を集めるということは、大変なことだ
年金制度の1階部分ということで、GPIF(年金積立金管理運営独立行政法人)が運用する150兆円を流用するとしても、1回流用してしまえばあとは無くなるので、難しい…
ところがここに、BIを実施するための新しく強力な「理論」が出てきた…「MMT(Modern Monetary Theory、現代金融理論)」である。これのキモは「独自通貨を持つ国では、政府債務の増加がマクロ的な供給不足からインフレを起こすような場合でなければ、経済成長と雇用の増加が続いている限り、政府債務の増加自体は問題ない」というもの。実際、日本の財政は赤字国債(特例公債)の発行で27兆6千億円賄っている…こうした状況が長年続いているにもかかわらず、日本の金利水準はゼロに張り付いたまま…いつまでたっても日本国債はデフォルトする気配が見られない…こりゃ~「MMT」って正しいんじゃないの?ということにもなる。
ということは、MMT理論に乗っかって国債を発行し、そのお金でBIを実施することが出来そうだ。
ただ「マクロ的な供給不足からインフレを起こすような場合」が来ると、この方法は使えなくなる。インフレのきざしが出てきた場合、すなわち供給に対し市中に出回るお金が増えすぎた場合、増税を行って市中からお金を回収しなければならない。インフレになったからといって、急に増税するわけにはイカんので、そうなる前からちょっとずる増税を行い、税金のとり方とかを変えておく必要はあるのだ。 ただ、72兆円も一気に債務を膨張させると、あっと言う間に供給能力を上回る「お金」が出回ることになりそうな気がする。
また日本政府は「異次元の金融緩和」ということで、日本銀行が国債を「引き受ける」形をとっている。国債発行残高約860兆円のうち、半分以上の460兆円を日銀が保有している。日銀が保有している国債は期限がくれば借り換えができるので、実質返済する必要がないそうな…この状況は政府が独自にお金を刷っているようなものであると考えることが出来る。
ならばお金=日本銀行券を刷っちゃえ!というわけにもいくまい。そこで思いついたのが「クーポン」だ!
次回はこれについて考えてみよう。
おまけ…鉄道むすめコレクションズ
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