猫田佐文さんの『ひきこもりを家から出す方法』あらすじ・ネタバレ感想。
2019年ノベル大賞・大賞受賞作!
中学2年生から部屋に引きこもっている俊治の元にやって来たメイド。
ライトノベルっぽいな、と思って読み始めたら最後は泣いてしまった。
個人的にドラマ化してほしい作品。
2019年ノベル大賞・大賞受賞作!
中学2年生から部屋に引きこもっている俊治の元にやって来たメイド。
ライトノベルっぽいな、と思って読み始めたら最後は泣いてしまった。
個人的にドラマ化してほしい作品。
『ひきこもりを家から出す方法』
著者:猫田佐文
発行:株式会社集英社(集英社オレンジ文庫)
2019年ノベル大賞・大賞受賞作
発行:株式会社集英社(集英社オレンジ文庫)
2019年ノベル大賞・大賞受賞作
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『ひきこもりを家から出す方法』あらすじ・ネタバレ感想
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『ひきこもりを家から出す方法』登場人物
影山俊治(かげやましゅんじ)
中学2年生からひきこもり
25歳の誕生日にクリスがやって来る
綾瀬クリス(あやせくりす)
18歳でメイド服を着たハウスキーパー
アプリ・ラ・ポルタから派遣される
俊治の母
俊治の父
アプリ・ラ・ポルタのシスター
影山家にアドバイスする
佐藤さん
俊治が引きこもる原因になった女子
綾
リストカットを繰り返している
瀬戸マリア
アプリ・ラ・ポルタ所属
綾の担当
中学2年生からひきこもり
25歳の誕生日にクリスがやって来る
綾瀬クリス(あやせくりす)
18歳でメイド服を着たハウスキーパー
アプリ・ラ・ポルタから派遣される
俊治の母
俊治の父
アプリ・ラ・ポルタのシスター
影山家にアドバイスする
佐藤さん
俊治が引きこもる原因になった女子
綾
リストカットを繰り返している
瀬戸マリア
アプリ・ラ・ポルタ所属
綾の担当
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『ひきこもりを家から出す方法』あらすじ
「影山くんって、なんかきもいよね」
中学2年生のある日、教室で女子がそう言っているのを聞いてしまった翌日から、影山俊治は自室から出られなくなった。
以来10年間、引きこもっている。
外へ出るのは怖い。
でも、先のことを考えるともっと怖い。
俊治25歳の誕生日にやって来たのは、メイド服姿の美少女・綾瀬クリスだった。
突然外部の人間と顔をあわせた俊治は気が動転して声を張り上げる。
だが、クリスは自分はハウスキーパーだと言い、俊治の部屋を掃除し始める。
定年退職というリミットが迫り追い詰められた俊治の両親は“引きこもりを家から出す”プロ集団[アプリ・ラ・ポルタ]を頼ることにしたのだ。
両親の願いを叶える為派遣されたクリスは、それから毎日家にやって来る。
最初はクリスが部屋に入ることを拒んでいた俊治だが、そのうち30分ほど掃除の為に部屋に入ることを許可する。
クリスがやって来るようになってから、両親の俊治への態度も変化した。
毎日扉の向こうから話しかけてくるようになったのだ。
少しずつ少しずつ、俊治は人と会話をすることに慣れていく……。
中学2年生のある日、教室で女子がそう言っているのを聞いてしまった翌日から、影山俊治は自室から出られなくなった。
以来10年間、引きこもっている。
外へ出るのは怖い。
でも、先のことを考えるともっと怖い。
俊治25歳の誕生日にやって来たのは、メイド服姿の美少女・綾瀬クリスだった。
突然外部の人間と顔をあわせた俊治は気が動転して声を張り上げる。
だが、クリスは自分はハウスキーパーだと言い、俊治の部屋を掃除し始める。
定年退職というリミットが迫り追い詰められた俊治の両親は“引きこもりを家から出す”プロ集団[アプリ・ラ・ポルタ]を頼ることにしたのだ。
両親の願いを叶える為派遣されたクリスは、それから毎日家にやって来る。
最初はクリスが部屋に入ることを拒んでいた俊治だが、そのうち30分ほど掃除の為に部屋に入ることを許可する。
クリスがやって来るようになってから、両親の俊治への態度も変化した。
毎日扉の向こうから話しかけてくるようになったのだ。
少しずつ少しずつ、俊治は人と会話をすることに慣れていく……。
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『ひきこもりを家から出す方法』ネタバレ感想
俊治は両親がいると居間にも入れない。
「怖い」を「怖くない」に変えるには、周囲にいる人間が安全なんだと知ってもらう必要があり、その為に両親は例え無反応だったとしても俊治に毎日話しかける。
だけど、母親ができることが父親はなかなかできない。
毎日話しかけているうちに、俊治は母親には一言二言返すようになり、そのうち返す言葉も増えていく。
ところが父親にはいつまで経っても無反応。
しまいに父親キレる→振り出しに戻る。
48ページでクリスは俊治の両親にこんなふうに返答する。
そうです。外は安全だよ。安心できるよ。そう思ってもらうまで話しかけるんです。これはひきこもりに限りませんが話したことのある人とそうでない人とでは安心感が全く違いますよね?そして安心感は情報量と比例します。その人のことをよく知っていれば、自分に危害を与えるような人間じゃないと分かれば、自然と警戒しなくなり仲良くなれます
これを聞き父親は、息子にとって自分は「知らない人」なのかとショックを受ける。
だいたいどこの家庭でも父親は子供とのコミュニケーションの機会が少ない為、そう簡単には信頼関係が築けないそうだ。
嵐の二宮和也さん主演でドラマ化された有川浩さんの『フリーター、家を買う』でも、父と息子の関係は最悪だった。
愛想なしの息子も母親には気づかいがあるが、父親が言うことには反発する。
あの小説も圧倒的にお父さん側のコミュニケーション不足だった。
例え血の関係があっても、どういう人間であるか知る努力を惜しんだらわかり合うのは難しいってことなんだろうね。
しかも、男ってやつは正論を言いたがる。
ただ話を聞いて欲しいのに意見を言ったり答えを言ったりしてしまう。
だが、悩みが自分の中からわき出たものなら、答えも自分の中にあるのである。
あーしろ、こーしろ上から目線で言うのは気分が良いのだろうが、どんなに正しくてもそれは単なる意見の押しつけだ。
ましてや、普段ろくに会話もしていない人はどんな性格の人かどんな人間か分からないのである。
分からない人に「頑張れ」だの「働け」だの「将来どうすんだ」だの言われても、受入れられるはずがない。
例え親子であっても、それは突然道で宗教の勧誘の人につかまって意見されるようなものですよ、と例えられるとなるほどと思う。
「お前が何知っとんねん(`Д´)ノシ」と言いたくなってくる。
104ページで、息子にキレた父親にクリスはこう言う。
ひきこもりの方と接するのに最も大事なのはその人を想う気持ちです。
「怖い」を「怖くない」に変えるには、周囲にいる人間が安全なんだと知ってもらう必要があり、その為に両親は例え無反応だったとしても俊治に毎日話しかける。
だけど、母親ができることが父親はなかなかできない。
毎日話しかけているうちに、俊治は母親には一言二言返すようになり、そのうち返す言葉も増えていく。
ところが父親にはいつまで経っても無反応。
しまいに父親キレる→振り出しに戻る。
48ページでクリスは俊治の両親にこんなふうに返答する。
そうです。外は安全だよ。安心できるよ。そう思ってもらうまで話しかけるんです。これはひきこもりに限りませんが話したことのある人とそうでない人とでは安心感が全く違いますよね?そして安心感は情報量と比例します。その人のことをよく知っていれば、自分に危害を与えるような人間じゃないと分かれば、自然と警戒しなくなり仲良くなれます
これを聞き父親は、息子にとって自分は「知らない人」なのかとショックを受ける。
だいたいどこの家庭でも父親は子供とのコミュニケーションの機会が少ない為、そう簡単には信頼関係が築けないそうだ。
嵐の二宮和也さん主演でドラマ化された有川浩さんの『フリーター、家を買う』でも、父と息子の関係は最悪だった。
愛想なしの息子も母親には気づかいがあるが、父親が言うことには反発する。
あの小説も圧倒的にお父さん側のコミュニケーション不足だった。
例え血の関係があっても、どういう人間であるか知る努力を惜しんだらわかり合うのは難しいってことなんだろうね。
しかも、男ってやつは正論を言いたがる。
ただ話を聞いて欲しいのに意見を言ったり答えを言ったりしてしまう。
だが、悩みが自分の中からわき出たものなら、答えも自分の中にあるのである。
あーしろ、こーしろ上から目線で言うのは気分が良いのだろうが、どんなに正しくてもそれは単なる意見の押しつけだ。
ましてや、普段ろくに会話もしていない人はどんな性格の人かどんな人間か分からないのである。
分からない人に「頑張れ」だの「働け」だの「将来どうすんだ」だの言われても、受入れられるはずがない。
例え親子であっても、それは突然道で宗教の勧誘の人につかまって意見されるようなものですよ、と例えられるとなるほどと思う。
「お前が何知っとんねん(`Д´)ノシ」と言いたくなってくる。
104ページで、息子にキレた父親にクリスはこう言う。
ひきこもりの方と接するのに最も大事なのはその人を想う気持ちです。
いろいろあったが俊治は自分の部屋から出てリビングでクリスと一緒にテレビを見るようになる。
だが、まだまだ家の外には出られない。
なんせ中2から家の中、それも自分の部屋しか知らないのである。
10年の間に世の中は変わり、他の人が自然に学ぶ些細なこと、例えばバスの乗り方とか、そんなことも知らずに生きてきたのだ。
そりゃあ怖くないはずがない。
プライドも高いので、人に笑われることも耐えられない。
158ページから[アプリ・ラ・ポルタ]のシスターが俊治の両親にアドバイスする方法がとても興味深い。
引きこもりで一番厄介なことは“欲求減退”だと言うのだ。
俊治は自分でオタクと言うほどアニメが好きなので、シスター的にはまだ厄介な状況にはないそうだ。
外へ出るには目的(欲)が必要だ。
欲求減退の状況ではその目的がないので、外出を促すのが難しいらしい。
普通に生活していれば、仕事に行く為に服を買わなくちゃ、靴買わなくちゃ、と欲しい物や必要な物が思い浮かぶ。
だが、意図して物が欲しい状況を作るというのは大変だ。
外へ出る目的→欲→欲を刺激する
欲をコントロールする
だが、まだまだ家の外には出られない。
なんせ中2から家の中、それも自分の部屋しか知らないのである。
10年の間に世の中は変わり、他の人が自然に学ぶ些細なこと、例えばバスの乗り方とか、そんなことも知らずに生きてきたのだ。
そりゃあ怖くないはずがない。
プライドも高いので、人に笑われることも耐えられない。
158ページから[アプリ・ラ・ポルタ]のシスターが俊治の両親にアドバイスする方法がとても興味深い。
引きこもりで一番厄介なことは“欲求減退”だと言うのだ。
俊治は自分でオタクと言うほどアニメが好きなので、シスター的にはまだ厄介な状況にはないそうだ。
外へ出るには目的(欲)が必要だ。
欲求減退の状況ではその目的がないので、外出を促すのが難しいらしい。
普通に生活していれば、仕事に行く為に服を買わなくちゃ、靴買わなくちゃ、と欲しい物や必要な物が思い浮かぶ。
だが、意図して物が欲しい状況を作るというのは大変だ。
外へ出る目的→欲→欲を刺激する
欲をコントロールする
160ページでシスターはこんなことを話す。
欲求減退と依存症。その二つを解決するのが定額制です。ある程度お金を渡して欲求を刺激してあげる。小遣いよりも高いものが欲しいなら働くほかありません。それにお金を計画的に使う、お金を貯めることも学べます。大金を渡すわけでもないので依存症にもなりにくい。大事なことは定額を守ることです。どれだけ頼まれてもそれ以上は渡さないで下さい。お金が欲しいなら働かないといけない。それを理解させる為です。
社会に出て働いていない俊治は、お金というものがよく分からない。
中2のままなんだから、そりゃあ訓練する必要があるよね。
こういうことは言われてみないと気がつかないと思う。
俊治はお礼として2千円を父親からもらっただけで戸惑ってしまうのだ。
実のところ2千円の価値もよく分かっちゃいなかったんだろうと思う。
そういう状態じゃ無理矢理外に出しても、うまくいかないってことは想像できた。
その人の立場に立って、あれこれ考えた上で支援しないとダメなんだなと納得した。
欲求減退と依存症。その二つを解決するのが定額制です。ある程度お金を渡して欲求を刺激してあげる。小遣いよりも高いものが欲しいなら働くほかありません。それにお金を計画的に使う、お金を貯めることも学べます。大金を渡すわけでもないので依存症にもなりにくい。大事なことは定額を守ることです。どれだけ頼まれてもそれ以上は渡さないで下さい。お金が欲しいなら働かないといけない。それを理解させる為です。
社会に出て働いていない俊治は、お金というものがよく分からない。
中2のままなんだから、そりゃあ訓練する必要があるよね。
こういうことは言われてみないと気がつかないと思う。
俊治はお礼として2千円を父親からもらっただけで戸惑ってしまうのだ。
実のところ2千円の価値もよく分かっちゃいなかったんだろうと思う。
そういう状態じゃ無理矢理外に出しても、うまくいかないってことは想像できた。
その人の立場に立って、あれこれ考えた上で支援しないとダメなんだなと納得した。
私がこの本『ひきこもりを家から出す方法 (集英社オレンジ文庫)』を読んで強く思ったのは、人を理解し人に理解されるには会話が大事だということだ。
シャットダウンしちゃうのは、する方もされた方も世界が狭くなる。
一言二言でも良いから話しかける。
それで交わす言葉が増えれば何よりだ。
子供との会話が少ないとか、家で居場所がないと思っているお父さん達にはぜひ読んでもらいたいと思う。
父親の言葉になぜ子供は反発するのか。
読めば「ああ、そういうことかぁ」と納得することだろう。
おそらく思い当たる事があるはず。
シャットダウンしちゃうのは、する方もされた方も世界が狭くなる。
一言二言でも良いから話しかける。
それで交わす言葉が増えれば何よりだ。
子供との会話が少ないとか、家で居場所がないと思っているお父さん達にはぜひ読んでもらいたいと思う。
父親の言葉になぜ子供は反発するのか。
読めば「ああ、そういうことかぁ」と納得することだろう。
おそらく思い当たる事があるはず。
実は外に出られるようになったとしてもそれで解決じゃない。
本当の戦いがそこからなんだとか。
個人的にドラマ化してほしい本だな。
個人的にドラマ化してほしい本だな。
以上、『ひきこもりを家から出す方法 (集英社オレンジ文庫)』感想でした。
☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…
ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)
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