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『きみのお金は誰のため』感想!お金の奴隷にならないために小中学生から読んでほしい

『きみのお金は誰のため』感想。
お金の奴隷にならないために根本的な考え方から学べるお金の教養小説。
自分の子どもにも読ませたくなる。
ぜひ、小中学生から読んでほしい1冊。

『きみのお金は誰のため』 

ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」
『きみのお金は誰のため』ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」 感想 tataraworks
■著者:田内 学
■ブックデザイン:成宮 成(dig)
■イラスト:森 優
■発行:東洋経済新報社
■発売日:2023年10月18日



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登場人物

感想




『きみのお金は誰のため』主な登場人物 

佐久間優斗 さくまゆうと 
 偶然七海に声をかけられた中学生
 ボスの厚意で七海と共にお金を学ぶ
 [トンカツさくま]の次男坊

久能七海 くのうななみ 
 アメリカの投資銀行の東京支店勤務
 上司命令でボスの元で学ぶことに

ボス
 『お金の向こう研究所』所長
 七海と優斗に「お金自体の話」をする



『きみのお金は誰のため』感想 

中学生の優斗と同じ感覚でこの本を読み始めた。
つまり、私も中学生並みの経済、金融知識しかなかったってことだ。
だから、

一、お金自体には価値がない
二、お金で解決できる問題はない
三、みんなでお金を貯めても意味がない
(19ページから引用)

というボスの主張に、異議を込めて「はぁ?」と声を発した。
生き死にはともかく世の中の問題の9割はお金で解決できる、と思っていたクチだからね。
しかし、この本は綺麗事を1冊にまとめた本ではなかった。
気付けばめっちゃ付箋を張っていた。
『きみのお金は誰のため』ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」 感想 tataraworks


読めば読むほど、我々はなぜこういうことを学ぶ機会がなかったのだろうと思った。
お金に関する知識は子どものうちから身につけておいた方が絶対に良い。
国から老後が心配なら投資するしかないですよ、と勧められたって知識がなきゃ二の足を踏むではないか。
知識があれば、がめつく卑しい真似をして金儲けをすることもないと思う。


ボスからお金について学ぶ七海が

「私みたいな若い女性って、日本のお客さんには軽く見られちゃうのよね。だから、株価上昇の理由とか聞かれたら、『グローバルな過剰流動性相場』とか、わざと難しい言い回しで答えるの」
(38ページから引用)

と、話す場面は少ししんどさを感じた。
世の中には女と言うだけで見下したり、女じゃ話にならないから男、何なら上司を出せ、などと言う人が多い。
これが若い男なら、若造というだけでキレるジーサンに悩まされたりもする。
男だろうが上司だろうが、話す内容はほぼ同じであるにもかかわらずだ。


性別や役職にこだわる人は例え得られる情報に差が無かったとしても、自分は特別な扱いを受けていると思え満足するのかもしれない。
器が小さいったらありゃしない発想だ。

「彼らは、難しい単語が知恵の実とでも思っているんやろな。過剰流動性という言葉を覚えれば理解した気になる。せやけど、知恵の実を食べても賢くなるわけやない。知恵は育てるもんや。重要なのは、自分で調べて、自分の言葉で深く考えることやで。」
(39ページから引用)

ボスが言うように難しい言葉を“知恵の実”だと思っているのかも。
そして、その言葉をよりポジションが高い人間から聞いたことで、実は大したことは言っていないのに、特別扱いされ凄く重要な情報をゲットできた、と優越感に浸っているのかもしれない。
相手も人間なのだから、ギャーギャーうるさくわめいて自分の人格すら否定した人間に有益な情報を与えようとは思わないだろうに。
難しい言い回しはそういう輩をうまくごまかせて都合がいいのかもしれない。


優斗の家はトンカツ屋さんだ。
そこにカスハラ客が訪れ理不尽な因縁をつける。
悔しい思いをした優斗の父は長男に、良い大学に入って良い会社に入ってちゃんと稼げるようになれと言う。
果たして稼げれば不条理を回避できるのだろうか?
大企業に勤めても道理を無視してつけあがる馬鹿者と遭うはずだ。
優斗の母は「お客様は神様だから」と難癖にも辛抱して対応する。
立場につけ込む卑怯なカスハラ客なんて神は神でも貧乏神じゃないか。
ガツンと言ってしまえばスッキリするが、卑怯者はSNSを暴力のツールとして悪用するからタチが悪い。


ボスはお金の力は選ぶ力であると言う。

「逆に言うとな。選べないとお金は力を失うんや。教育に力を入れようと国が予算を増やしても、学校の先生がおらんかったら何もでけへん。お金がえらそうにできるのは、働いてくれる人から選べるときだけや。災害が起きて働ける人が減ると、お金の無力さに気づくやろ」
(78ページから引用)

そういうことかとストンと胸に落ちた。
最近、将来を見越して介護脱毛を勧める傾向があるが、私はいつも一体誰に介護をしてもらうつもりなんだろうと頭にクエスチョンマークが浮かぶ。
子どもが生まれていなくて、将来老人を支える人の数は減っている。
国が支援をしても介護職の離職者は多く、脱毛したからって面倒をみてもらえるとはとても思えない。
お金を出しても人がいないのだからどうしようもないじゃないか。


どの業種も人手不足だから解消策として外国人を受け入れろという政治家もいるが、そういう政治家は奴隷商人のように思えてならない。
そもそも外国の人が、なぜ我々日本人のために都合良く働かねばならん。
ボスは優斗に、作れる人がいなかった時代なら1兆円出してもスマートフォンを手に入れることは出来ないと例え話をするが、そう考えると今は大会社でも将来萎む可能性は十分ある。


“お金の向こう”に何があるのか。
これが分かっていないと正しくお金とお付き合いできない。
ボスの話は面白く分かりやすい。
綺麗事のように思える部分もあるが、いかにも投資家らしいことも言う。

「もうからない投資は、社会への罪や」
(150ページから引用)

なんて言われると、ハッとする。
投入された労働以上に会社がお金をシッカリ稼いで利益を出さなければ、働いた人々の労力が無駄になるのだ。
ならば、会社が不正を働くことは、働いた人達の労力を水泡に帰す大罪であると思う。


私は、バラマキをするなんて馬鹿のすることだと思っていたけれど、どうしてそれが愚行なのかを他人に説明できるほどの知識がなかった。
この本を読んで、そうそうソレが言いたかった、とモヤモヤしていたことがクリアになってスッキリした。
思わず当時の首相の岸田さんにこの本をプレゼントしたい気持ちになった。


例えば、学校の無償化を親の立場で喜びたいのは分からないでもないが無償とは税金が上がることを意味する。
大学も無償で行ける国の税金は今の日本人には死を意味するほど高い。
少なくとも私は生きていけない。
私の子供時代と違い、無償で子育てができ夫婦共働きも当たり前になってきているにもかかわらず、生活はそれほどゆとりがないのが現実だ。
もっともっととバラマキをおねだりをする人は、そうするほど首が絞まる仕組みを分かっていないのだと思う。


お金の知識は知っていて損がない。
時代が変わって親世代も学校の先生も急に金融知識を頭に入れないといけなくなったが付け焼き刃だと思う。
マネー本は、著者の生い立ちとか人間関係とか成功物語とか何やかやで紙を消費しているが、結局のところインデックス投資を勧めているものがほとんどだ。
マネー本がインデックスを勧めていて、テレビや雑誌もオルカンオルカンと言っているから毎月積み立てようと考える人もいるだろう。
でも、自分で調べないで他人の意見を鵜呑みにしているとそれに為替ヘッジが付いていないことに気づかない。


『きみのお金は誰のため』は、マネー本を読んでも得られない“お金の向こう”を知ることができる。
私たちは常に“お金の向こう”を意識すべきなのだ。
そうすれば、お金を稼ぎながらも、世の中を優しい目で見ることができるのではないかと思う。
『きみのお金は誰のため』ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」 感想 tataraworks

☆。・:*:☆。・:*:☆。・:*:☆。

ご訪問ありがとうございました

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@hanazuki  hanaさま、コメントありがとうございます。
大人になってから親がお金持ちの人が凄く羨ましいと思ったことがよくありました。
だって彼らは私が逆立ちしても買えない株をいずれ親から相続できるからです。
「あ、これ、うちの親が持ってる~」って言われた時の絶望感。
うちの親がもう少しお金に関して勉強している人達だったら、私もあの人達と同じように先々気楽だったのにな、なんて思っていました。
今は自分で何とかできるので他人を羨む事はありません。
でも、知識を得ていなければ今でも妬んでいただろうなと思います(~_~;)
hanazuki
ステキなご本のご紹介、ありがとうございました😊
お金って生きていくうえで重要だし、どう使うかによって幸にも不幸にもなってしまう厄介なモノでもありますよね。私はお金のことには疎いので、こういうことを子供のうちに知ることが大切なんだなと思います。孫ができたら読ませたいです(*^^)v

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