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原田マハ著『旅屋おかえり』感想。旅人タレント“おかえり”の旅代行物語

原田マハ著〖旅屋おかえり〗あらすじ・ネタバレ感想。
あったかくて泣ける!
自称旅人のタレント“おかえり”が、行くに行けない理由を抱えた依頼人の思いに寄り添いながら代わりに旅をする物語。


〖旅屋おかえり〗 

著者:原田マハ
発行:株式会社集英社


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〖旅屋おかえり〗あらすじ・ネタバレ感想


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〖旅屋おかえり〗登場人物 

<よろずやプロ>
●丘えりか 32歳
 本名・岡林恵理子 通称“おかえり”
 [よろずやプロ]唯一のタレント
 旅が大好き
●萬 鉄壁
 [よろずやプロ]社長
 修学旅行で上京したおかえりをスカウト
●澄川のんの
 事務及び経理担当副社長
 かつてはセクシー系タレントだった

<ちょびっ旅スタッフ>
●ディレクター・市川
●カメラマン・安藤順太
●AD・奥村
●ヘアメイク・みっちゃん
●スタイリスト・ミミちゃん
●プロデューサー・藤島
●[番通]営業・徳田

<旅の依頼関連>
●鵜野千代子
 おかえりが電車に忘れたバッグを届ける
 娘に代わって旅して欲しいと依頼
●鵜野真与
 華道の家元の跡継ぎだったがALS発症
●鵜野華伝
 華道鵜野流家元
 娘の見舞いに来なくなり……

●看護師・高倉
●玉田大志
 玉肌温泉三代目湯守
 イケメンで有名だが3人の子持ち

●江田悦子
 [江戸ソース]会長
 遠縁の国沢真理子を訪ねて欲しいと依頼
 代わりに『ちょびっ旅』復活
●国沢真理子
 天川真理という名でアイドルだった
 実は萬社長の元妻
 美歌という娘がいたが事故死
●[江戸ソース]社長室・本田
●[江戸ソース]広報室長・山城

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〖旅屋おかえり〗あらすじ 

[よろずやプロ]唯一のタレントである丘えりか通称“おかえり”は、アイドルデビューしたものの鳴かず飛ばずで、現在は唯一のレギュラー番組『ちょびっ旅』で日本中を旅してまわっている。
職業は旅人だと思うほど旅が大好きなえりかは、例えギャラが安かろうと待遇が良くなかろうと『ちょびっ旅』で旅ができることに幸せを感じていた。
ところが、サービスのつもりでスポンサー名を連呼したものの言い間違えてしまい、スポンサーは激怒。
あっさり番組が打ち切りになってしまう。


『ちょびっ旅』のギャラで社長、副社長、タレントのえりかの生活が成り立っていたよろずやプロは潰れるしかない。
萬社長はえりかを連れ営業行脚にまわる。
が、スポンサーを怒らせるようなタレントに仕事をくれる会社はない。


明日が見えないどん底の中、えりかは『ちょびっ旅』のおかえりファンから心のこもった手紙をもらう。
電車の中で胸を熱くしながら手紙を読んでいたえりかはうっかり乗り過ごしそうになり慌てて下車する。
その時、全財産が入ったバッグを置き忘れてしまう。
仕事はない、全財産入ったバッグも見つからない。
途方に暮れるえりかだが、数日後、『ちょびっ旅』のおかえりファンだという女性がバッグをもってよろずやプロを訪ねて来る。
女性はえりかに、ALSの娘に代わって旅をしてほしいと頼み込むのだが……。

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〖旅屋おかえり〗ネタバレ感想 

“おかえり”はアイドルを目指し、高校卒業後すぐ礼文島から上京した。
上京する際、母親に、病気で亡くなった父と交わした「有名人になって帰ってくる」という誓いを果たすまで決して帰らないことを約束させられた。
だけど、鳴かず飛ばずで32歳の現在も実家には帰れないままだ。


[よろずやプロ]もおかえりが上京した当時は他にもタレントがいて羽振りの良い時期もあった。
が、残った所属タレントはおかえりだけ。
それなのに唯一の収入源(1本30万円で月120万円)だった『ちょびっ旅』が、スポンサーの名前を言い間違って打ち切り。
しかも、『ちょびっ旅』唯一のスポンサー。
おかえりは「江戸ソース」と言ったと主張するが、他の人や視聴者にはライバル会社の「エゾソース」に聞こえてしまう。
首を洗う暇も無く翌週には新番組が始まる超高速の処分だ。


そう言えば、某カードローンのCMに出演していた女優さんが某金融系ドラマで横領する銀行員役を演じ、CMを他の人に変えられたことがある。
カードローンは銀行が扱っているものだったのでやはりイメージが悪い。
言っちゃあ悪いがマネージャーさんがもうちょっと気をつけるべきだったよね。
安くないギャラを払ってイメージを壊すような真似されちゃ許されんよ。
そう思うと萬社長とおかえりが会社廻りをした程度じゃ、スポンサーを怒らせたことはチャラにはならないんだよな。


この先どうしたらいいのかとどん底にいたおかえりだったが、彼女の番組を楽しみにしていたファンから代わりに旅をしてほしいという依頼を受ける。
ALSの鵜野真与に代わって旅をする成果を考えたらとても難しい依頼だ。
どんなことをしたら依頼人の満足につながるのか、果たして代わりに旅することに意味があるのか。
逆にがっかりさせたり傷つけたりするかもしれない。
しかも、真与は生きることを諦めている。
その気持ちを変えさせるほどの成果を考えたら仕事を引き受け難い。


誰かの代わりに旅することで誰かの気持ちを変えるなんてできるだろうか。
普通に考えたら無理じゃないかな。
それは、越えてはいけない境界線を踏み越えることになり、相手を酷く怒らせてしまうかもしれない。
それでも、おかえりは自分にできる旅の楽しみ方で依頼人の望みを叶えようとする。
そんなおかえりが旅の成果を持ち帰ると、それは依頼人の心を柔らかくし、時には涙を流して喜んでもらえるのだ。


おかえりは売れないタレントだが、人運には恵まれている。
おかえりの初めての旅屋の仕事では、カメラの使い方や効果的な撮影の仕方、メイクの仕方にストーリー展開まで、『ちょびっ旅』の元スタッフが自主的に教えてくれる。
自分たちのギャラには一切関係ないが、無償で協力してくれる。
[よろずやプロ]の社長は父親代わりで、多分、廃業した方が楽だったと思うが仕事を干されたおかえりの為に頭を下げてまわってくれる。


おかえり自身が明るくて、いつも物事を前向きに捉えているから周囲の人達も応援したくなるのかもしれない。
可愛げって大事だよなと思う。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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