写真は2010年の紅葉シーズンに撮ってきたんだけど、そのままストックしていた雷山千如寺大悲王院。
制作中の寺本のために久しぶりにお参りに行って、ついでに雷(いかづち)神社にもお参りしてきた。
寺伝によると、このお寺は成務天皇四十八(178)年、つまり仏教公伝538年の360年も前に、雷山の地主神である雷大権現(神道風にいえば雷神様ということか?)の招きで渡来したインドの僧・清賀上人によって開かれたという。
まあ、博多というか、特に糸島地方は古くから大陸や半島との交流があった訳だから、仏教公伝前に渡来僧が来ていても何の不思議もないんだけど、資料によっては「聖武天皇の勅願によって神亀二(725)年に清賀上人が創建した」と書いてあり、別の資料では創建には触れず、「神亀二(725)年に聖武天皇の勅願道場となって、七堂伽藍が整えられ、僧坊三千を超える大寺になった」ともある。
178年と725年ではどえらい違いなので、ネットで調べてみたら、次のようなものが出てきた。
千如寺にある「雷神社(雷山の山頂付近に上・中・下宮があって、垂仁天皇が敵国降伏の神として創建。雨乞いの神としても知られる。千如寺の神宮寺)の社記」によれば、第六代孝安天皇より第十一代垂仁天皇の御代まで異国からの襲来が何度もあり、“当社”の神が大雷火となり異賊を降伏させたとの事で、垂仁天皇がこの御神徳をかしこんで社殿を建て、『敵国降伏の神』として尊崇されたと伝えているという。
また、「雷山千如寺縁起」には、神功皇后が三韓征伐の時、武内宿禰に命じて宝剣宝鏡を供えて、雷山の主神「水火雷電神」に伏敵祈願を行ったとも記されているという(「仏教伝来と神仏習合 – 古代史俯瞰 by tokyoblog」より)。
千如寺からしばらく登ったところにある雷神社中宮 | |
拝殿が広い雷神社社殿 |
さらに、『糸島郡誌』によれば、元亨年間(1321~1324)の小蔵寺文書に聖武天皇の時に清賀聖人の建立と記されており、こちらを正しいとし、成務と聖武は音が同じなので問違えたのであろうという見解を載せています。現在ではこの見解に従って、千如寺を天平年間(聖武天皇の御代)の建立と紹介しているガイドブックが多いようです。( <br>
というところから考えてみると、「<b>聖武天皇の勅願によって神亀二(725)年に清賀上人が創建した</b>」というのが最も妥当なのかもしれない。<br>
となると、仏教公伝前に糸島に伝わっていたという話はなくなってしまうんだけど…。<br>
いずれにしても、清賀上人は千如寺をはじめとする<a href=" "https://hakataboy.com/temple/r/r.php?key=16">怡土七ヶ寺を開いたとされ、伝説的名僧となって語り継がれているのだ。
千如寺に話を戻すと、名物は三つ。
一つ目は御本尊の木造十一面千手千眼観音像(国指定重要文化財)。
高さ約4.63m、いわゆる丈六に近い大きな坐像で、堂々たる威容を放っている。
千手観音像は通常千手を略して48手とする場合が多いのですが、この像は(光背の手を合わせると)実際に千の手を持つ像として造られています。(糸島市観光協会公式ホームページ「いこいこ糸島より」)。
(写真は今度許可をいただいて撮ってくる予定)
ご住職の話によると、この観音像はもともと雷神社にあった観音堂を明治の廃仏毀釈の際に下宮だった千如寺に移してきたものらしい。
もう一つは開山堂に鎮座する、これも国の重文に指定されている木造清賀上人坐像。
(写真は今度許可をいただいて撮ってくる予定)
そしてもっとも有名な大楓は宝暦2年(1752)に第六代藩主黒田継高公が現在の大悲王院建立記念に植樹されたものといわれ(そもそも「大悲王院」というのは何なんでしょう?)、樹齢は400年以上。県の天然記念物に指定されている。
樹齢約400年といわれる大楓。 |
また、ここで授与しているサムハラは身代わりのお守りとして有名で、肌身離さず護持していると一切の災難を除かれ、恒に加護を受けるといわれているのだとか。以前ビートたけしの番組で紹介されたことがあり、話題になったことがあるらしい。
京都醍醐寺仁王門の様式を参考に平成二年に建立されたという仁王門。 |
建物がいろいろあるので分かりにくいが、「千如寺」の扁額が架かるここが本堂。 | |
宝物殿。 |
宝物殿の奥にある室町時代作庭の心字庭園。 |
御本尊が納められている観音堂。 | |
観音堂から開山堂への通路の脇にひしめく五百羅漢。そんなに古くはないっぽい。 |
いちばん高いところにある開山堂。木造清賀上人坐像や五鈷杵、錫杖などが納められている。 |
芥屋の大門に通じているといわれる雷山の風穴。清賀上人が風神を封じたといわれている |
まあ、写真でも分かる通りの紅葉の名所なので、シーズンには麓まで大渋滞。
出かけるときは覚悟の上で。
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