福岡なるほどフシギ発見～番外編～ 大宰府「客館」と九大の仙厓さん

「客館」出土品並ぶ　大宰府展示館で速報展

　奈良時代から平安時代初期にかけ、外国使節が宿泊した「客館」の可能性が明らかになった太宰府市朱雀の西鉄操車場跡地の遺跡。ここで出土した遺物約３０点の速報展が、同市観世音寺の大宰府展示館で開かれている。１１月１２日から催されていたが、同市教委が「客館」の可能性を正式発表したことで、関心が集まっている。
 　速報展は、財団法人の古都大宰府保存協会（佐藤善郎理事長）の企画。スズと銅の合金「佐波理」の匙（さじ）は２００９年に発見され、正倉院（奈良県）の所蔵品と同型と判明している。平安時代初期に中国の唐からもたらされた香炉の破片や、新羅系の須恵器も公開。碁石や、サイコロ状の石製品もある。

（2011/12/14付 西日本新聞朝刊）

という訳で、速報展を見に大宰府展示館に行ってきた。

ちなみにここで「客館」と推定されているのは、大宰府政庁の正面から延びる古代のメインストリート・朱雀大路沿い（今の通りは御笠川を越えた「朱雀大路」交差点から曲がっているけど、当時は二日市温泉の方に真っすぐ延びていた）にあたる場所から高級？食器などとともに発掘された大型建造物の遺構で、大宰府政庁を訪れる外国使節のための宿泊施設ではないかと考えられるそうな。

外国使節の宿泊施設としては鴻臚館が有名だけど、海側の鴻臚館と大宰府近くの今回の「客館」。

どう使い分けされてたのかは今後の調査・研究によるというところだろうけど、単純に考えれば、船団の一行が滞在した鴻臚館と、その中のお偉いさんが大宰府にお伺いを立てる際に利用した大宰府「客館」ということになるんじゃないかと思うんだけど。

で、速報展。

「客館」の出土品プラス、大宰府政庁跡西隣の蔵司地区で最近見つかった鉄製の武器・武具が合わせて展示されていた。

太刀の時と違って、今回は出土品そのものよりも、それらが出たところに何があったのかが重要なので、出土品そのものはいささか地味だがしょうがない。

見ていたら例によってボランティアガイドのおっちゃんが寄ってきて、展示物の説明をしてくれるかと思ったら、藤原広嗣の乱や僧・玄のことばっかりしゃべっていった（それはそれで面白かったけど）。

おっちゃんによると、そのうち現地説明会があるでしょうとのことだったけど、とりあえず現地に行ってみたら、榎社の先、西鉄二日市駅の近くにブルーシートが敷かれている一角があったので、たぶんそこなんだろう（TOPの写真）。

蔵司地区官衙跡。この奥で鉄製武具が出たんだと思う。

久しぶりに太宰府まで来たので、九州国立博物館にも寄ってみた。

トピック展示で『九州大学百年の宝物』と題して九大の代表的なコレクションを展示してるんだけど、目的はもちろん仙厓さん。

文学部所蔵の106点のうち、『猫の恋図』などポピュラーなものが5点ほど展示されていた。

ほかにも巨大なアンモナイトの化石など、すごいものがいくつか。

学生時代にこんなものは見たことも見ようと思ったこともないけど、やっぱ勉強はすべきときにやっとかないといけないな。

太宰府展示館の速報展、九州国立博物館の『九州大学百年の宝物』ともに明日12月18日（日）まで。

追記

12月24日（クリスマスイブ！）に行なわれた現地説明会に行ってきた。

場所は予想通り上記の場所。

都（平城京・平安京）も同様な場所に客館があったようで、都の場合は大通りの両側に建物があったと考えられるそうなので、大宰府でも朱雀大路の反対側を掘ればもうひとつの客館跡が見つかるのかも。

客観（推定）が発掘された現場。北館と南館の２つの大型建物の掘立柱跡が見つかったそうで、こちらは北館寄りの高級食器類が出土した場所だと思われる。横を走るのは西鉄天神大牟田線。

こちらは道路を挟んで太宰府線側の、倉庫群と思われる掘立柱跡が見つかったところ。奥は西鉄二日市駅。

　発掘現場（Google Map）

現地説明会のいいところは、出土したお宝を間近に見れて、写真も撮れること。

博物館に収まってしまうとこうはいかない。

漆器の皿のと佐波理（さはり）の食器。佐波理とは銅とスズの合金だそうで、もともとは写真上部にある写真のように金ピカだったらしい。ろくろで削り出し、厚さはなんと0.5mmぐらいなのだとか。

奈良三彩の壺の破片。奈良三彩とは緑・黄・茶など3色の釉薬を使って焼かれた奈良時代の陶器。この壺は緑・黄の2色の可能性があるらしい。

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