つらつら日暮らし

マルティン・ルター『九十五箇条の提題』を学ぶ・28

ドイツ宗教改革の発端にもなったとされるマルティン・ルターの『九十五箇条の提題』の日本語訳を学んでいく連載記事である。連載28回目である。

3〔28〕 お金が箱の中に投げ入れられ、そのお金がチャリンと音を立てることで、利益と貪りは確かに増し加わるに違いないが、教会のとりなしはただ神の御心に基づいている。
    深井氏下掲同著・21頁


前回に紹介した項目もそうであるが、教会に喜捨した金銭についての直接的な話である。感覚として、お金を箱(日本なら賽銭箱を想起すれば良い)に投げ入れ、チャリンという音が鳴るときに、ルターは「利益と貪りが確かに増し加わる」といっている。しかし、良く分からないのは、これが「誰にとって」ということである。

つまり、投げ入れた人にとって、利益と貪りが加わるのか?投げ入れてもらった教会関係者にとって、利益と貪りが加わるのか?という点が分からない。

ただし、文章的には、最後に「教会のとりなし」についての言及があるので、利益と貪りが加わるのは、投げ入れた人にとって、徒解釈するのが妥当にも思われる。

そう読むと、ルターはただ、教会関係者のみを批判したのでは無く、その宣伝などに乗っている民衆をも批判していることになるが、それが正しかったのかもしれない。近現代の日本でも、宗教の堕落は教団関係者に批判が集まるところだが、実際にはその堕落を許している人々の側の責任もあるわけである。

【参考文献】
・マルティン・ルター著/深井智朗氏訳『宗教改革三大文書 付「九五箇条の提題」』講談社学術文庫・2017年
・L.チヴィスカ氏編『カトリック教会法典 羅和対訳』有斐閣・1962年
・菅原裕二氏著『教会法で知るカトリック・ライフ Q&A40』ドン・ボスコ新書・2014年
・ルイージ・サバレーゼ氏著/田中昇氏訳『解説・教会法―信仰を豊かに生きるために』フリープレス・2018年
・田中昇氏訳編『教会法から見直すカトリック生活』教友社・2019年

この記事を評価してくださった方は、にほんブログ村 哲学ブログへを1日1回押していただければ幸いです(反応が無い方は[Ctrl]キーを押しながら再度押していただければ幸いです)。

これまでの連載は【ブログ内リンク】からどうぞ。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「宗教」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事