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アマチュア無線、飛行機、鳥、猫、ドライブなど・・・。思いつくまま、気の向くまま・・・。備忘録程度に綴ります。

FT817のファイナル部品交換修理

2021年06月01日 15時32分30秒 | アマチュア無線
 アマチュア無線ネタです。先日の記事に書いた通り、手持ちの無線機Yaesu FT817の出力異常の修理をやってみました。

 この機種は初代の機種でもう10年以上使っています。その後、FT817NDとかFT818NDとかバージョンアップを繰り返していますがおそらく基本設計は大きく変更されることなく現在に至っています。私の無印のFT817は現在はメーカー修理を受け付けていません。この出力異常はこの機種では割とよく起きている現象で、ネット上でも各局の嘆き声が多数聞こえてきます。

 困るのは何をどう注意すれば壊れないのかがよくわからないことです。結構頻繁に使っていても壊れないし、逆に全然使っていなくても久しぶりに動かしてみたら壊れていた、などといろいろなケースがあります。

 一般的に「ファイナルが飛ぶ」という表現をされますが、最終増幅段のトランジスタが壊れてしまう現象です。この機種の場合ではほとんどの場合2SK2975という正方形のトランジスタが破損します。耐圧30V程度の回路構成のようですので、整合の取れていないアンテナで送信したりとか、アンテナを付けずに送信ボタンを押してしまったりとかしたときによく壊れるみたいです。厄介なことにアンテナ端子が静電気を拾ってそれで壊れてしまうケースもあるみたいです。

 私の場合も購入した翌年くらいに移動運用で使った後、出力がおかしいことに気が付いて修理に出しました。その時も何をやっても0.5W以上出力されないという症状でした。その後、故障が嫌で使っておらず、たまに受信テストで使ったりした程度で送信は全くしていませんでしたが、今回自作ダミーロードのテストで使ったときにたまたま異常に気が付いたという次第です。今回のダミーロードが原因なのか、それともテスト以前に壊れていたのか明確には特定できませんが、私の記憶ではダミーロードテストの時にはすでに壊れていたような気がします。

 さて、ボヤキ節ばかり書いても仕方ありません。メーカーで修理を受け付けてもらえないとなると自力で直すしかありません。ありがたいことにいくつかの情報がネットにありまして、それを試してみることにいたしました。このトランジスタは発熱が大きくて、そのために裏面にがっちりと放熱板が付いており、それをはがすのは普通のはんだごてでは無理というのが修理の難しいところなのですが、それを解決された方がおられましてそちらの方が残してくださった方法で挑戦してみました。詳細を確かめたい方はそちらのHPの方が間違いないと思いますので、そちらをご覧ください。(FT817 ファイナル 故障 などでググると出てくるはずです。)

ケースカバー(下側)のねじを外す。




写真中央左下側に止められている金色のねじ(2個)を外し、錫メッキ線2本2か所、トロイダルコアから接続されているケーブル2本4か所をはんだごてで外す。


白い接着剤でさらに固定されていますが、私はカッターで切断しました。


これでユニットを取り外せます。中央に見える黒い2つの長方形の部品が2SK2975です。交換用の部品はサトー電気で購入できました。



 
ユニット基板を取り外した後は裏面の放熱板がコンピューターのCPUのようにシリコングリスが塗られているのがわかります。もとに戻すときにまた塗りなおしますのでシリコングリスも用意しておく必要があります。私は自作PCマニア時代に手元に残したものがありました。それを流用しました。


さて、今度は壊れたトランジスタをとりはずします。20~30W程度のはんだごてではとても取り外せませんので、「クラッド抵抗」6.2Ω(25W)を使います。これもサトー電気で購入できました。厚手の板にこの抵抗を接着剤(G18を使いました)で取り付けます。そしてそのクラッド抵抗にシリコングリスを塗り、取り外したユニット基板のトランジスタの裏側を合わせて、ねじで固定します。φ2mm長さ1.5㎝くらいのねじで固定できました。


次にクラッド抵抗に13.8Vをかけます。昔作った自作可変安定化電源(5A対応)がありましたので、それを使いました。


通電!気になったので温度計も取り付けて温度も見ることにしました。


200度くらいからトランジスタについていたはんだが解け始めます。そこを見逃さずピンセットでトランジスタを取り外します。実に簡単に取れます。取れたらすぐクラッド抵抗に通電していた電源をはずします。わたしはちょっと手元がくるって2個のトランジスタ上側の間に取り付けてあった実装部品も持って行ってしまいました。気が付いたので失くならずに済みましたが、あんなもの老眼の私には見えません。気が付いて本当に良かったです。くれぐれもトランジスタは垂直に外しましょう。周辺部品のはんだも解けていますので触らないように注意しましょう。


基板がある程度冷えたら、今度はトランジスタを取り付ける準備です。トランジスタを載せる部分をはんだごてで整え、そのあと薄くフラックスも塗っておきました。



トランジスタはパッケージに入っています。トランジスタの裏側にも軽く予備はんだして、フラックスしておきました。


あとで熱したときに基板のランド部分とトランジスタがちょうどよい具合で接着できる量をイメージして軽く整えておきます。そしてピンセットでトランジスタをはんだの真上に正しい向きに載せておきます。



そして再度クラッド抵抗に通電し、温度を上げていきます。しばらくすると(約200度)はんだが溶けてきます。垂直にピンセットでトランジスタを上から軽く押さえて位置を合わせます。加減が難しいですね。手も震えます。時間もかけられません。2つともササッと手早く位置を決めたら、通電をやめます。当然冷えて固まってきます。これで取り付け作業は終了です。








トランジスタを取り付けた後、私は先ほどはがしてしまった実装部品2個(抵抗かコンデンサですが小さすぎて表記もなくわかりませんでした)を取り付けました。このはんだ付けもなかなか難しい印象ですが、Youtubeで実装部品のはんだ付けの動画を見て要領をつかんでいましたので、それほど苦労せずにもとに戻せました。(老眼の私にはそろそろきついですけど・・・)

トランジスタの熱が取れるまでゆっくり待ちます。私はクラッド抵抗に取り付けたまま自然に冷ましました。急激に冷やすと熱収縮でトランジスタが破損することがあるそうですので、ここまできたら慌てず次の作業のイメージをしながらのんびりしておくのが吉です。

これでケースに戻せば817は息を吹き返すはずですが、ファイナル破損再発防止策があるようなのでそれも施しておきました。


やはりネット上にあった情報を参考にさせていただきました。詳細は省略します。2SJ334×1、2SC1815×1、100kΩ×1、10kΩ×1、5.1kΩ×1を使った保護回路です。(先ほどのトランジスタ交換の情報を提供してくださっている方がこちらの情報も掲載してくださっています。回路図もそちらにあります。)


出力調整も紹介されていましたが、私はデフォルトのままでいじりませんでした。送信テストをしてみて出力に問題があったらやり直そうと判断しました。

さあ、送信テストです。まずは0.5W。大丈夫みたい。


1WもOK。


2.5WもOK。


5WもOK。


どうやら大丈夫みたい。出力的にも問題なし。ふ~~。よく壊さなかったなあ。何とか無事にファイナル交換及びファイナル保護回路増設が終わりました。これで私のFT817は今度使うときも無事に使えるはずなのです。いつの間にか壊れていた!なんてことはもう二度とないはずなのです。素晴らしいじゃありませんか。ひょっとしたら私より長生きするかもしれません。これからも大切にしていかないといけませんね。

自作ダミーロード

2021年05月30日 15時21分43秒 | アマチュア無線
 製作ネタが続きます。本日は前回お伝えした通り、ダミーロードの自作結果の報告です。

 情報元はこれもネット上のものですので、詳細は省略しますが、200Ω(5W)の酸化金属被膜抵抗を4個並列につないで50Ωにしてコネクタに接続させるパターンです。

①余った銅張積層板(生カット基板)があったので、1.8㎝四方に切り出したものに穴をあけて、BNCコネクタと接続するタイプのもの





②基板は使わず、M型コネクタに同軸をつないで、それに抵抗を接続するタイプのもの





 の2種類を制作しました。

 製作自体は、基板の切り出しと穴あけ、抵抗の足の長さ合わせ、同軸の皮むき、はんだづけくらいなので簡単に出来上がります。



 

 出来上がったものを無線機とSWR&PWR計につないでテストしてみると、SWRはHFからVUまでだいたい1.2位でした。BNCのものもM型のものも一緒だったのでもともとこんなものなのでしょうか。それとも抵抗器やコネクタの質や接続の仕方に何か原因があるのでしょうかね?ちょっと私にはわかりませんが、とりあえず手軽に計測を、というときには気兼ねなく使えるかと思います。

 私の場合だと手持ちの無線機の出力傾向を見たり、同軸の性能を確かめてみたり、アンテナのSWRを確かめたり、といろいろ使えそうです。いままで使っていた市販品の代わりに出番を増やすこともあるかもしれません。自作のものには愛着が湧きますね。

 計算上は20Wまで使えるはずなのですが、それは怖いのでやめておきます。多分大丈夫だとはおもうのですが・・・最近修理や製作ばかりで忙しいので・・・(笑)

 話が変わりますが、このFT817(初代無印)を使ってテストしていた時に、なんとファイナルが飛んでいることがわかりました。設定でどのレベルに変えても0.5Wしか出力されません。これFT817の得意技なのですよね。この修理を経験される方が結構多いようです。ずいぶん昔にも同じことがありました。その時はメーカーに修理を依頼して、ファイナルのトランジスタを交換してもらって結構な修理代がかかったことを思い出しました。

 メーカーでは初代のFT817は現在修理を受け付けていないそうです。正直全然使用していないので、直すこともないか、とも思ったのですが、ネットで調べてみると自分で治せそうな情報がいくつか見つかりました。近所のパーツショップで交換部品がまだ入手可能だったのでさっそく手配しまして、自分で直してみることにしました。

 ダメ元、というやつですので動かなくなっても悔いはない!と言い聞かせて挑戦してみます。でも昭和の人間なので、やっぱりただのガラクタになるのは悔やまれます。なんとか直したいものです。!(^^)!

ステップアッテネーター

2021年05月28日 15時10分42秒 | アマチュア無線
 今度はステップアッテネーターの方です。こちらはネット上にいろいろあった情報を参考にさせていただいています。作者の皆様、ありがとうございます。
 
 ケースの加工。タカチのアルミダイキャストケースにBNCコネクタ用φ9mm、や6Pトグルスイッチ用φ6mmの穴をあけ、すべて取り付け。そのあと、くりぬいた銅張積層基板の真ん中をスイッチのサイズにくりぬいて、スペーサー10mmをかませてケースに取り付け。 




 左からー20db、-10db、-6db、-3db、-1dbのユニット。Π型減衰回路です。それぞれの減衰量の抵抗はネット上の情報をそのまま使わせていただきました。-1dbが6.8Ω×1と910Ω×2、-3dbが18Ω×1と300Ω×2、-6dbが39Ω×1と100Ω×2、-10dbが75Ω×1と100Ω×2、-20dbが62Ω×1と240Ω×1という組み合わせで取り付けました。(この時点では間違いに気が付かず、-20dbだけがうまく動作しませんでした。1個の抵抗が2桁、2個セットの抵抗が3桁、と雑に理解してしまったことが仇になりました・・・(泣)




 すべて取り付けて、テプラでラベルを作って貼り付け。完成です。




 この後、動作テストを行ってみたのですが、先ほど書いた通り-20dbの減衰だけがうまくいきません。理由は一晩眠って朝目覚めた後、回路図を見直した時にはっと気が付きました。-20dbの抵抗の組み合わせは240Ω×1と62Ω×2だったのですね。見間違いというか、早とちりというか、わかってしまえばとっても恥ずかしいミスでした。-20dbは周辺回路とシールド分離しないと、みたいな書き込みもあったのでてっきりそれかと思いましたがそれ以前の初歩的な問題でした。

 手持ちの抵抗がなかったので、5つ目のユニットも-10dbのセット75Ω×1と100Ω×2の組み合わせにしました。5つのスイッチをすべて入れれば-30dbとなり、今回はこれで十分としました。動作の方も問題なさそうです。やれやれです。計測ツール作りはまだ終わらず、今度はダミーロードを作っています。出来の方は次回書きたいと思います。

スルーカップラー制作記

2021年05月27日 20時48分10秒 | アマチュア無線
 雑誌「HAM WORLD 5月号(2021)」の記事を参考にスルーカップラーを作ってみました。無線機の出力測定など、測定を自分で行うときに、必須のツールです。無線機の出力をそのままダイレクトに測定機器に入力したら測定機器が壊れてしまいますので、これがマスト?アイテムの一つとなります。

 他にももう一つWEBにいろいろ出ていた情報を参考にステップアッテネーターも作ってみました。どちらも初めての制作なので、それじゃダメだろう!というご指摘もあるかもしれませんが、まずは初めて作ってやってみてどうなるか勉強ということですので深くは突っ込まないでください。m(__)m

 雑誌の紙面を読んでみると、-20dBの減衰性能で、無線機の10Wの出力なら-20dB(1/100の0.1W)の信号に減衰、10dBのアッテネーターをつなげば1/1000に減衰でき、10mWの信号になって、スペクトルアナライザーやオシロスコープ、周波数カウンターなどにつなぐことができるということです。そんな内容だったのでステップアッテネーターも作ってみる流れになりました。

 で、スルーカップラーの方ですが、近所にあるパーツショップで部品が入手できたので、そちらから作ってみました。詳細は雑誌の紙面に載っていることですのでここでは省略させていただきます。




 
 トロイダルコアにコイル10ターン巻いたもの、BNCコネクタ3個、線材少々、ケースだけで作れるので簡単ではありますが、初めてなのでこれで良いものか使ってみないことには何もわかりません。アースは銅テープをケース内にはり付け、それにはんだ付けを行いましたが、これは絶縁タイプのコネクタを使ったためです。なんだかこの部分がとても無駄で、雑誌の紙面ではケース全体がアースになっている構造に見受けられます。うまく動作しなかったらこの部分から改善していくことになると思います。



 ここまでで実際の計測テストはまだやっていません。ステップアッテネーターを完成させて、セットでテストする予定です。手持ちのハンディ無線機を使って出力やアンテナ特性などを調べてみたいと思っていますが、そこまでたどり着くにはまだ時間がかかりそうです。なぜなら、ステップアッテネーターの方がどうもうまく動かないのです。-1dB、-3dB、-6dB、-10dB、-20dBの5ユニットで構成した回路なのですが、-20dBの部分が-6dBと同じレベルしか減衰できず、原因究明中です。こちらも簡単な回路なのになんでだろうなあ?次回、経過を書くつもりです。

従事者免許到着!

2021年05月22日 15時55分00秒 | アマチュア無線
 先月、合格発表後すぐに申請した第1級アマチュア無線技士従事者免許が今朝届きました。

 

 3級や4級は関東総合通信局長印のついた免許でしたが、こちらは総務大臣印!

 ・・・現職大臣の名前が入っていなくてよかった(笑)

 材質も立派で自動車運転免許よりも豪華!取得できて良かった!一生モノの宝です!

 さっそく今度は局免許の変更申請を行いました。固定局と移動局の両方とも変更です。今はネット(「総務省電波利用電子申請届出システム」)でできるので便利になりましたが、所有する固定局と移動局のそれぞれのリグを数えてみると結構な台数で、どの無線機が何番目に登録されたものかがわからず難渋しました。電子申請届出システムを利用するようになってからのデータは残してあったたので、それを見ながらの申請でしたが、今まで一度できちんと不備なくできたことがありません。また何かご指摘をいただくかもしれません・・・。ドキドキです。