”広島の果物屋”トド店長のひとり言

3代目のトド店長が、今日も美味しい果物を求めて東奔西走、果物の豆知識に旬の果物から新品種、はたまた雑感まで呟きまくり!

いらっしゃいませ。 その12 「ワックス」続き

2016-12-25 10:02:06 | いらっしゃいませ
前回からの続きです。

では、果物に使用するワックスの正体は、何なのでしょうか?
果物に使用できるワックス(の成分)は、大きく分けて、次の二つのタイプに分かれます。

1.天然由来による物
2.石油由来による物

なお、どちらのワックスも、食品衛生法の食品添加物として厳しい規制を受けており、その安全性は高いと思います。
ではそれぞれについて説明しましょう。

天然由来による物 

 1.カルナウバロウ
厚生労働省行政情報の「既存添加物名簿収載品目リスト」の70番目に記載
   ブラジル特産のカルナウバ椰子の葉から採取、精製した天然ワックスです。
   カルナウバ椰子は、遠くからでも葉のワックス分がキラキラ輝いて見えるので、直ぐに見分けが付くそうです。
   チューインガム、キャンディー、果実、チョコレート等に使用。

 2.シェラック (シュラック あるいは セラックとも言う)
   厚生労働省行政情報の「既存添加物名簿収載品目リスト」の151,152番目に記載
   インド・タイ・ミャンマーなどに生息するラックカイガラムシという昆虫が分泌する天然樹脂から得られます。
   チョコレートやキャンディー、糖衣菓子、果実、チューインガム、医薬品などに使用

石油由来による物 
 1.マイクロクリスタリンワックス
   厚生労働省行政情報の「既存添加物名簿収載品目リスト」の310番目に記載
   果実、チョコレート、チュ-インガム、化粧品などに使用
   
2.流動パラフィン (パラフィンワックス、ミネラルオイル、水ワックスと呼ばれることもある)
   厚生労働省行政情報の「既存添加物名簿収載品目リスト」の352番目に記載


これらは、単独で使用されるよりも、混合して使われることがほとんどのようです。
また、流動パラフィンについては,あいまいで矛盾した情報が錯綜しており、実際に使用されているかどうかは分かりませんでした。



いらっしゃいませ。 その11 「ワックス」 続き

2016-12-22 14:37:30 | いらっしゃいませ
前回から続きます。

ミカンには、以前はワックスを使っていませんでした。

ところが、ミカンの収穫直前に散布する石灰硫黄合剤が、収穫後も白い筋となって果皮に残っていることが多かったために、残留農薬として消費者から忌避されたのです。

石灰硫黄合剤は、残留している程度であれば直接口に入れても無害ですし、拭いただけで簡単に落ちてしまうものだったのですが。

それに収穫後の腐敗果や浮き皮の発生を抑えるのには、石灰硫黄合剤は有効だったのです。

それにも関わらず、生産者側は消費者にそういったことを全く説明しなかった。

代わりに採った方法は、ミカンを洗浄することでした。

洗浄とは、まずローラーの上で転がしてミカン同士をこすり合わせ、次にブラッシングにかけ、水を掛けて洗い流し、温風で乾かすのです。

これら一連の作業をこなした上、みかんの選別を自動化するために、何億もする大型の機械を導入したのでした。

これで石灰硫黄合剤の残留は問題にならなくなったのですが、困ったことに、上記の作業をしている間に、ミカン本来が持っているワックス(クチクラ層)も失われてしまい、すぼれやすくなってしまったのです。

それでやむを得ず、ワックスを後から掛けるようになったのです。

よく消費者の方から、「見かけをよくするためにワックスを掛けるなんてけしからん!」と言った意見を聞きますが、生産者側からすれば、余計な費用をかけてワックスを掛けたくなど無かったのが本音です。

次回は、ワックスそのもについて書きます。







いらっしゃいませ その10 「ワックス」続き

2016-12-21 15:49:46 | いらっしゃいませ
果物は、自分の実を乾燥や病気から守るために、ワックスを分泌すると考えられているんですね。

だから、このワックスを拭き取ってやると、急速に果実の水分が失われていきます。

私が小さい頃、お店にある紅玉リンゴを、布でぴかぴかに磨き上げたところ、2~3日で表面にシワが寄ってすぼれて(「すぼむ しおれる」の方言)きたことがありました。

それからは、できるだけ白い粉を落とさないようにそっと扱うようになりましたっけ。

それほど、ワックスは果物にとって大事なんですよね。

だって、すぼれた果実は、鳥等の動物には食べてもらえませんものね。

子孫を広げていくのには不利になるわけですよ。

ちょっと話がそれましたけど、ワックスを失って水分がとんだ果実は、当然人間にとっても美味しくないのです。

だから、やむを得ずワックスを失った果物には外側からワックスを塗ってやることもあるんですよ。

次回は、その話を致しましょう。


いらっしゃいませ その9 「ワックス」

2016-12-20 18:13:37 | いらっしゃいませ
いらっしゃいませ。

おや、お久しぶりですね。

今日は何に致しましょうか?

リンゴですか?

確か酸味のあるのがお好きだったですよね?

でしたら、こちらの紅玉か、ジョナゴールドですね。

え?紅玉は小さすぎるし、ジョナはワックスが掛かっているから嫌ですって?

でも、このジョナがピカピカ輝いているのは、リンゴ自体が持っている天然のワックス分なんですよ。

ええ、そうですね。

確かに、シーズンはじめのジョナは、こんなにピカピカしていませんよね。

でも、その頃のジョナは、果皮の表面に白い粉が付いていますよね。

これが天然のワックスなんですよ。

最初の頃のリンゴのワックス分は、針状結晶といって針のようにとがっているので、光が乱反射して白く見えるんですよ。

で、リンゴの種類によっては、たとえばジョナや北斗などは、時間が経つと果肉内にオレイン酸やリノール酸などの脂肪酸が出来るんですよ。

この脂肪酸は、いわば油なので、果皮ににじみ出してきて針状結晶のワックス分を溶かしてしまいます。

溶けたワックス分は平になって光を正反射するので、ピカピカ輝いて見えるんですよ。

**次回に続く**





いらっしゃいませ その8 「紅まどんな」

2016-12-19 19:12:31 | いらっしゃいませ
いらっしゃいませ。

何に致しましょうか?

あ、これはですね、紅まどんなといって、先日テレビで「1個千円もする!」と言っていた柑橘なんですよ。

ええ、ホント、当店ではテレビで言っていた物よりも気持ち小さいんですが、それでも八五〇円もするんですよ?

なんと高い!と思われるかもしれませんが、コレが凄くよく売れているんですよ!

この紅まどんなは、果皮と中袋が薄くというか薄すぎて、手で剥くと潰れて汁が出てしまうほどなんですよ。

ですので、カットして食べる方法が主流となっていますね。

この紅まどんなの最大の魅力は、なんと言っても、その食感にあります。

薄過ぎて全く気にならない程の中袋に包まれた果肉は、口の中に入れただけで、ゼリーの様にほろほろと崩れていって、オレンジのような爽やかな香りと酸味の少ないさっぱりとした甘い果汁でいっぱいになり、至福の一時が過ぎていく....。

そんな幸せ感あふれる柑橘なんですよ。

これで糖度が12度くらいしか無いなんて、ほんと、信じられないですよ。

それに果皮の薄いこと、触っただけでお餅のようなもちもちとした感触が食欲をそそりますよねー。

農橙色というか、赤みを帯びた濃い朱色の果皮が、いかまにも「中の実はおいしいぞ~」と訴えているようですよね。

香りが又素晴らしい!オレンジ臭の中にミカンのまろやかな香りが混じり、ほんのちょっとだけクレメンティンの香りがアクセントになっていますねえ。

これが、爽やかさの中に甘さを感じさせる香りの要因だと思いますよ。

これらの要因が組み合わさって、今までに無い柑橘としてもてはやされているのでは無いでしょうか。

あ、つい熱く語ってしまいましたけど、どうでしょうか、おひとつ?

お買い上げ戴けます?

それはどうも、ありがとうございました!

またのお越しをお待ちしています。