復路三日目『なんだ!シェルパかと思った。』
今日の宿泊予定地は「リンモ(2740m)」だ。まず「ドウドウコシ河(1200m)」まで下る。次に「タクシンドゥ峠(2930m)」まで長い上り。河を渡ると見通しが良くなった。遥か向こうに学校が見え、音を遮る建物が無いので、学校の子供たちの楽しく騒ぐ声がこちらまで聞こえてきた。のどかだ。周りは正に『耕して天に至る。』段々畑。腐葉土をたくさん入れる農法なので、畑の土がホカホカしている。二時間で宿泊地との中間に位置する「ヌンタラ」の町に着いた。ヌンタラには、電気屋さんもあった。往路で立ち寄った茶店に寄ると、働き者の兄がホームメイドロキシーを仕込んでいた。ここから「タクシンドゥ峠」まで3時間。途中長い休みを取り、なんとか峠に達する。
峠を下っていると、登って来る5人家族と出会う。おじいさんが、ネパール語でなにやら話しかけて来た。『私は日本人で、ネパールの言葉は分からない。』と話す。英語が分かる孫娘がお爺さんにその事を伝える。『お爺さんは、シェルパかと思ったみたい。』と、孫娘が私に英語で言った。以前フランスのシャルドネ針峰を登山した。アルベール小屋まで下山した際、同泊者が『貴方のことを、彼はシェルパに違いない。』とみな言ってるよ、話してくれた事があった。登山愛好者として、シェルパと間違えられるのは嬉しい。疲れが一遍に吹き飛んだ。『アイ ム シェルパ!アイ ム シェルパ!』と唱え、背筋を伸ばして往路で泊まったリンモのロッジに入った。冬休みに入ったため、往路では出会えなかった高校生の妹二人もいた。妹二人は私には1㎜の興味もなく、髪梳き、マニキュア塗り、メイクに没頭していた。兄、姉、弟は大歓迎してくれて救われた。
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