【登場人物】
岳飛(がくひ) …文武両道に秀で、忠義に厚い勇士。主人公。
王貴(おうき) …岳飛の仲間。義兄弟。
杜充(とじゅう) …宗沢の部下。金と結託している。
王燮(おうしょう) …杜充の部下。
牛皐(ぎょうこう) …岳飛の仲間。義兄弟。
張用(ちょうよう) …岳飛の仲間。義兄弟。
傅慶(ふけい) …蜈蚣山の山賊討伐のために選ばれた100人の兵の1人。
兀朮(ウジュ) …太宗の4男。
「建康の攻防」
再び謀反が起こり、我が国は武将に倒されてしまうと言う高宗。秦檜は韓世忠、劉光世、岳飛の軍には勢力があり、官吏や民が彼らに同調し日々脅威となっていることを話す。しかし今なら抑えられると。高宗はどうやって未然に反乱を防ぐのか聞く。「韓世忠、劉光世、張俊たちは有能な人材ですし、陛下から爵位まで与えられました。民や朝廷の官吏、武将たちは陛下を称賛しております。皆、臣下を思う陛下の気持ちを知ったので、謀反を起こしはしません」と秦檜は話す。しかし高宗は「そうか?韓世忠と岳飛は20回以上も上奏してきた。朕を見下している証拠だろう」と返す。
秦檜は「知者は情勢を推し量るもの。韓世忠などの重臣に二心はありません。必ず国の役に立ちますので、彼らは生かしておくべきです」と言う。そして戦国時代、趙が燕を攻めようとした時、燕の蘇代が趙の恵文王にある例え話をした、いわゆる“漁夫の利”で、今、両国が争いを起こせば強国の秦が利を得ると語った、それを聞いた恵文王は喜び、彼を罰するどころか燕への攻撃を取りやめた、と話す秦檜。秦檜は「国を守るためには陛下が漁夫になるのです。韓世忠と岳飛を一柱天へと向かわせ、共倒れになるのを待ちましょう。そうすれば、どんな結果になろうと陛下が漁夫となれます」と言う。
高宗は「いつになれば穏やかな日々が訪れるのだ」と聞く。私に解決する方法がございます、金の和議を受け入れ、金の属国となるのです、そうすれば…」と秦檜が言い始めると、秦檜の頬を叩き「お前は金の手先だとの噂があるが本当のようだな」と激怒する高宗。秦檜は「これは国を守る策です。世が不安定ならば、誰も朝廷に従わず国は倒れてしまいます。漢の劉邦は項羽に従順なふりをして反撃の力を蓄えました。今は勢いのある金ですが、第二の項羽になるかもしれません」と訴え、その場を後にする。
高宗は“金の皇子元帥殿。宋の皇帝より書状をしたため、使者を遣わせ届けさせる。宋の危機に際し、四太子の哀れみを請う”と文を書く。
王燮は岳飛が戻ったことを杜充に報告する。「兵糧の手配はできたのか?」と杜充が聞くと「韓世忠に拒まれました」と答える王燮。杜充は笑い「時流に疎い岳飛には、いい教訓になったはずだ」と言う。
杜充は共倒れにならないよう逃げ道を作るため、今日、建康に到着した哈迷蚩に会い、建康と形勢と我々の思惑を伝えるよう王燮に話す。
哈迷蚩と会った王燮は、金が馬家渡から攻めるなら、関所に守備は置かないと話す。「まずは建康の状況を知りたい。私の知る限りでは、宋の皇帝は精鋭部隊に城を守らせるとか」と言う哈迷蚩。建康を岳飛の軍に守らせているとは我々を警戒しているようだと。王燮は「考えすぎです。建康の守備を任されたのは杜元帥であり、岳飛は杜元帥の一兵卒にすぎません。ご安心ください。宋に太平が訪れるように、金の配下に入ります」と言う。哈迷蚩が「口先だけで済ませるつもりなのか?」と聞くと、王燮は高宗の親書を哈迷蚩に渡す。
将棋を指しながら「同じ一局でも指す相手により結果は異なります。名手は大局を見極め、戦局を有利に運ぶために目先の損得には固執しません。ですが弱者は目先の欲に捕われ、全力を尽くすも惨敗を喫してしまいます」と兀朮に話す宇文虚中。そこに建康から戻った哈迷蚩が来る。
さらに宇文虚中は「将棋は戦いと同様に、勝つためには勢いと奇策が必要です」と言い、王手をかける。兀朮が打ち直しをしようとすると、その手を止めた宇文虚中は「3度目の打ち直しです。将棋は真剣勝負。この一手にも熟慮が必要です。一時の衝動が惨敗を招きかねません。負けは取り返しがつかないものです」と告げる。怒った兀朮は「将棋ごときが何だ」と将棋盤を投げてしまう。
宇文虚中は動揺するとなく「もし戦場で感情のままに行動すれば大軍は倒れてしまいます。将棋の戦局も読めずして軍を統率できますか?将軍がそのざまでは軍は体をなしませんぞ」と話す。短剣を宇文虚中の首筋にあて「お前に戦の何が分かる」と言う兀朮。宇文虚中は「傍観者のほうが見えることもあります」と返す。将棋の道理は徐々に学んでくださいと。怒りの収まらない兀朮に「ある者は勝ちを焦り打つ手を間違える。しかし、ある者は考えすぎて策に溺れてしまいます。また、ある者は最後まで負けを認めず挽回の機会をうかがう。さらに、ある者は戦局が不利だと分かると、兵を捨て敵に投降するのです。貴殿はどれでしょう。最後の指し方で貴殿という人が分かります」と言う宇文虚中。
黙って聞いていた哈迷蚩が「無礼者。金で宋の理屈を並び立てるな。連れ出せ」と言う。それを止め「もう一局、指そう」と宇文虚中に言う兀朮。
哈迷蚩は将棋を指している兀朮に“金の皇子元帥殿。宋の皇帝より書状をしたため、使者を遣わせ文を届けさせる。危機に際し、四太子の哀れみを請う。四太子は懐が深いゆえ、宋との和を重んじるはず。不覚にも朕が讒言を聞き入れたことにより戦を引き起こしてしまった。そして今や国は統制を失い、争いが起こりかねない事態である。なれば四太子に治めてもらう他なく、貴殿に指揮権を託したい。我が宋の者は金が世を治めることを心から望んでいる。朕は四太子の配下に入り、すべてにおいて服従する。そして金の恩情を世に知らしめる所存。窮地に立たされている宋を、どうか救っていただきたい”という高宗からの文を読み上げる。
「本当に宋の皇帝の親書だと?」と兀朮に聞く宇文虚中。兀朮は「将棋を指す時は心身を集中させるのだろ?気を散らせるな。でないと手を間違え惨敗してしまうぞ」と返す。「ですが…」と宇文虚中が言いかけた時、兀朮が「王手」と言う。
宇文虚中は外で1人、座っている兀朮のもとへ行き「おわびに参りました」と話しかける。「今日のお前の言葉は胸に深く突き刺さったぞ」と言う兀朮。宇文虚中が「お許しください」と詫びると、兀朮は「漢族は“忠言逆耳”と言うのだろ?今日聞いた言葉は耳だけでなく、私の心に響いた」と話す。だが思い返してみると、お前の理屈はたしかに奧が深い、私への忠告に感謝すると。
「知恵のある者が天下を取り、仁義ある者が民心を得ます。随の煬帝が国を滅ぼした原因は、己の奢侈な生活のため民を虐げたこと。ですが李世民はすべての民に情をかけ、随の官吏たちの意思に耳を傾けた。新朝に仕えた者には口添えし、仕えたくない者は帰郷させたのです。ですから随の将校たちは李家に感謝し、忠誠を尽くし、協力して国を盛り立てました」と話す宇文虚中。奥深い道理を小さな将棋盤の上に読んだ漢族の知恵を、兀朮は大したものだと言う。そんな兀朮に「なぜ先例に倣わず、建康の攻撃に固執するのです」と宇文虚中は聞く。「反乱を平定した趙構は安逸をむさぼり、あの文に主君の威厳もない。劣勢となり及び腰になっている。我が金の精鋭たちにかかれば建康はひとたまりもない」と兀朮は返す。
宇文虚中は「建康は岳飛が守り、揚州には韓世忠がいるのです。守りは堅いので、安易に攻め入れば惨事を招きます」と説得する。しかし兀朮は手を引こうとしない。「漢族の文化は学ぶが、私はれっきとした金の人間だ。私は宋との和議など望んでいない。天下を征服するのは私だけだ」と言い放つと、兀朮は行ってしまう。
杜充に呼ばれた岳飛は、一柱天から河を渡れば数日で建康、強敵ゆえに建康を守るのは至難の業だと言われる。岳飛は援軍を派兵し、要衝の一柱天を守れば金の侵入は防げる、江北で敵を討ってはどうでしょうと話す。同じ考えだと杜充は言い、水戦においては韓将軍が秀でている、親交の深いお前が彼の元へ行き援軍を頼んでほしいと、文を岳飛に渡す。
杜充が何か企んでいるように感じるが、岳飛は牛皐と張憲と一緒に韓世忠の元へ行くことにする。
王貴と傅慶に建康で留守府の動向を探るよう命じる岳飛。
王氏は夫の秦檜に「四太子の軍が来たら寝返りましょう」と話す。秦檜は「金に行くにしても妥当な理由が必要だ。万一、宋に平和が訪れた時に戻ってくるためにな」と返す。
和議で陛下が自分を交渉に遣わせば、陛下と逃げ惑わなくて済むと考える秦檜。
朝儀で秦檜は「金は何としても宋を奪おうとしています。我が軍は堤防を決壊させたことにより、民も兵も士気が下がりました。金の南下の勢いが増している今、建康が危機に陥るのは当然のことかと」と話す。「理屈をこねるより、有効な策を考えろ」と言う高宗。秦檜は「金との和議が得策です」と言う。金の南下が遅れ、一時でも世に太平が訪れると。高宗は「確かに良い方法だが、金へ使者を遣わすのは危険だ。行きたい者は?」と聞く。誰も名乗りを上げない中「ご信頼くださるなら、私が参ります」と言う秦檜。「その言葉で安心した。そちに任せる」と高宗は言う。
体の傷が増える韓世忠を心配する紅玉。韓世忠は「私は死なない。君と99歳まで共に生きる運命だ」と言う。そこに岳飛が来る。
今日は将軍の力を借りに来ました、と杜充の文を韓世忠に渡す岳飛。岳飛は「中原を見捨てられません。建康は江南への入り口。そこを守らねば江南も陥落します」と話す。「あの杜充なら建康を捨て逃げ出しそうなものだが、援軍を頼みに来るとは調虎離山の計だな」と言う韓世忠。お前を私の元へ寄こして建康の守りを手薄にし、金を入城させる魂胆だと。岳飛は教示に感謝し、すぐに建康へ戻る。
王貴や楊再興、傅慶は杜充たちが出立することを知る。
岳飛が戻らないため、自分たちで杜充の出発を阻止しようと考える王貴。
杜充たちが城門に来ると、王貴たちが岳飛の命令だと言い、城門を守っていた。「撤退しろと伝えるのだ」と王燮に言う杜充。
王燮は「杜元帥の命令だ。全員、即刻撤退しろ」と王貴たちに言う。撤退も岳将軍の命令に従うと言い返した傅慶だったが、王燮から「命令に背けばお前の首が飛ぶぞ」と脅されてしまう。王貴は仕方なく、全員の撤退を決める。
ーつづくー
高宗…(o´д`o)=3 ←どれだけため息をつかせるんだぁぁぁぁぁ!!!
韓世忠と岳飛の上奏を見下している証拠だなんて…(*´Д`*)
見下していたり謀反を起こす気なら、助け出したりしないのに…。
宇文虚中は不思議な存在だけど、お話は奧が深いですよね。
あと、今回も呉夫人が出て来なかった。
どうして?
ただ静養しているだけなのかな?
それならいいんだけど…誰も何も言わないからヾ(・ω・`;)ノ
私だけかもしれないけど、何だか気になっちゃう。
そうなると李孝娥たちも気になっちゃうんだけど(;´д`)ノ
きっと孝娥は岳飛と会えるはず!!と信じてるからっ。
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兀朮は、敵である宇文虚中の忠言逆耳を受け入れそうなのに
高宗は、真の味方である韓世忠と岳飛を信頼できず
すり寄る奸臣の言いなり。
うささんの同じく、助けなければよかったのに~。
部下の忠言を素直に聞き入れるのは認めたくない気持ちは分からなくもないですが。
呉夫人の支えも大きいのに、登場しませんね。
人義あるものが民心を得る・・・
高宗にも聞かせてあげたいですね。。。
でも、兀朮はまだまだ血気盛んですね。
今日もこのセリフが出てきた時の
湖のシーンはステキでした。
その一方で秦檜夫婦は夫婦ですし、杜充は怪しすぎます。。。