「勝利の誤算」
娉婷は虎符を則大将軍に返す。「返上したからには、これで私は自由ね。気が楽になった」と言う娉婷。
娉婷は「堪布から晋の建康へは約5日かかるゆえ、晋王はすでに5日ほど眠っているはず」と言う。それを聞いた則尹と若韓は顔を見合わせる。そして「晋王が?」と則尹が聞き返す。娉婷は自分の策どおり、晋王が倒れ、それで国が混乱して敵が退いたと思っていた。しかし若韓は「晋軍が退いた理由は、王ではなく皇子2人が毒で死んだせいだと」と言う。驚いた娉婷は倒れてしまう。
娉婷は則大将軍の屋敷に運ばれる。寝台に寝かされた娉婷の手をにぎり「しっかりして」と懸命に話しかける陽鳳。しばらくして娉婷が目を覚まし、陽鳳が抱きしめる。「あの人を裏切った、裏切ってしまったの」とつらそうに話す娉婷。その時、部屋に何侠が入ってくる。
何侠を見た娉婷が「なぜ、ここに」と言う。何侠が何も言わず、娉婷は何侠と2人きりで話すことに。
陽鳳たちが部屋を出て行き、娉婷は「すでに若君は涼王と会ったようですね」と言う。寝台に座り「どういう意味だ」と言う何侠。娉婷は「間違いありません。あの薬を知るのは私と若君だけなのだから」と言う。あれは私たちが調合したもの、大人なら命に別状はありませんが、子供が飲めば死ぬ、と。「なんてことを」と娉婷が言うと「すべては涼王が指示したこと。私は関わりなく、殺せとも言っておらぬ」と話す。
「若君が薬の毒性を涼王に教えたせいで、晋の皇子たちが死んだのでは?」と娉婷が聞く。何侠は「しかたがない。私には、それしか言えぬ。国同士の争いなのだから。司馬弘が倒れれば確かに国は乱れるが、国が滅ぶわけではない。だが、2人しかいない皇子が同時に死ねば、どうなる?晋の運命は、もう風前の灯火だ」と言う。「若君の計略の目的は他にもあるはず」と言う娉婷。何侠は「目的が1つだけなら“計略”とは呼ばぬ。私の本当の目的は楚北捷が皇子2人の死に関わったように見せること。楚北捷がいくら功臣でも、容赦はあるまい。死地へ追いやられるだろう。楚北捷の命も、もう長くはない」と言う。娉婷はこの私に背いた、楚北捷と親密になり、そのもとへ行こうとした、だが、その望みも終わりだと。
娉婷は「敬安王家への恩返しに、こたびのことは私が若君の罪をかぶります。でも若君を守るのは、これで最後です。今後は若君だけでなく、敬安王家とも無関係です。どうぞお元気で」と言う。「両親の墓前でも言ったが、私とそなたはもう縁を切った」と言う何侠。
何侠は「そなたは多くを知りすぎた。ならばここで殺すべきだな」と言う。「口封じのため殺すと言うなら、どうぞ今すぐ…」と娉婷が言うのを止め、何侠は「それはできぬ。そなたには、じっくり見てもらいたい。楚北捷との間にできた、大きな疑念をな。それでも互いを信じ続けられるか?」と話す。「もし、あの人が信じてくれたら、悔いなく死ねます」と言う娉婷。何侠は「“悔いなく死ねる”か、楽しみなことだ。早く治せ、先は長いぞ」と言って部屋を出て行く。
馬に乗って戻ってきた何侠に、冬灼が「娉婷さんは?」と聞く。「黙れ」としか言わない何侠。冬灼は「どうしてです。なぜ娉婷さんを許せぬのですか」と言う。
娉婷が旅支度をしていると、陽鳳が来る。「もう行くわ」と娉婷が言い、傷を負っているし、頼る者もいないくせに、と陽鳳は止めようとする。「家に帰るの」と言う娉婷。陽鳳は王子と帰らないのか聞く。娉婷は敬安王家とは縁が切れたと言い「あなたと則尹も、今後は若君に気をつけて」と話す。以前とは別人なの、いずれ若君のせいで争いが起きる、と。
娉婷が「自分の体をいたわってね。お腹の子を大切に」と言うと「ここで一緒に暮らそうと話し合ったでしょ」と言う陽鳳。娉婷はふっと笑うと「ばかな陽鳳ね、喜んでくれないの?あなたには則尹がいて、私もあの人がいる。会いに行くわ」と言う。
娉婷は“皇子たちを死なせた私は罪深い女です。今世が無理であれば、必ず来世で償います”と思いながら、2人に祈りを捧げる。
歩いていた娉婷は、気配を感じ「出ておいで。女子供を殺すしか能のない者どもよ」と大声で言う。その瞬間、隠れていた黒装束の男たちが現れ、娉婷は囲まれてしまう。
1人の男が「これも命だ、悪く思うな」と話す。「私は約束があり、先を急いでいる。殺されるわけにはいかない」と言う娉婷。そんな中、飛んできた矢が刺客の男2人に刺さる。娉婷を助けてくれたのは則大将軍たちだった。
刺客の男を1人だけ残し、すべて倒した則大将軍たち。娉婷はその男に「帰って主人に言うがいい。“殺したくば自分で来い”と」と告げ逃がす。
「大将軍は皇帝の許しなく軍を動かせぬ。それゆえ表立って護衛できず、申し訳ない。だが今日は共に戦った仲間を連れてきた。これは友情のため、あくまで私的な行動だ」と則尹は娉婷に話す。則尹が晋まで送ってくれることになり、娉婷は感謝する。
晋。寝台で伏せっていた皇后が吐血する。司馬弘は太医たちを怒るが「私の病は薬では治らぬもの。太医に罪はありません。罰をお与えにならないで」と皇后が止める。「貴妃が後宮の中を調べておる。死んだ皇子らのために、必ず下手人を見つける」と言う司馬弘。そこに急報が。
見つかった下手人がいるという牢獄に、司馬弘は急いで向かう。
牢獄にいた張貴妃は、司馬弘が来ると「毒を盛ったのはあの者です」と伝える。縛られている下手人は、皇子たちの御膳を用意する宦官だった。司馬弘は剣で斬りつけ、誰の命か聞くが、下手人は口を割らない。しかし張貴妃が「言わぬとどうなるか。親兄弟は都にいるのではないのか?その者らがどうなるか考えぬのか?」と言うと「白娉婷です。涼の軍師で、その者が毒薬を用意したのです」と白状する。司馬弘は下手人を剣で刺し、殺してしまう。
亡くなった皇子たちを思い、司馬弘は心を痛める。張貴妃は「陛下はお若いのですから、お子は必ず、またできます」と慰める。しかし「だが皇后との間には、二度とできぬ」と言う司馬弘。
張貴妃は「お子たちの命を奪ったのは、残酷な白娉婷の仕業です」と話し「この一件は何やら複雑そうです。皇子たちのため、それを暴かねば。白娉婷は燕の者なのに涼の軍師になるなど、何かの陰謀では?」と言う。司馬弘が「陰謀とは?」と聞く。「鎮北王と関わりが。話によると涼との戦いで鎮北王は…」と言いかけてやめる張貴妃。司馬弘は「堪布の戦は勝てるはずだった。だが白娉婷を見るや、兵を30里も退かせた。よし、そなたの父を呼べ。話がある」と言う。
“この戦にて晋と涼の疲弊は甚だしい。白蘭が往年の勢いを盛り返す日も遠くありませぬ”と文を書く何侠。そこに娉婷を襲った刺客が戻り「白娉婷を救う者が現れ、われらは全滅しました」と報告。「役立たずめ」と言った何侠は、書いていた文を耀天皇女に渡すよう命じる。
北捷の元にも皇宮から下手人が宦官だったという知らせが届く。宦官の背後には首謀者がいました、こたびの戦で涼の軍師を務めた白娉婷です、と。驚く北捷。
張文征は“都は皇子2人の喪に服している。邪気が去らぬため、兵は都に入らぬこと。軍はその場にとどまり、今後は富瑯王が統率する。謹んで奉ぜよ”という詔を北捷に渡す。そして「やっと戻られたな。陛下の命で私が出迎えに参りました。拝謁なさる時は、ぜひ陛下をお慰めください」と北捷に言う張文征。漠然が「私もお連れください」と頼むと、張文征は「一緒に来るがよい」と言う。北捷は1つ答えてほしいと言い「私が皇子の死に、関わったとでも?」と張文征に尋ねる。私の屋敷も捜索済みなのかと。
張文征は腕に武器を忍ばせていた。それを張文征が北捷目がけて投げるが、漠然が剣ですべてはじいてしまう。そして張文征の首に剣を当てる漠然。兵たちも張文征を取り囲む。
「これは陛下の命か?」と北捷が聞く。張文征は「皇子さえ殺せば皇帝の座が手に入ると思ったか。理性を失い、妄想に駆られた愚か者め。そなたと妖女の謀略を陛下は見抜かれた。そのとおりだ。すでに屋敷は捜索された。そなたの手下も、皆、捕まっておるわ。過去の恩情に免じ皇宮へ連れていこうとしたが、ここで殺す好機をみすみす逃してなるものか」と言う。
張文征を殺しかねない漠然に「剣を下ろせ」と北捷が命じる。そして張文征に「私は抵抗する気はない。何者も連れず皇宮に入り、直接、陛下にお会いする」と言う北捷。漠然は北捷にひざまずき「共に皇宮へ入り、陛下にご説明を」と言う。兵たちも「大将軍と共に参ります」と続く。北捷は「われわれが急ぎ戻ったのはなぜだ?この混乱を悪人に利用させぬためだ。機に乗ずる者を排除せねばならぬ。私が疑われているなら、甘んじて調べを受けよう。案ずるな、陛下は賢明なお方だ。私が潔白だと分かってくださる」と皆に話す。それでも漠然が「北捷様」と言い、北捷は「兵を率いて都の外で待機せよ。軽挙は慎め」という命を下す。皆は晋の兵だ、この私ではなく、国と陛下を守るのが務め、何があろうとも、それに背いてはならない、さもないと私を救うのではなく苦しめることになると。
人目を盗み、張貴妃は何侠と会う。張貴妃は何侠が各国の事情に精通していると感じる。「白蘭の耀天皇女のおかげです。多くのことを聞きました。先日、皇女が晋を訪れた時、張尚書と語り合い、お考えが一致したとか。もともと望みが薄いと思っていたら、いち早く成果が出たと仰せでした。金10万両で思いがけず、よい成果が出ました。貴妃様のおかげです」と言う何侠。張貴妃は「互いの利のためです。10万両はどうでもよい。それより張家が皇位を得るため、白蘭に助けてほしい。それが交換条件です。今、私たちの前には、共通の敵がいる」と言う。
何侠は「確かにそうです。なれど貴妃様は、その者が惜しいのでは?」と言う。それでも、あの男は取り除かねば、見過ごせばあなたも私も安心できませぬ、と言う何侠。張貴妃が「何か策が?」と聞く。何侠は「白娉婷が涼兵を連れ晋に入りました。楚北捷を救うためです。楚北捷は白娉婷を何より大事に思っています。これぞ千載一遇の好機です。絶対に逃してはなりませぬ」と話す。張貴妃は「何をするにしても、私の条件を受け入れてもらいます」と言う。何侠が「何でしょう」と言うと「白娉婷を殺すこと」と返す張貴妃。
ーつづくー
まさか晋の皇子2人が殺されてしまうなんて。
でも、国同士の争いなのだから仕方がない、と何侠が言えるの?
自分だって両親が亡くなったことで北捷を恨んでいるのに…。
娉婷はこんなこになるとは思っていなかったから、つらいよね(;△;)
司馬弘は涼での戦いのこともあるし、疑っているから、北捷の言うことを信じてくれないと思う。
こんなに忠実な人はいないのに。
1人で皇宮に行った北捷も心配。
そして何侠と張貴妃は手を組むのね(@_@;)
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交換条件を出して、白娉婷と北捷を陥れようという魂胆ですね。
余談ですが、則尹がチュ・ジンモに見えて仕方ないです。
同じようなことをしなくても、国の均衡をとることはできるはず。。。
刺客まで出すとは!
晋王もすっかりはめられていますね。
身近な人々の策略と気づけるのでしょうか。
金丹にしろ、早く気付いてほしいです。。。
司馬弘は金丹で弱っているし・・なんて考えてしまいました(^-^;
ねこさん、則尹とチュ・ジンモさん、どことなく似ていますね~。目の当たりかな??(#^.^#)