スポーツ医学の進化によって、
これまで定説とされてきた行為が覆すことがある。
実験では、重度の肉離れに近い筋損傷を再現したマウスの脚に氷の入った袋を30分間、2時間ごとに3回あてることを3日間続けた。けがから2週間後に筋肉を観察すると、アイシングをした場合は、していない場合に比べて筋肉の線維の断面積が小さく、再生が遅れている可能性があるとわかった。
少し前まで、プロ野球のピッチャーが試合後のインタビューを受けている時、肩に大きくアイシングをしている映像はよく見かけた。私も学生時代に運動して捻挫し、関節部が炎症を起こした時は、まずアイシングしていた。氷嚢を患部に当てると冷たくて気持ちが良い。この行為は当時の定説で誰も疑問に思わなかった。
だがそれは、間違った行為らしい。
むしろ温めたほうが良いとまで言われてしまうと、返す言葉もない。
同様に、競技前のウォーミングアップについてもそうだ。
ヒルクライムレースの前には、駐車場で固定ローラーを使い、1時間も2時間もウォーミングアップしている選手はよく見かけていた。ウォーミングアップに掛ける時間とパフォーマンス向上は比例関係にあるとまで書いてあるトレーニング誌を読んだこともある。
筋肉が37度前後のときに最大限効果を発揮するとされ、通常10分程度軽い負荷でウォーミングアップをすれば達成できることがわかっています。逆に外気温が暑い場合には特に深部体温(胴体内部の温度)が熱くなりすぎないように注意が必要。これは深部体温が上昇すると身体が防御反応を起こし、パフォーマンスが低下するためで、要は人間は暑いとしんどいということ。必要に応じてクーリングベストや扇風機で調整しましょう(とはいえ冷えすぎても意味がありません)。
何事もほどほどが良いのだ。