今から50年以上前の夏休みの事です。いつも仕事で忙しい父が休みをとって、家族で大阪の万国博覧会に行きました。とは言っても私はまだ小さかったので、当時の記憶はほとんど残っていません。断片的な思い出のほとんどは、アルバムの写真からのものです。しかし微かな記憶を辿ると、夜遅い時間に煌びやかな電飾の中を家族で歩いた事は憶えています。自分にとってこの非日常的な行動が、とても貴重で嬉しくて記憶に深く残っているようです。
実は現在も私が大切に持っている当時の万博のお土産は、万博の記念切手とバッチです。また当時父親が会場内で使っていたと思われる公式ガイドブックも置いてあります。
ところで大阪万博のシンボルと言えば、故岡本太郎さんがデザインして作られた太陽の塔ですね。
この太陽の塔は、2018年に内部のリノベーションを終えて一般公開が始まりました。当時は私も家族と一緒に塔の中に入ったようですが、全く憶えていません。しかし塔の中を見たくて、公開開始当初は予約サイトをよく見ていました。ところが人気が凄くて数か月先まで予約がいっぱいになっている状況で諦めていました。先日大阪で開かれた学会に参加した時に、ふと太陽の塔の内部見学の事を思い出しました。久しぶりにサイトを確認してみると、若干空きがあったのですぐに予約しました。そして念願の太陽の塔の内部を見学できる事になったのです。
予約時間の少し早く到着しましたが、係の方の許可を得てすぐに入場する事ができました。どうしても塔の中の写真が撮りたかったので、スマートフォン専用の透明ポーチをレンタルしました。これは塔の中でスマートフォンの落下を防止するために使うものだそうです。
太陽の塔の歴史(デザインのデッサン展示など)を見ながら進むと、その奥には地下の顔が姿を現しました。当時の様子を再現しているエリアですが、万博で使われていた本当の地下の顔(第4の顔)は今も行方不明なのだそうです。そしていよいよ塔の内部へ進みました。
そこには足元から頭上高くまで伸びる進化の木がライトアップされていました。木の根元には生命の起源が描かれ、上に向かうにつれて順に生物の進化の過程を見る事ができました。これらのディスプレイは原型に忠実に再現、もしくは修復されたのだそうです。階段を登って写真を撮りながら上に向かいます。万博が開かれた当時はエスカレーターが設置されていたそうです。
これが太陽の塔の手の部分です。グラデーションしながら変化する照明をじっと見ていると中に引き込まれそうな感覚を憶えました。万博の時は、この手の部分進み外に出て、そこから塔の周囲を囲んでいた台座のようなエリアへ進んでいました。
下りは普通の階段を降りて見学終了です。その後は近くの鉄鋼館に向かいエキスポ70パビリオンを見てきました。ここには大阪万博開催時に太陽の塔の頂部に設置されていた「黄金の顔」がそのまま展示されていました。間近で見るととても大きくて迫力がありました。
これは万博開催時の様子をペーパークラフトで再現したジオラマです。近くで見ると、とても精巧にできておりとても驚きました。製作にはかなり時間がかかったのではと思います。
帰りに鉄鋼館の受付で、このパビリオンの記念メダルを買いました。横にある機械にメダルを入れて記念に日付を刻印しました。そう言えば子供の頃は、旅行先にこのようなメダルの自販機があって親に買ってもらいました。昔はダイヤル式の刻印機で、回すたびに「ガチャン」と大きな音が鳴っていました。
さて、いよいよ来年は55年ぶりに大阪で万国博覧会が開かれます。この55年の間で世の中は大きく変わりましたね。今回の万博でも、未来に向けて想像を掻き立てるようなワクワクする展示を見学したり体験ができたりするといいですね。私は是非とも来年の万博に行ってみたいと思っています。
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