「ジョブ理論」のなかで共感できた場所、思い出したい文章のメモ
第2部「ジョブ理論の奥行と可能性」
「”十分によいものか?”の問いに答えようとすると、意見が出すぎて議論はいつまでも終わらない」
「”この種の状況でこの種の進歩を遂げようとする顧客にとって十分に役立つか?”という問いなら、答えは簡単に得られる。顧客が成し遂げようとしている進歩の”状況”は、因果関係を理解するうえできわめて重要だ」
顧客の行動について集めたデータは、客観的に見えてもじつは偏っていることが多い。データはとくに、ビッグ・ハイア(プロダクトを買う時)だけを重視し、リトル・ハイア(実際に使う時)を無視している。本当に解決したかどうかは、リトル・ハイアが一貫して繰り返されることによってしか確認できない。
ジョブそのものは、進歩を遂げようと苦労している顧客の立場から状況を組み立てる。ジョブスペックとは、イノベーターの視点からジョブをとらえたもの。
第3部「片付けるべきジョブ」の組織
ジョブのレンズを通すと、だれがだれの指揮下にあるかよりも、顧客の片付けるべきジョブを完璧に解決するプロダクト・サービスを組織が体系的に提供できることのほうがはるかに重要である。幹部たちが顧客のジョブに集中していれば、それはイノベーションを推し進める方法を示す明確な磁石となり、さらには、内部構造を組織する際のぶれない理念となる。
アマゾンは創業当初から、顧客のジョブを解決するための3つのポイントー豊富な品揃え、低価格、迅速な配送ーにつねに意識を集中し、それらを実現できるようにプロセスを整備してきた。
新しいイノベーションは、会議の場で模擬的な”プレスリリース"を、のちの担当チームに披露するところから始まる。模擬プレスリリースには、新たなイノベーションをガイドする指針が盛り込まれ、すべての体験とプロセスが明確な顧客のジョブをもとに構築されることを確認する。
数値やデータで扱えない要素を、非論理的として批判する人がいるかもしれない。優れた理論が成長していくときには、こうした懸念が誤ってよく指摘される。しかし、数値化されたデータをみるときには、それは人が作成したものだと肝に銘じてほしい。つまり、発表するデータに事象のどの要素を含めるか、どれを見すごし消去するかは、作成者が決めているということだ。
ジョブを形容詞や副詞で説明しているとしたら、それは有効なジョブではないということ。ジョブを片付けるために顧客が必要としている「体験」を説明している可能性はあるが、異なるものだ。”便利な”は、プロダクトを選ぶ理由かもしれないが、ジョブではない。明確に定まった「片付けるべきジョブ」は、同氏と名刺で表現できる。「手作業でタイプしたり編集したりしなくてもいいように、本を口述で”書く”必要がある」はジョブであり、「もっと正直にならないといけない」は、立派な目標だが、ジョブではない。
イノベーションという大きな話ではないですが、いろいろなアイディアを話していても、なかなかかみ合わないけど、よくよく考えるとやりたいことが違っていたということがあるが、やりたいことが「片付けるべきジョブ」に近いのかもしれないなと感じた。
「片付けるべきジョブ」の概念は感覚的なところもあり、大変難しいと思いますが、本書を読むと輪郭がつかめると思います。
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