快読日記

日々の読書記録

「ねずみとり」アガサ・クリスティー

2010年11月01日 | 翻訳小説
《10/31読了 鳴海四郎/訳 ハヤカワ文庫(早川書房) 2004年刊 【戯曲 翻訳 イギリス】 Agatha Christie(1890~1976)》

ある若い夫婦が山荘をオープンさせた。
そこに集まった5人の客。
7人の中にいるはずの殺人犯をつかまえに、刑事が山荘に乗り込んで……という戯曲。

児童虐待がモチーフ(当時、似たような事件が実際にあったそうですが)といっても、人間ドラマにはそんなに深入りせず、
じゃあ謎解きパズル的なおもしろさがたっぷりかと思えば、意外と歯ごたえがなく、
肝心な犯人に至っては、登場時からあやしかった。

こういう作品は、舞台を鑑賞するようにゆったり構えて読んで、意外な犯人に驚かせてもらいたい。
タネをあれこれ考えながら見たら手品がつまらないのと同じです。
わたしにとっては、この作品はハズレ。
上演されたのを見たら、もっと「だまされる快感」を味わえたのかな、とも思うんですが。

「演劇史上類をみないロングランを誇る」作品という謳い文句に期待が膨らみすぎたかもしれません。
むー。
石田衣良のうすっぺらい解説が、さらに駄目押し。