快読日記

日々の読書記録

「そんな言い方ないだろう」 梶原しげる 新潮社

2006年10月29日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
「大丈夫かどうかを判断するのはお前じゃないぞ」


癇に障るもの言いってありますね。
しかし「こちら、明太子パスタになりま~す」や
「お客様は禁煙席でよろしかったでしょうか?」よりも
今、わたしが耳にする度に「はぁ?」と言いたくなるのが、
「大丈夫です」だ。
目上の人に言われるときにはまったく気にならないのだが(そりゃそうだ)、
一回りも年下の人に物を頼んで(そんなにたいそうなことをお願いしたわけでもないのに)、
彼や彼女らが優しげな表情で「大丈夫です」と答えるとき、
「いや、大丈夫と思ってるからわたしも頼んでるんだけど」と何度口に出しそうになっただろう。言わないけどね、大人だから。えへっ。
この「大丈夫です」がなんでこんなにわたしをイラつかせるのかについてもしっかり解説してくれていて、溜飲が下がるとはこのこと。
終盤にある「ABO型別「口のきき方」」はご愛嬌?まともに受け取るようなものではないので読み流せばいいんだけど、ちょっとがっかりしたのも事実。

とはいえ全般的に、筆者が指摘する“人を不愉快にさせるある種の物言い”にはほぼ同感です。
現役の「しゃべり手」として活躍する中での失敗や気づいたことなんかが本当に歯切れよく、具体的かつストレートに書かれていて小気味よい。

でも、たとえば上司に「この資料、昼までに50人分用意しておいてくれる?」と言われて、
「ああ、大丈夫ですよ」と答える人は、
こういう本を手に取らないと思う。新書版だから。馬鹿にしすぎか。ごめんなさい。

コミュニケーション能力ってのは結局想像力のことなんだなあ。

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