快読日記

日々の読書記録

「復興の精神」養老孟司ほか

2011年06月17日 | ノンフィクション・社会・事件・評伝
《6/16読了 養老孟司・茂木健一郎・山内昌之・南直哉・大井玄・橋本治・瀬戸内寂聴・曽野綾子・阿川弘之/著 新潮新書 2001年刊 【日本のエッセイ】》

これを読むと、なんだか震災ってのはもうとっくに終わっていて、すでに歴史的大事件として年表に出てる過去のことみたいな錯覚に陥ります。
それくらい、この執筆者たちの多くは遠いところから語っている。
まるで、明治維新とは何だったのか、と考察する学者みたいな印象です。
とくに山内という東大の先生は、高くて遠いところから、本当に賢そうに語っていて、とってもいやな感じでした。
そこに、所詮他人事であるという目線で見ている鈍感な自分自身の姿が見えるから、余計に不愉快なのかな。
それを感じなかったのは、養老孟司・橋本治、あと南直哉というお坊さんと瀬戸内ジャッキーくらい。
最後の3人、ジャッキー・曽野綾子・阿川弘之は、すでに半分彼岸から語っている感じが濃厚で、そういう点では味わい深かったです。
しかし、この本を作った人は、年寄りの遺言集を目指していたのか。
本気で「これから」を考えるなら、もう少し人選を考えて欲しかったような気がします。


「東日本大震災の復興は、今までぞんざいに扱われてきた地方の、第一次産業を基盤とする地帯の、高齢化が進み、不景気が深刻でもあるような地域の復興で、今までの復興とは質が違うのだ」
「東日本大震災の復興は、あまり我々の経験したことのない「地方の復興」なのだ。こんな言い方をすればいやがる人はいくらでもいるだろうが、復興に要する資金をいくら投入しても、ペイするかどうか分からない地域の復興なのだ」
「「日本全体の再構成」という大きな考え方がなかったら無理だろう」(166~167p 橋本治)

/「復興の精神」養老孟司ほか
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