快読日記

日々の読書記録

「国語が子どもをダメにする」福嶋隆史

2012年09月21日 | 言語・文芸評論・古典・詩歌
《9/21読了 中公新書ラクレ 2012年刊 【国語教育】 ふくしま・たかし(1972~)》

国語教育に論理性を求めている割には文章が感情的で、
本当の国語力を伸ばす!という割には「真逆(まぎゃく)」なんて言葉が何度も出てきたりして(「真逆」には「まさか」という本来の読み方がある)、
ちょいちょい繰り出すたとえ話はおもしろくない、
というわけで読んでいて辛い。

児童・生徒の自主的な学習という名目でなされている放任授業や、完全に道徳教育にすり替わっている国語の授業を徹底的に批判し、子供に真の読解力を身につけさせるべきだと主張する、そこにはもちろん賛成するけど、
この筆者のキャラクターがどうにも不愉快でダメでした。

現行の国語教育批判をたっぷりしたあとの第三章「国語教育はこう変えろ!」で提案されるのは、例えば齋藤孝や出口汪の日本語トレーニングと大差ないように見えて、
国語(現代文)の問題って所詮「空気読み」じゃん、という批判に耐えられないような問題もあります。

筆者の簡単な経歴が出ているのを見ると、2006年まで公立小学校に勤めていた(その後、国語塾を主宰)ようだけど、ちょっと勤めてサッサとやめて離れた場所から批判してもなあ、と思いました。
語り口がひとりよがりなかんじで、言葉に潤いがないので、この人、職場でもうまくやれなかったんだろうなあ、といらぬ想像をしてしまいます。
あなた以外の教員も、教科書作る人も、センター試験の出題者もみんなバカなのね、分かった分かった。
「ほとんどの高校生は大学入試を目的にしている」という認識もどうかと思うよ。

結局、共感できたのはタイトルだけですが、「がっかりするのも読書の楽しみ」って昨日読んだ本にも書いてあったから大丈夫。

/「国語が子どもをダメにする」福嶋隆史
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