野老の里

奥武蔵をメインに日帰りの山歩きを中心としたブログです

奥武蔵へようこそ 平成25年12月22日 宝登山と蓑山 後編 蓑山と和同開珎採掘場跡

2013年12月27日 | 奥武蔵へようこそ
(蓑山頂上展望台から小鹿野の二子山)

前編からの続き。

親鼻駅を降りると立派なカメラを持った数人の男性が駅員さんと談笑していた。今日はSLの運行日なので、それを狙っているようだ。一旦改札を出て、ホーム内の踏切を渡り、国道に出る。すぐ先に信号の無い横断歩道があるので、それを慎重に渡る。横断歩道の先には登山口のひとつである萬福寺がある。長瀞と同じ寺号が付いているので、ちょっとややこしい。この萬福寺からは仙元山コースと関東ふれあいの道コースの二つが分かれている。この親鼻駅からのコースは蓑山登山のメインコースで、大半がここを登りに使っている。だがボクはこのコースを使うのは今回が初めてだ。最初に母と桜を見に登った時は、皆野駅から舗装路を途中まで上がるルートだった。前回は二本木峠を越えて三沢川へ下り、三沢地区から登った。こちらも車道歩きが長いコースだった。親鼻駅からのコースは今回歩いた結論から言うと車道歩きが一番短いと考えていい。

(萬福寺観光トイレ)

国道から仙元山に取り付くコースは萬福寺の裏手にある綺麗な公衆トイレの右手から裏山に取り付くようになっている。他方関東ふれあいの道コースは公衆トイレに寄らず萬福寺の正面に大きく回り込むように進んでいく。いずれ仙元山コースを歩く機会もあるだろうし、今回は関東ふれあいの道を行くことにした。ただ関東ふれあいの道はどこもあまり良い道ではない。車道を進み、道標にしたがって橋を渡る。ここからすぐに山道が始まる。そして関東ふれあいの道名物の土留めの木段も始まる。それでも宝登山直下の木段続きに比べれば、かなり傾斜は緩いほうだろう。木段のない所はジグザグを切りながら登っていく。木段が無いからといって、必ずしも楽な道ではない。登り始めは杉檜が目立ったのだが、標高を上げるにつれて雑木林となっていく。蓑山はどこのコースを登っても雑木林が多いので、新緑や紅葉の頃が気持ち良いだろう。

(萬福寺正面)


(最初の試練)


(雑木林の道)

そろそろ休憩を取りたいなと感じる頃、舗装された車道に出る。ちょうど一台の白い高級車が目の前を通り過ぎて行った。そうこの蓑山はクルマで山頂付近まで行くことができるのだ。徒歩で登るのは酔狂な人かボクのような貧乏人くらいのものだ。車道を渡るといこいの村美の山が設置した道標が立つ。現在ここは熊谷や飯能駅にホテルを持つヘリテイジグループが経営している。熊谷にある四季の湯の温泉を利用した風呂があるので、下山時に利用するのも良いだろう(人数が揃えば駅までの送迎もしてくれるそうだ)。車道から土留めの木段を上がるとすぐにベンチがある。ようやく腰を落ち着けて休憩できる。これまでは見た目以上に落ち葉が濡れていたのだ。休憩地から先は木段がなく、ただひたすらジグザグに付けられた道を登っていく。すると初老の男性とすれ違った。結局この登りで人とすれ違ったのはこの男性一人だけであった。雑木林の道は日が降り注ぎ、しかも風が無いので、思ったよりも暖かい。いこいの村への分岐を見送ると傾斜が緩やかになってくる。檜の林を抜けると一旦尾根が細くなり、コンクリート製の階段が続いている。階段を登りきるとみはらし園地に着く。ここから山頂までは美の山公園の敷地内だ。みはらし園地というものの、周りは疎林に覆われている。唯一東屋が建つ辺りから城峯山方面の眺めが得られる。まあ山頂に行けば大展望が得られるので、正直名前負けしている感じだ。

(木の間越しに宝登山)


(雑木林の道が続く)


(みはらし園地からの眺め)

美の山公園内は一本の舗装路が延びていて、これを辿れば山頂まで間違いなく行くことができる。公衆トイレを過ぎると桜の森を経て山頂へと至る道との分岐に出る。母と歩いたときはこの桜の森の道を歩いたので、今回はそのまま舗装路を進む。クネクネとカーヴを繰り返す道は軽トラックくらいなら十分通れそうな感じだ。道が西側の斜面に接すると風がやけに冷たい。奥秩父の高い山から吹き下ろす風がこの辺りの山にちょうど当たるのだ。したがって大霧山やこの蓑山などは冬場非常に寒い。平坦な道を行くと西側の斜面に突き出す東屋が見えてきた。東屋の向かいには何故か榛名神社もある。東屋は中空に突き出しているにもかかわらず、秩父盆地が見下ろせる程度で、あまり眺めは良くない。

(舗装路を行く)


(展望台となっている東屋)


(榛名神社)


(東屋からの眺め)

道は一旦やや大きく下り、桜の森のそばを通るようになる。桜の森の上には芝草の丘があり、春先は寝ころんだら気持ちよさそうな感じがする。芝草の丘を過ぎると東側に大きな展望が得られる。蓑山は関東の吉野山とも呼ばれ、春になると多くの桜が咲く。ちょうどこの展望が得られる辺りに多くの桜の木があり、眼下には芝草の広場もあるので、春はさぞ混み合うことだろう。この展望地を過ぎればいよいよ蓑山(581.5)の山頂だ。いくつかの展望台があるのだが、まずは山頂に建つ二階建ての展望台を登ってみよう。展望台に上ると日蔭にはまだ先日降った雪が少し残っていた。それでも殆ど濡れている所はないので、ザックを下ろし、展望を楽しむ。展望は主に西側180度と東側の一部が開けている。西側では宝登山でも見えた武甲山や両神山、奥秩父の山に加え、小鹿野の二子山が良く見える。東側は登谷山や皇鈴山(みすずやま)、二本木峠などが見渡せるが、所々木々に遮られてしまう。良い眺めなのだが、とりわけ風が強い所なので、冬場はあまり長居する気にならない。

(有料道路を見下ろす)


(芝草の丘)


(桜の森からの眺め)


(山頂展望台)


(武甲山)


(両神山)


(奥秩父の山々)


(和名倉山)


(雲取山方面 右奥は大常木山など)




(展望台からのパノラマ)


(登谷山)


(山頂周辺 この日は結構人が多かった)

展望台を下り、自販機などがある建物を過ぎると、東側に面した展望デッキがある。ボクは先ほどのコンクリ製の展望台よりこちらのほうが好きだ。南東側は木に遮られているものの、東側に広い展望が得られる。左奥には子持山と赤城山が見え、既に雪化粧していることがわかる。その手前に見える尾根は雨乞山から陣見山へと続く稜線だ。その尾根の手前に見えるのが大平山から大霧山へと連なる尾根だ。まず目立つのはポッコリと突き出した釜伏山。そこから右に目をやり、台形をした山の右に見える芝草の山が登谷山だ。更に右へ電波塔が建つ平たいピークが皇鈴山。皇鈴山から右、斜面に草っぽいのが見えるのが二本木峠。峠から右は秩父高原牧場になっている。特に広い草地の辺りは5月下旬になるとポピーの花で真っ赤になる。その草地から右に大きく盛り上がるのが大霧山だ。意外に無骨な山だ。

(東側の展望デッキ)


(子持山)


(背後は赤城山 手前は陣見山など)


(左 大平山 右 釜伏山)


(皇鈴山)


(大霧山)


(秩父高原牧場のポピー畑)


(二本木峠)




(展望デッキからのパノラマ)

デッキにあるベンチで休憩を取ろうと思ったが、ここもかなり風が冷たい。止む無く生垣のあるベンチへと避難することにした。自販機の前を通ったので、何気なく値段を見ると下界と同じであることに驚いた。観光地価格じゃないんだ…。ベンチでミカンを食すが、やっぱり寒い。日が高いうちに下ることにしよう。下山地は当初まだ歩いたことのない曽根坂峠を考えていたが、いつも利用している下山へと下ることにした。長瀞アルプスでちょっと寄り道し過ぎた。美の山公園の南端にも展望台があり、当然ながら南側の眺めが良い。丸山から二子山、武川岳が見えるのが特徴だ。展望台下の車道を道なりに下ると黒谷駅(近年和銅黒谷駅に改称)への道標が見えてくる。おっ、マウンテンバイクで下っていく人がいる。

(大量の実が生っていた)


(南側の展望台から 丸山方面)


(二子山と武川岳)


(武甲山)


(南側展望台からのパノラマ)


(南側展望台)


(黒谷駅へ下る)

道標にしたがい山道に入ると最初は広く緩やかな下りとなっている。雑木林が多いので、遅くなってもそれほど不安がることはない。一旦杉檜の林を抜けると急な雑木林の道が続く。大体が九十九折となっているのだが、若干踏み跡が怪しい所や道が交錯する所もある。出来るだけ道形がはっきりとした所を下っていけば、じきに竹藪交じりの道に変わる。竹藪を抜ければ下山地区の民家裏手に出る。地区内は民家の敷地を通る所があるので、道標にしたがって道を外れないようにしたい。南向きの日当たりの良い集落からは両神山や奥秩父の山が一望できる。道標にしたがいショートカット道を行くと和銅採掘露天掘跡入口に着く。看板には徒歩5分とあるので、ちょっと寄ってみることにする。

(まずは緩やかな下り)


(段々と踏み跡は細く)


(竹藪)


(下山地区に出る)






(下山地区の様子)


(採掘跡の看板)

薄暗い道を進むと聖神社への分岐に出る。黒谷駅へも聖神社へ向かえばよいようなので、ここまで戻ってくればよい。銅洗堀と呼ばれる沢を遡ると巨大な和同開珎のオブジェが現れる。このオブジェ、実は蓑山山頂近くにもある。沢の対岸に露天掘りの跡があるらしいのだが、下から見上げただけではよくわからない。以前母と訪れたときも要領が得なかった。やはりここは対岸に付けられた長い階段を上っていく必要があるようだ。道はよく整備されていて、とりあえず階段を登り切った所までは問題はない。登り切った先は切り立った斜面をトラバースしていく。ここも柵があるので、谷に寄り過ぎなければ問題はないだろう。金属製の小さな橋が架かった所が見所らしく、巨大な岩に裂け目が付いている。単なる谷にも見えるが、これが露天掘りの跡なのだろうか?橋を渡りきると大正年代に建てられた和銅開寶と書かれた石碑がある。石碑のある所からこれ以上は行けないようだ。道を戻ると先ほど橋を渡る手前に山側に小さな踏み跡があるのを見つけた。こちらは岩をトラバースしながら尾根の上まで上がっていくらしい。少し上がってみると岩壁の下に出た。道はこの先案内板にあった和銅山まで続いているようだが、今日のところはここまでとした。

(和銅のオブジェ)


(沢近くの露天掘り跡)


(階段が結構きつい)


(露天掘り跡を覗き込む)


(和銅開寶の碑)


(露天掘り跡を見上げる)


(和銅山の岩壁)

往路を戻り、聖神社分岐に入る。銅洗堀に沿って下ると今度は黒谷駅の近道が分岐する。聖神社には興味があるものの、今日は寄り道が多くて疲れてしまった。今度またじっくりと歩く時間を作ることにして、今日は近道を行くことにした。暗い杉林の沢沿いを崩壊した古い廃屋を横目に下り、人為的な掘割を行けば、明るい集落に出る。民家が立ち並び、国道も近い。国道に下り、和銅黒谷駅の看板のある交差点を渡れば、駅は目の前である。瓦葺の木造駅舎は時刻表も手書きで味がある。駅に着いた5分後には三峰口行の電車がやって来た。土産はいつも西武秩父駅の仲見世通りで買っているが、今日は秩父駅の地場産業センターへ寄ってみよう。秩父駅に降りるとやたらと人が多い。何事かと思っていたら、三峰方面からSLがやって来た。ボクは一度このSLパレオエクスプレスに乗ったことがあるのだが、感想としては乗るよりも外から見るほうが面白いと思う。SLが発車するのを見送って地場産業センターのビルに入る。う~ん、お土産類は仲見世通りのほうが充実しているかもしれない。帰りは次の電車が来るまで時間があるので、歩いて西武秩父駅へと向かう。秩父駅周辺の細い路地には古い建物が多く、タイムスリップしたような感じも受ける。西武秩父駅で特急券を求めると、寒くて客足が多くなかったせいなのか、池袋行きの特急はガラガラであった。

(枝分かれした杉)


(切通し この先は下界)


(和銅黒谷駅)


(SLパレオエクスプレス)

DATA:
親鼻駅11:18~11:22(皆野)萬福寺~11:26関東ふれあいの道入口~11:41車道出合~12:05いこいの村分岐~12:17みはらし園地
~12:36蓑山13:17~13:42下山地区~13:49和銅採掘露天掘跡分岐~14:00和同開珎の碑~14:08聖神社分岐~14:10黒谷駅近道~14:21和銅黒谷駅

地形図 皆野

歩数 34,556歩

通常はどちらか一座ずつ登るのが良いでしょう。歩いて面白いのは長瀞アルプスですかね。蓑山については何処から登っても似たようなものですが、気分的に楽なのは今回歩いたルートかと思います。和銅遺跡については詳しくはこちらをご覧下さい。遺跡を中心としたハイキングコースを歩くのも良さそうです。なお今回は秩父フリーきっぷを使用しました。ある程度の距離を乗る場合には少しお得になります。但し秩父鉄道については野上駅までしか使えないことに注意してください。また窓口でしか買えない点も要注意。

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