(鳩峰公園の雑木林)
東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵はその大きな部分を多摩湖・狭山湖という貯水池が占めている。水道用地となっているため、堰堤の部分を除けば自由に出入りすることができない。出入りを制限している代わりに自然が残され、その外側は開発が進むことになった。かつて狭山丘陵の所沢市域内は西武グループによる開発が盛んであった。遊園地や野球場、競輪場といったレジャー施設のほか、大規模な住宅地や霊園が建設されてきた。ところが景気が低迷し始めると開発が止まり、トトロのふるさと基金に代表されるような自然保護運動が活発となった。その頃から所沢市でも大規模開発による観光振興だけでなく、武蔵野の自然を生かした観光開発を重視するようになっていった。今回は「ところざわウォーキング・ナビ」を参考に鳩峰八幡神社から西武球場前駅までの丘陵地帯を歩いてみたいと思う。
所沢駅から西武園駅行きのバスに乗り、水天宮下バス停で降りる。途中将軍塚バス停で降りれば「となりのトトロ」の舞台のモデルとなった八国山にも行けるのだが、あそこは東村山側から歩いたほうが映画の雰囲気が感じられる。バス停から更に少し進むと道標がある。周囲は西武が開発した住宅街なのだが、雑木林が近く環境は良い。霊園が見えてきたら右手の坂道を上がっていく。坂を登りきった辺りが鳩峰(はとがみね)八幡神社の入口だ。境内は広い雑木林の一部となっていて、かなり広く感じる。雑木林を抜けると本殿があり、明るい広場となっている。新田義貞が八国山の将軍塚に陣を敷いた際に戦勝を祈願したと云われる古社で、本殿は室町時代に建てられたものとみられている。
(鳩峰八幡神社境内)
(杉の木)
(本殿)
本殿の左手は土の道となっていて、そのまま鳩峰公園へと続いている。その左手の道を歩いていくと一段下った所に久米水天宮がある。社殿脇の尾根道を進むと道標のある分岐に出る。鳩峰公園方面へ進むと左手に住宅街が見える。右手は雑木林を残した自然公園で、「トトロの森2号地」も隣接している。尾根道を真直ぐ進むのがわかりやすいものの、今日は雑木林の中にある枝道を進むことにする。新緑進む雑木林は今が最も美しい。枝道は尾根道へとつながり、浄水場の前に出る。浄水場の脇を抜けると開けた坂道だ。茶畑や住宅街の奥には小手指駅近くにある高層マンションが見える。
(鳩峰公園へと続く)
(久米水天宮)
(分岐 右が鳩峰公園)
(新緑が美しい)
(枝道を行く)
(奥にある二棟のタワーマンションのある辺りが小手指駅)
坂を下りきると塀に囲まれた大きな建物のある交差点に出る。建物は光蔵寺で、そのすぐ先の「狭山丘陵いきものふれあいの里センター」の看板にしたがって左の道に入る。しばらくは資材置き場や住宅がひしめく車道を進む。やがてフェンスに囲まれた雑木林が見えてくる。フェンスの向こうは西武園ゴルフ場で、右手も雑木林となってくれば荒幡富士は近い。傾斜の急な車道を登りきると築山のある開けた広場に着く。築山は荒幡富士と呼ばれる富士塚で、比高は10mを超えているようだ。植えられたツツジの木が色とりどりの花を付け、また小さな富士であることを示すミニチュアの社殿が建てられているなど賑やかだ。頂上へ登ってみると思ったより視点が高い。ただ周囲の木々も高くなっているため、あまり眺望は得られない。北側は小手指辺りの市街地が遠望できる。空気が澄んだ冬場であれば大山や奥多摩の山も遠望できるのだが、初夏の空気では望むべくもない。
(荒幡富士)
(ツツジが多い)
(藤もある)
(小手指方面の眺め)
(頂上から麓を見下ろす)
荒幡富士から少し北西に下ると狭山丘陵いきものふれあいの里センターがある。周辺は荒幡富士市民の森と名付けられた雑木林で下っていけば下山口駅が近い。しかし今日は更に西を目指してゴルフ場脇の車道を下る。住宅街に出て霊園が見えてくると道標がある。センター方面しか示していないが、西武山口線遊園地西駅を目指して左に入る。遊水池を見送ると雑木林横の車道を上がっていく。交通量の多い交差点に出て、通りの向こうのコンビニ横を今度は下っていく。小さな川を渡ると再び住宅街に入る。この辺り、かなり道が分かりにくい。北に少し下ると左手に雑木林が見えてくる。ここはトトロの森6号地で、小さな広場の奥には看板が立っている。その看板脇に東京都水道局の管理道路である通称アルペンロードがある。道路といっても車一台が通れる広さの土の道で、丘陵を一直線に貫いている。
(いきものふれあいの里センター)
(ここを登ると遊園地西駅に出る)
(トトロの森6号地の看板)
やや急な傾斜の坂を登りきるとゴルフ場のフェンスが見えてくる。ここを右に寄り道すると見晴らしの良い草原の丘がある。狭山湖の堰堤がよく見えるのだが、草茫々で休憩にはちょっと厳しい。アルペンロードに戻り、緩やかなアップダウンを繰り返す道を進む。急坂を下ると住宅街の前の広場に出てくる。南西に向かう住宅街を抜ける車道を行くと湿地が見えてくる。菩提樹田んぼと呼ばれる水田で、案内板によると3ヘクタールほどの広さがあるという。周辺は谷戸(雨水の浸食によってできた谷)で、古くから米作りが行われてきたという。所沢は大きな川が無い土地なので、この辺りは米作りができるほど水資源が豊富ということだ。なお、菩提樹は「ぼだいぎ」と読むそうだ。
(丘からの眺め)
(アルペンロード)
(アルペンロード終点)
(菩提樹田んぼ)
田んぼから先は土の道で、田んぼから離れると道標の立つ分岐に出る。どちらを行っても菩提樹池に着くのだが、一応道標にしたがって左の道を行く。途中小さな沢を渡る。この沢は菩提樹池から流れ出して菩提樹田んぼへと注ぎ込んでいる。沢沿いに少し進むと雑木林に囲まれた濁った池に着く。ここが菩提樹池だ。この辺りは湿地帯ということもあってマムシなどの蛇が多いのだが、以前訪れたときも池の中を蛇が体をくねらせながら泳いでいるのを見たことがあった。
(菩提樹池への道)
(田んぼへと注ぐ沢)
(菩提樹池)
菩提樹池奥の階段を登ると大きな狭山湖畔霊園の脇に出る。霊園越しに所沢駅周辺のタワービル群や狭山湖の堰堤などが見えるが、見晴を求めるような所でもないだろう。土の道を下っていけば霊園の入口に着く。目の前に見える西武狭山線のガードを潜れば西武球場前駅は近い。短い行程だったが、土の道を歩ける区間が思ったよりも長く、山歩きを休んでいる身にはちょうど良い疲れであった。
(霊園の向こうに所沢駅周辺のタワーマンションが見える)
(ツツジ咲く脇道)
DATA:
所沢駅(西武バス)水天宮下バス停~14:24鳩峰八幡神社~15:06荒幡富士~15:43トトロの森6号地~16:07菩提樹田んぼ~16:12菩提樹池~16:30西武球場前駅
西武バス 所沢駅西口~水天宮下(西武園駅または西武ゆうえんち行)180円
地形図 所沢
東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵はその大きな部分を多摩湖・狭山湖という貯水池が占めている。水道用地となっているため、堰堤の部分を除けば自由に出入りすることができない。出入りを制限している代わりに自然が残され、その外側は開発が進むことになった。かつて狭山丘陵の所沢市域内は西武グループによる開発が盛んであった。遊園地や野球場、競輪場といったレジャー施設のほか、大規模な住宅地や霊園が建設されてきた。ところが景気が低迷し始めると開発が止まり、トトロのふるさと基金に代表されるような自然保護運動が活発となった。その頃から所沢市でも大規模開発による観光振興だけでなく、武蔵野の自然を生かした観光開発を重視するようになっていった。今回は「ところざわウォーキング・ナビ」を参考に鳩峰八幡神社から西武球場前駅までの丘陵地帯を歩いてみたいと思う。
所沢駅から西武園駅行きのバスに乗り、水天宮下バス停で降りる。途中将軍塚バス停で降りれば「となりのトトロ」の舞台のモデルとなった八国山にも行けるのだが、あそこは東村山側から歩いたほうが映画の雰囲気が感じられる。バス停から更に少し進むと道標がある。周囲は西武が開発した住宅街なのだが、雑木林が近く環境は良い。霊園が見えてきたら右手の坂道を上がっていく。坂を登りきった辺りが鳩峰(はとがみね)八幡神社の入口だ。境内は広い雑木林の一部となっていて、かなり広く感じる。雑木林を抜けると本殿があり、明るい広場となっている。新田義貞が八国山の将軍塚に陣を敷いた際に戦勝を祈願したと云われる古社で、本殿は室町時代に建てられたものとみられている。
(鳩峰八幡神社境内)
(杉の木)
(本殿)
本殿の左手は土の道となっていて、そのまま鳩峰公園へと続いている。その左手の道を歩いていくと一段下った所に久米水天宮がある。社殿脇の尾根道を進むと道標のある分岐に出る。鳩峰公園方面へ進むと左手に住宅街が見える。右手は雑木林を残した自然公園で、「トトロの森2号地」も隣接している。尾根道を真直ぐ進むのがわかりやすいものの、今日は雑木林の中にある枝道を進むことにする。新緑進む雑木林は今が最も美しい。枝道は尾根道へとつながり、浄水場の前に出る。浄水場の脇を抜けると開けた坂道だ。茶畑や住宅街の奥には小手指駅近くにある高層マンションが見える。
(鳩峰公園へと続く)
(久米水天宮)
(分岐 右が鳩峰公園)
(新緑が美しい)
(枝道を行く)
(奥にある二棟のタワーマンションのある辺りが小手指駅)
坂を下りきると塀に囲まれた大きな建物のある交差点に出る。建物は光蔵寺で、そのすぐ先の「狭山丘陵いきものふれあいの里センター」の看板にしたがって左の道に入る。しばらくは資材置き場や住宅がひしめく車道を進む。やがてフェンスに囲まれた雑木林が見えてくる。フェンスの向こうは西武園ゴルフ場で、右手も雑木林となってくれば荒幡富士は近い。傾斜の急な車道を登りきると築山のある開けた広場に着く。築山は荒幡富士と呼ばれる富士塚で、比高は10mを超えているようだ。植えられたツツジの木が色とりどりの花を付け、また小さな富士であることを示すミニチュアの社殿が建てられているなど賑やかだ。頂上へ登ってみると思ったより視点が高い。ただ周囲の木々も高くなっているため、あまり眺望は得られない。北側は小手指辺りの市街地が遠望できる。空気が澄んだ冬場であれば大山や奥多摩の山も遠望できるのだが、初夏の空気では望むべくもない。
(荒幡富士)
(ツツジが多い)
(藤もある)
(小手指方面の眺め)
(頂上から麓を見下ろす)
荒幡富士から少し北西に下ると狭山丘陵いきものふれあいの里センターがある。周辺は荒幡富士市民の森と名付けられた雑木林で下っていけば下山口駅が近い。しかし今日は更に西を目指してゴルフ場脇の車道を下る。住宅街に出て霊園が見えてくると道標がある。センター方面しか示していないが、西武山口線遊園地西駅を目指して左に入る。遊水池を見送ると雑木林横の車道を上がっていく。交通量の多い交差点に出て、通りの向こうのコンビニ横を今度は下っていく。小さな川を渡ると再び住宅街に入る。この辺り、かなり道が分かりにくい。北に少し下ると左手に雑木林が見えてくる。ここはトトロの森6号地で、小さな広場の奥には看板が立っている。その看板脇に東京都水道局の管理道路である通称アルペンロードがある。道路といっても車一台が通れる広さの土の道で、丘陵を一直線に貫いている。
(いきものふれあいの里センター)
(ここを登ると遊園地西駅に出る)
(トトロの森6号地の看板)
やや急な傾斜の坂を登りきるとゴルフ場のフェンスが見えてくる。ここを右に寄り道すると見晴らしの良い草原の丘がある。狭山湖の堰堤がよく見えるのだが、草茫々で休憩にはちょっと厳しい。アルペンロードに戻り、緩やかなアップダウンを繰り返す道を進む。急坂を下ると住宅街の前の広場に出てくる。南西に向かう住宅街を抜ける車道を行くと湿地が見えてくる。菩提樹田んぼと呼ばれる水田で、案内板によると3ヘクタールほどの広さがあるという。周辺は谷戸(雨水の浸食によってできた谷)で、古くから米作りが行われてきたという。所沢は大きな川が無い土地なので、この辺りは米作りができるほど水資源が豊富ということだ。なお、菩提樹は「ぼだいぎ」と読むそうだ。
(丘からの眺め)
(アルペンロード)
(アルペンロード終点)
(菩提樹田んぼ)
田んぼから先は土の道で、田んぼから離れると道標の立つ分岐に出る。どちらを行っても菩提樹池に着くのだが、一応道標にしたがって左の道を行く。途中小さな沢を渡る。この沢は菩提樹池から流れ出して菩提樹田んぼへと注ぎ込んでいる。沢沿いに少し進むと雑木林に囲まれた濁った池に着く。ここが菩提樹池だ。この辺りは湿地帯ということもあってマムシなどの蛇が多いのだが、以前訪れたときも池の中を蛇が体をくねらせながら泳いでいるのを見たことがあった。
(菩提樹池への道)
(田んぼへと注ぐ沢)
(菩提樹池)
菩提樹池奥の階段を登ると大きな狭山湖畔霊園の脇に出る。霊園越しに所沢駅周辺のタワービル群や狭山湖の堰堤などが見えるが、見晴を求めるような所でもないだろう。土の道を下っていけば霊園の入口に着く。目の前に見える西武狭山線のガードを潜れば西武球場前駅は近い。短い行程だったが、土の道を歩ける区間が思ったよりも長く、山歩きを休んでいる身にはちょうど良い疲れであった。
(霊園の向こうに所沢駅周辺のタワーマンションが見える)
(ツツジ咲く脇道)
DATA:
所沢駅(西武バス)水天宮下バス停~14:24鳩峰八幡神社~15:06荒幡富士~15:43トトロの森6号地~16:07菩提樹田んぼ~16:12菩提樹池~16:30西武球場前駅
西武バス 所沢駅西口~水天宮下(西武園駅または西武ゆうえんち行)180円
地形図 所沢
以前にコメントさせていただいたとき勧めていただいた「山と高原地図」は、2015年版の発売を待って買いました。
見ているだけで楽しいです。
こちらのブログで拝見した場所も、地図上で確認すると想像がふくらみます。
ありがとうございました。
これからも楽しみにしています。
現在なかなか山歩きに行けない状態でして、今後も更新が滞りがちになるかもしれません。
コメント欄は基本的に何を書いても自由ですので、山歩きのご報告なども楽しみにお待ちしております。
少し前に、北向地蔵からユガテに向かってみました。
そのとき、以前にこちらのブログでも拝見した
深沢山への赤テープの道を、実際に見ることができました。
こちらでも「下りは大変」ということが書いてありましたし、
赤テープにも「初心者入らぬこと」と書かれていましたので、
もう少し慣れたら、行ってみたいと思っています。
そのときはまたこちらの記事を読み直します。
最初のほうの記事から少しずつ読み返すのを楽しんでおりますので、
新しい更新が頻繁でなくても、読む記事がたくさんあります^^
山歩き以外の記事も楽しみに拝見しておりますので、
お時間があいたときには更新なさってくださいませ。
実のところ、深沢山周辺はそれほど難しくはない、と思っております。迷ったところで高い山ではないし、林道や作業道も通っているし、何より踏み跡が確りしています。難しいのは沢山峠への下りが急な所だけです。山と高原地図でもほぼ実線で描かれているルートなので、静かな所を歩きたい方には良いのかもしれません。