日本の雇用環境が変わろうとしています。
今まで:メンバーシップ型雇用(終身雇用でジェネラリストを育成)
目指すところ:ジョブ型雇用(スペシャリストを育成、転職にも有利)
ただ、まだまだ日系の会社では、「正社員」=「終身雇用」という雇用形態が強く根付いていると感じています。外資系から日系に転職する場合、高い給料を維持するかわりに、1年契約の「契約社員」での契約となり、企業年金も無しという雇用形態がほとんどかと思われます。また、定年も60歳で、再雇用は「正社員」のみといった制約があったりします。ジョブ型雇用が広まれば、中途採用との給料差に正社員からの文句がでる為に、契約社員として差別するなんて事もなくなり、人材の流動性がもっと広まっていくのかと思います。
今、コロナ渦において、不本意に転職を考えている方もいるかも知れません。
僕の経験から、転職について少し考えてみたいと思います。
新入社員:
バブルがはじけた就職氷河期の時代に、日系のシンクタンクに入社。
当然終身雇用真っ只中、転職なんて社会に適応できない人がするものという感じでした。また、今ほど外資系企業も一般的ではなく、外資系=帰国子女が行く会社という認識でした。
1回目の転職:
30歳の誕生日を病院のベッドで迎える事となり、急にできた暇な時間で自己啓発本を読みあさりました。そして、意を決して米系金融情報会社に飛び込みました。当時の私の英語の成績はTOEIC500点ぐらい。
英語の面接はほぼほぼダメ。それでも入れたのは、今振り返ってみると、タイミングと熱意だけだった気がします。
苦労した事:
顧客は日本人でしたが、社内メールは英語、本国の外人と英語でのコミュニケーションをしなければいけない事もあり、最初のうちは「チッ」と言って電話を切られる事も。
2回目の転職:
40歳の時、たまたまテレビで外資系の証券の平均年収が何千万というニュースを見たのがきっかけで、外資系の証券に強いヘッドハンターを片っ端からネットで検索して、登録しました。たまたま、新しい部署を立ち上げるのに英語を喋れる社員はいるが、日本人を相手にできる社員がいなく、外資系の経験がある人材を探していたところに、自分がうまくフィットしたようです。
苦労した事:
上司が外人で、英語でのコミュニケーションが必須だった事と、周りがほぼ帰国子女で、自己アピール力の差を思い知らされました。また、利益が直接ボーナスに反映される為、収益に対するプレッシャーが半端なかったです。
3回目の転職:
転職できるのは40歳代のうちだと思っており、また周りに50歳過ぎて働いている人が少なかった為、自分が50歳を過ぎて今の会社で働いている姿が想像できなかったことから、日系企業に転職しました。
苦労した事:
外資系から、久々に日系に戻り、驚いたのが人の多さでした。会議の時に、関係なさそうな部署から2人も3人も出てきて、一言も発言しない。外資系なら、各部署1人で、その場で結論がでたのですが、まったく結論が出ない。どうやら責任を負うのが嫌みたいで、結論を出そうとしない。
また、外資系では収益を上げる為に皆が同じ方向を向いていたので、部署間での助け合いがとてもよくできていたのですが、日系では、部署間の助け合いどころか、どれだけ受け付けないようにするか、みたいなところがありました。
4回目の転職:
50歳を過ぎての転職は明らかに厳しかったです。ヘッドハンターに登録をして、担当者と面接はするものの、なかなか案件が出てこない。
経営者案件はあっても、この年齢でスタッフとなると、ほとんどありません。
募集に応募するも、面接まで行けたのは数社程度。給料も当然2/3ぐらいを覚悟しないといけない状況でした。ヘッドハンターを諦め、かつての上司、同僚、仲の良いお客さんに片っ端から打診をして、何とかそのつてで入社にこぎつける事ができました。50歳を過ぎると書類選考でアウトになります。それまでの会社員人生でどれだけ周りに知り合いを作っておけるかがカギになってくると思います。まだ40歳代のうちに同業他社の飲み会とか、集まり、イベントには極力顔を出して、交友関係を作っておくことをお勧めします。
今までの転職で分かったこと:
外資系に転職するなら、英語力、周りとのコミュニケーション力、自己アピール力は必要。給料が1000万円は違うと思います。
転職の場合、タイミングが重要なので、現在転職する希望が無くても、取り合えずヘッドハンターに登録し、情報は随時集めておく事をお勧めします。いい案件があった場合に、すぐに動ける体制は取っておきたいものです。
また、新入社員で入る為には、サマーインターンシップは必須です。
外資の一流の会社には一流の社員がいます。自分が普通でも、そういった人たちと仕事をする事で、いつのまにか自分のレベルも格段に上がっています。
人生100年世代、70歳まで働かないといけなくなる時代もすぐです。常に自分の能力をブラッシュアップしていつもでもいききと仕事をしていたいものです。