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「オペラ座の怪人」勝手に解説
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「オペラ座の怪人」第1幕 第1場 -1

2021-04-15 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。
また、英語学習者のために、英語の構造や語感をやや残した和訳にしました。日本語にない、日本語らしくない言い回しが多く出てくることになります。プロの翻訳家の和訳を楽しみたい方は是非ロンドンでの25周年記念公演のDVDを手に入れてください。

(前奏曲が終了すると同時にオペラ「ハンニバル」のリハーサルの場面。プリマドンナのカルロッタがエリサ役で登場し、生首をトロフィーに見立ててカデンツァを歌い始める。)
※リハーサルの内容は、ウバルド・ピアンジ演じるハンニバルと彼の軍隊がローマからカルタゴへ帰還する場面である。彼らは留守中にカルタゴに圧政を敷いていたローマを駆逐しようと意気込んで帰って来る。ハンニバルの恋人エリサや周囲の人々は彼らを歓迎しようとしていて、ハンニバルらが登場して歓迎の宴が始まる。
※ハンニバルは紀元前800年〜150年頃に地中海沿岸で栄えた国カルタゴの将軍で実在の人物(紀元前247年〜183年頃)。第2次ポエニ戦争を始めた人物とされているが、残念ながらローマに破れカルタゴに帰還した。一方エリサはカルタゴを建国した伝説上の女王ディードーの幼名とされる(ウィキペディア)。二人は時代を共に生きてはいないが、ニュージカルではハンニバルとエリサは恋人という設定(両者を演じているカルロッタとウバルドも恋人)。
※アンドリュー・ロイド・ウェバーはヴェルディーの歌劇「アイーダ」に似せてこの架空のオペラシーンを作ったらしい。
このリハーサル中に、ちょっとした事故が起き、カルロッタが逃げ出しクリスティーンに代役のチャンスが巡って来るが、ガストン・ルルーの原作では、クリスティーンが代役としてデビューするのは、実在のオペラ、グノー作「ファウスト」である。

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CARLOTTA (ELISSA): (エリサ役のカルロッタのカデンツァ)
This trophy from our saviours, from our saviours,       このトロフィー、救済者から、私たちの救済者(ハンニバル)からのもの
From the enslaving force of Rome!       ローマの圧政から救うもの

(エリサの周囲に奴隷の踊り子や人々が集まり踊りや歌が始まる。奴隷に扮したバレリーノがコーラスの間に舞台を躍動的に踊り回る。)

GIRLS' CHORUS:(女性コーラス)
With feasting and dancing and song, tonight in celebration,       ごちそう、踊りや歌で今夜はお祝い
We greet the victorious throng, returned to bring salvation!       救いをもたらすため帰還した無敗の軍に挨拶をしよう

MEN’S CHORUS:(男性コーラス)
The trumpets of Carthage resound!        カルタゴのトランペットが鳴り渡る
Hear, Romans, now and tremble!           ローマ人よ、今こそ聞いて震え上がれ
Hark to our steps on the ground!          地に響く我らの足音を聞け

ALL: (全員でコーラス)
Hear the drums. Hannibal comes!          ドラムの音を聞け ハンニバルがやって来る

(ここでハンニバルが登場。他の出演者と少々タイミングが合わないが、構わず演じ続ける。)

PIANGI (HANNIBAL): (ハンニバル役のピアンジの独唱)
Sad to return to find the land we love              恋しい土地に帰ってみれば悲しいことに
Threatened once more by Roma's far-reaching grasp.       遠いローマに再び脅されている
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REYER: (音楽監督のレイエがピアンジの発音を注意するために中断させる。)
No, no, no, no! Signor... if you please: 'Roma'. We say 'Rome', not 'Roma'.
違う、違う、違う! 「ローマ」じゃない。我々は「ローマ」じゃなくて「ローム」と言うんだ。

PIANGI: (ピアンジ)
Rome. Rome is very hard for me. It’s very, very hard... I’m from Italy
「ローム」。「ローム」ってとても(発音が)難しい。とても… 出身がイタリアだから…

REYER: (レイエ)
Well, once again, then, if you please, Signor: Just get it right, please. ‘Sad to return.../, signor...
では、もう一度お願いする。ちゃんとやってくれればいいんだ。「帰ってみれば悲しいことに…」から…

(ハンニバル、気を取り直して再び歌い始める。)

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PIANGI (HANNIBAL):(ハンニバル役のピアンジ)
Sad to return to find the land we love           恋しい土地に帰ってみれば悲しいことに
Threatened once more by Rome's far-reaching grasp         遠いローマに再び脅されている
Tomorrow we shall break the chains of Rome               明日はローマの鎖を断ち切るぞ
Tonight, rejoice, your army has come home.                 喜べ、今夜は我が軍が帰ったのだ
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(声が本調子でないハンニバルとエリサがステージ脇に去ると、舞台中央で再びバレリーノと踊り子たちの踊りが始まる。クリスティーンとメグ・ジリーが踊り子役で登場するが、まだそれとは分からないうちに暫く踊りが続く。)

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CHORUS:(コーラス)
Bid welcome to Hannibal’s guests, the elephants of Carthage!           ハンニバルのゲスト、カルタゴの象たちを歓迎しよう
As guides on our conquering quests Dido sends Hannibal’s friends!     遠征のガイドとしてディードーがハンニバルに送った像たちだ

(ハンニバルとエリサが手を携えて舞台中央に現れる。奴隷役のバレリーノから臣従礼を受けたエリサが再び歌いだす。その最中にクリスティーンとメグ・ジリーがエリサの前に出てひれ伏す。)

CARLOTTA (ELISSA):(エリサ役のカルロッタ)
Once more to my welcoming arms my love returns in splendour         待ち焦がれた私の腕へ栄光を浴びて再び戻って来る

PIANGI:(ハンニバル役のピアンジ)
Once more to the sweetest of charms my heart and soul surrender         最も魅力ある人に心も魂も再び屈する

CHORUS:(コーラス)
The trumpeting elephants sound! Hear, Romans now and tremble!         像の雄たけびだ、ローマ人よ、今こそ聞いて震え上がれ
Hark to their step on the ground Hear the drums!           地に響く彼らの足音を聞け ドラムの音を聞け
Hannibal comes!           ハンニバルがやって来る
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(エリサを含め皆がハンニバルに向かって跪き、またはひれ伏す。ハンニバルは片膝をつき苦労して短剣を何とか抜き、リハーサルの一区切りとなる。音楽監督レイエが満足げに皆に声をかける。)