務のよしなしごと

ハンプトン・コート宮殿の人々(完成時期未定)
「オペラ座の怪人」勝手に解説
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「オペラ座の怪人」第1幕 第1場 -4

2021-04-21 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。
また、英語学習者のために、英語の構造や語感をやや残した和訳にしました。日本語にない、日本語らしくない言い回しが多く出てくることになります。プロの翻訳家の和訳を楽しみたい方は是非ロンドンでの25周年記念公演のDVDを手に入れてください。

(メグ・ジリーからカルロッタが使っていたステージ用ストールを渡されたクリスティーンはレイエのピアノ伴奏に合わせて、「ハンニバル」第3幕でエリサが歌うアリアをおずおずと歌い出す。)

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"THINK OF ME"

CHRISTINE:(クリスティーン)
Think of me, think of me fondly, When we've said goodbye.       さよならを言った後は私のことを深く思ってね
(ここでクリスティーンは逃げ出したい素振りを見せる。気合を入れるため、マダム・ジリーが杖で床を突く。クリスティーンは気を取り直して続ける。)
Remember me every so often Promise me you'll try.       いつも私を思い出し、そうするって約束してね
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FIRMIN:(フィルマン、歌の途中でアンドレに向かって)
André, this is doing nothing for my nerves.       アンドレ、何も心に響かない。

ANDRÉ:(アンドレ)
Don't fret, Firmin.       いらいらするな、フィルマン。
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CHRISTINE:(歌の続き)
On that day, that not so distant day When you are far away and free       そう遠くないあの日、あなたは去って行った
If you ever find a moment Spare a thought for me       合間を見て、私のことも考えてね
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REYER:(レイエ)
Madame! Monsieur!       皆さん、(彼女の歌をお聞きください)。
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(舞台がやや暗くなり、その間クリスティーンは、衣装係から衣装を着せられ、マダム・ジリーから身振りの指導、レイエからスコアを見せられ歌の指導を受ける様子が演じられる。そして舞台が再び明るくなり、マダム・ジリーとレイエが舞台端へ去ると、彼女が「ハンニバル」の初公演で主役として第3幕でのアリアを歌う場面に変わっている。)

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CHRISTINE:(歌の続き)
And though it’s clear Though it was always clear       決してあり得ないとはっきり分かっているし
That this was never meant to be If you happen to remember       いつも分かっていたことだけど 思い出すことがあったら
Stop and think of me       立ち止まって私のことを考えてね
Think of August when the world was green       緑で一杯だった8月のことを思い出して
Don’t think about the way things might have been       こうだったかもしれないとは考えないでね
Think of me, think of me waking Silent and resigned       目覚めていても言葉に出さずおとなしくしている私のことを考えてね
Imagine me trying too hard To put you from my mind       あなたを心から遠ざけようと努力している私を想像してね
Think of me Please say you’ll think of me       私を思っていると、私のことを思っていると言ってね
Whatever else you choose to do There will never be a day       あなたが何をしようと
When I won’t think of you       私があなたを思わない日はないでしょう

(「ハンニバル」の初演でクリスティーンが舞台で歌っているのをフィルマン夫妻、アンドレ夫妻と共にボックス席から見ていたシャニュイ子爵=ラウルは彼女が昔別れた幼馴染みであることに気づく。)

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RAOUL:(ラウル)
Can it be! Can it be Christine! Brava! Brava!       あれはクリスティーンだ! すばらしい!

※フィルマン夫人はラウルと同じく感激して拍手しようとするが、気難しいフィルマンにたしなめられる。台詞はないが二人のこのやりとりや表情が面白い。また、アンドレの二人を見る呆れたような表情も面白い。台詞がなくてもさすがにプロの役者だと感心させられる。アンドレ夫人は動画の中では見えないが、後の場面で台詞なしで出演している。

Long ago, it seems so long ago How young and innocent we were       今ではずっと昔のようだが、二人は若くて無邪気だった
She may not remember me But I remember her       彼女は覚えてないかもしれないが、僕は彼女を覚えている

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CHRISTINE:(クリスティーン)
Flowers fade The fruits of summer fade       花は色あせ 夏の果実も朽ちる
They have their seasons, so do we       季節があるように 私たちにも輝く時があるわ
But please promise me       でも約束して
That sometimes you will think Of me       (think と of の間にカデンツァを入れて)時々私のことを考えるって

※この歌を歌う際にクリスティーンはラウルのことを思っているかどうかは分からないが、ミュージカルの作者がガストン・ルルーの原作を基に彼女とラウルの間柄にこの歌をオーバーラップさせることにより二人が再開後に親密さを増していく伏線として設定していると考えられる。劇中劇のエリサとハンニバル、そしてミュージカル自体の中のクリスティーンとラウル、二組のカップルが、お互いに離れている時期があって再び会うという複雑な設定が見事に絡み合った場面が最初から設定されており、このミュージカルの難しさと面白さが同時に現れている部分でもある。
#################### ("THINK OF ME" の終了)

大きな拍手とともにクリスティーンが舞台上で床に伏せると舞台が暗くなり「ハンニバル」初演が成功したことが暗示される。
以上で第1幕第1場の終了。


※"THINK OF ME" の歌詞は1986年の初演でサラ・ブライトマンが歌っていたものとは若干違っている。因みにオリジナルの歌詞は以下のとおり(途中の他の出演者の台詞等は削除しクリステーンとラウルが歌う部分だけを抜粋)。
CHRISTINE
Think of me, think of me fondly When we've said goodbye.
Remember me once in a while Please promise me you'll try.
When you find that, once again, you long to take your heart back and be free
If you ever find a moment Spare a thought for me

We never said Our love was evergreen
Or as unchanging as the sea But If you can still remember
Stop and think of me Think of all the thing we shared and seen
Don’t think about the things which might have been

Think of me, think of me waking Silent and resigned
Imagine me trying too hard To put you from my mind
Recall those days Look back on all those times
Think of all the things we’ll never do There will never be a day
When I won’t think of you

RAOUL
Can it be! Can it be Christine!
Bravo!
What a change! You’re really not a bit the gawkish girl that once you were
She may not remember me But I remember her

CHRISTINE
We never said Our love was evergreen
Or as unchanging as the sea But please promise me
That sometimes you will think (Cadenza) Of me


「オペラ座の怪人」第1幕 第1場 -3

2021-04-21 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。
また、英語学習者のために、英語の構造や語感をやや残した和訳にしました。日本語にない、日本語らしくない言い回しが多く出てくることになります。プロの翻訳家の和訳を楽しみたい方は是非ロンドンでの25周年記念公演のDVDを手に入れてください。

(ルフェーブルから背景が描かれた幕が落下したことについて問われたブケは・・・)

BUQUET(ブケ)
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Please, monsieur, don't look at me: As God's my witness I was not at my post. 私を見ないでください。神様がご覧になっていましたが、私はそこにいませんでした。
Please, monsieur, there's no one there: and if there is, well then, it must be a ghost… そこには誰もいませんでした。もしいたなら、それは幽霊にちがいないです。
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MEG:(メグ・ジリー、上を見上げて)
He's there, the Phantom of the Opera... オペラ座の怪人がそこにいるんだわ。(※phantom とは幻想、蜃気楼、得体の知れない人物、幽霊という意味。実際に後に Opera Ghost という言われ方もしているが、一般的な邦訳「怪人」を使うことにする。)

FILMIN:(フィルマン)
Good heavens! I have never known such insolence. とんでもない。今までこんな無礼なことはなかった。

ANDRÉ:(アンドレ)
Signora, please. These things do happen. 落ち着いてください。こんなことはよくあることです。

CARLOTTA:(カルロッタ)
These things do happen? You have been here five minutes! What do you know? Si! These things do happen, all the time.
よくあることですって? あなた方はここに5分しかいないのよ。何を知っているの? そう、こんなことはいつも起こっているの。
For the past three years, these things do happen. And did you stop them happening? No! And you …
この3年間こういうことが起きているわ。(そしてルフェーブルに向かって)で、あんたはそれを起こらないようにしたの?
You’re as bad as him. These things do happen.
(次にアンドレたちに)あんた方だって彼と同じく役立たずよ。実際こんなことが起こるんだもの。
Well, until you stop these things happening, this thing does not happen!
で、あんた方がこんなことが起きないようにするまで、このこと(自分が出演すること)はなしにするわ。

(カルロッタ、肩から前方に巻いていたステージ用ストールを後ろに投げ捨てるように外す。)

CARLOTTA:(カルロッタ、ピアンジにイタリア語で)
Ubaldo! Andiamo! ウバルド、行きましょう!

PIANGI:(ピアンジ、小走りでカルロッタの後を追うが、途中でわざわざ引き返し、アンドレとフィルマンに向かって言う)
Amateurs! ド素人めが!(再びカルロッタを追う)

LEFÈVRE:(ルフェーブル)
I don't think there's much more I can do to assist you, gentlemen. Good luck. If you need me, I shall be in Frankfurt.
お二方、私にはこれ以上お助けできることがあるとは思えません。幸運を祈ります。何かありましたら私はフランクフルトにおります。

ANDRÉ:(アンドレ)
But Monsieur … でも、ルフェーブルさん…

LEFÈVRE:(ルフェーブル、周囲の人々に)
Move, please. Out of the way. どうか、道を開けて。(と言ってその場を去る)

ANDRE:(アンドレ、気を取り直すように)
La Carlotta will be back. カルロッタは戻って来るさ。

GIRY:(マダム・ジリー)
You think so, Messieurs? I have a message, sir, from the Opera Ghost.
そうでしょうか?私はオペラ座の幽霊(怪人のこと)から手紙を預かっています。

FIRMIN:(フィルマン)
Oh, God in heaven, you're all obsessed! いやはや、皆憑りつかれている。

GIRY:(マダム・ジリー)
He merely welcomes you to his opera house and commands you to continue to leave Box Five empty for his use and reminds you that his salary is due.
彼(怪人)は単にあなた方を彼のオペラ・ハウスに歓迎しているんです。そして彼が使えるように5番のボックス席をずっと空けておくようにと要求し、彼に給料を払うことは義務だと言っています。

FIRMIN:(フィルマン)
His salary? 彼の給料だって?

GIRY:(マダム・ジリー)
Monsieur Lefèvre paid him twenty thousand francs a month. Perhaps you could afford more, with the Vicomte De Chagny as your patron.
ルフェーブルさんは彼に毎月2万フラン払っていました。多分、パトロン(金銭的支援者)がシャニュイ子爵なら、お二人はもっと払えるでしょう。

ANDRÉ:(アンドレ、マダム・ジリーに)
Madame, I had hoped to have made that announcement myself.
マダム・ジリー、そういった発表(シャニュイ子爵が支援者であること)は私自身がしたかったです。

GIRY:(マダム・ジリー、フィルマンに)
Will the Vicomte be at the performances tonight, monsieurs? 子爵は今夜公演に来られるのですか。

FIRMIN:(フィルマン)
In our box. 我々のボックスにね。

ANDRÉ:(アンドレ、マダム・ジリーの腕を取ろうとする動作と共に)
Madame, who is the understudy for the role? マダム・ジリー、(カルロッタの)代役は誰ですか。

(マダム・ジリー、冷たくアンドレの手をかわす)

REYTR:(レイエ)
There is no understudy, monsieur - the production is new. 代役なんていませんよ。新作ですから。

MEG:(メグ・ジリー、クリスティーンの手を引きながら)
Christine Daaé could sing it, sir. クリスティーン・ダーエが歌えます。

FIRMIN:(フィルマン)
A ballet girl? バレリーナの?

MEG:(メグ・ジリー、フィルマンに)
Well, she's been taking lessons from a great teacher. ええ、偉大な先生のレッスンを受けているんです。

ANDRÉ:(アンドレ)
Oh, from whom? ん、誰の?

CHRISTINE:(クリスティーン、不安げに)
I don't know, sir. 分かりません。

※ミュージカルではクリスティーンが歌のレッスンを受けてきた経緯が全くと言っていいほど省かれている。ガストン・ルルーの原作では、クリスティーンはかなり長い期間、怪人が誰であるのか分からないまま、ほぼ毎晩、夢遊病者のようになって怪人に歌のレッスンを受けていた。怪人はクリスティーンの才能を見出し、彼女をプリマドンナに、そして自分のものにすべく全力を傾けて指導しており、オペラ座にさまざまな災いを起こすことによってカルロッタを追いだし、彼女が主役になるための機会を整えようとしているのである。

FIRMIN:(フィルマン)
Oh, not you as well! 君じゃダメだ。(そしてアンドレに) Can you believe it? 信じられるか?
A full house - and we have to cancel! 全席キャンセルだ!

ANDRÉ:(アンドレ、手招きして)
Daaé? That’s a curious name. Any relation to the violinist? ダーエ?珍しい名前だ。バイオリン奏者と何か関係は。

CHRISTINE:(クリスティーン)
My father, sir. 父です。

GIRY:(マダム・ジリー)
Let her sing for you, Monsieur. She has been well taught. 歌わせてやってください。よく教えを受けています。

ANDRÉ:(アンドレ、 間をおいてから)
Very well. よろしい。

REYER:(レイエ)
Oh, from the beginning of the aria then, mam'selle. Gentlemen, please. (クリステーンに)では、アリアの最初から。(アンドレ達に)皆さんお聞きください。

(メグ・ジリー、カルロッタが使っていたケープをクリスティーンに手渡す。ピアノからメロディーが流れ、クリスティーンはおずおずと歌い出す。)