あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

続きが待ち遠しい!

2022-04-27 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『きたきた捕物帖』を読みました。
安定の時代物。しかも宮部さんが「ライフワークにしたい作品」とおしゃっているくらいの熱の入り方。読む前から期待しかありませんでした。そしてその期待をサラリと上回る読後感。いや~、恐れ入りました。

江戸深川。岡っ引きの見習いでしかなかった北一は、親も同然の千吉親分を亡くし、親分の本業だった文庫(本や小間物を入れる箱)売りで生計を立て始めた。文庫売りと同時に、事件や不思議な出来事の謎解きも北一が関わることにもなり、後に相棒となる喜多次や、千吉親分のおかみさんたちの助けを得て解き明かしていく。

まず記しておきたいのは、宮部作品ファンには嬉しい仕掛けが施されているところ。例えば、主人公である北一が住んでいるのは『桜ほうさら』の古橋笙之介が住んでいた富勘長屋の同じ部屋。となると、大家の富勘も登場するし、太一たちも出てきます。
それプラス、宮部さんの時代物の一番の魅力といってもいい、人間の業をシビアに描きながらたっぷりの人情も描かれます。ただただ綺麗にまとめるお話ではないことがわかります。現実にだって本当に憎ったらしい人物に会うこともあれば、怒りで爆発しそうになるくらいの悪意もあちこちにありますから。江戸時代も現代も同じです。
そんな黒い部分をスッと救ってくれる人物もいます。例えば、亡くなった仙吉親分のおかみさん・松葉さん。松葉さんは目が不自由なんだけど、目が見えない分、気配だとか音だとか匂いだとかで真相を見通す力が備わっています。その松葉さん大活躍の「冥土の花嫁」は痛快です。

本当に面白くて、多分、私は読みながらすごくいい表情をしていたと思います。そのくらい楽しく夢中で読みました。
すでに続きが楽しみでしかありません。何せまだこの時点で喜多次が北一の相棒になっていませんから。早く続編を文庫化してくれないかな~。

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