あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

愉快の詰め合わせ

2025-02-14 | 本(文庫本)
伊坂幸太郎さんの『ペッパーズ・ゴースト』を読みました。ずっと伊坂作品を読んでいる人にはたまらない、実に愉快で爽快で、好きにならずにいられないお話でした。

中学の国語教師・檀は、飛沫感染からその人の少し先の未来が少しだけ見えるという不思議な能力を持っていた。ある日、受け持つ生徒の「明日」を見てしまい、そこから謎の集団とかかわるようになる。さらに女子生徒が書いた小説の中に登場するネコジゴハンターのアメショーとロシアンブルが目の前に現れ、彼らと一緒に世界と自分自身を救っていく。

まず愉快だったポイント。女子生徒が書いた小説に登場するネコジゴハンターのアメショーとロシアンブルのコンビ。
伊坂さんの作品にはよく「コンビ」が登場します。大抵ちょっと危ない人たちなんだけど、今回も「猫を虐待する人を探して制裁を加える」というミッションを抱えています。やっていることは人の道に外れているけど、とにかく良いんです。
しかもこの二人、本来は小説の登場人物であって、現実にはいないはず。でもいる。壇と一緒にでかいことをしてのけるのです。ああ愉快。

愉快ポイントその2。壇が持っているちょっとだけの特殊能力。この「ちょっとだけ」が妙にリアルで心地よいのです。
これまでも伊坂作品には、じゃんけんに絶対負けない能力を持っていたり、念力で少しだけ物を動かすことができたり、握手をすると相手の時間を少しだけ奪うことができたりするキャラクターが出てきました。この「少しだけ」の感覚が実に小気味よい。でっかい「特殊能力」では嘘くさくなりますから。

愉快ポイントその3。伊坂作品の中でトップ5に入るくらい好きな『ガソリン生活』の緑のデミオが出てくるところ。デミオが出てきたとき、すぐにあのデミオだとは気づかないで、ちょっと先まで読んで「あ、デミオ。お前はあのデミオ!」っていきなりテンション爆上げになったくらいです。

本当に愉快な作品で、幸せな気持ちになれました。


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