あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

何で?

2014-10-13 | 本(文庫本)
奥田英朗さんの『無理』を読みました。
わりとサラ~ッと読めた長編でしたが、これまでに読んだものの中でも上位にランクインするくらい「何で?」な作品でした。長編を読み終えて「何で?」って……。

市町村合併で誕生したばかりの地方都市、ゆめの市。ここで暮らす5人(身勝手な市民に嫌気がさしている職員であるケースワーカー、詐欺まがいの商品を売る暴走族上りのセールスマン、新興宗教にのめり込むスーパーの保安員、近く県議会議員選挙に出るつもりの市議会議員、東京の大学へ進学することを夢見ているがオタクに誘拐されてしまう女子高生)それぞれの日常。暮らしているのは「ゆめの」なのに、未来に希望が描けない状況。それが転じることはあるのか?

文庫本の帯に「この物語には、夢も希望もありません」とありましたが、その通りでした。
5人の市民の様子が交互に語られ、それがず~~~~~~~っと続いて、さて「どこに着地するのか?」と思いながらのラストが「ここ? 何で?」でした。
つまり、「夢も希望もない」複数の物語が650ページ以上に渡って語られ、5人の結末(着地点)にも「夢も希望もない」のでした。
確かに、この話は小説というよりもある意味「ドキュメンタリー」なのかもしれません。今の現実の日本社会なんて、このくらい歪んで汚く暗いものなのかもしれない。
じゃあ、自分も彼らのような人生を辿るしかないのか、と言われたら、私は全力で否定しますよ。悪あがきだと言われたとしても、全力で悪あがきますよ。楽しくならない状況に我慢なんて、絶対にしないからあがきます。
 
作者がどうしてこの作品を長編にしたのかも含め、本当に「何で?」な作品でした。文庫本の帯にあったそのほかの文言、「でも笑える、面白い」と「寝不足、必至!!」と「一気読み、必至!!」も「何で?」でした。
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