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あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

重耳外伝

2008-05-20 | 本(文庫本)
去年のかつてないほど充実した「読書の秋」から読み始めた宮城谷昌光作品。その前に『三国志』がマイブームなときがあったにせよ、さらに時代をさかのぼって、中国古代史をモチーフにした小説にこれほどはまってしまうとは、正直なところ、まったくの「予想外」でした。
最初の出会いは『重耳』。最初に出会った作品によって、その後、その作家の作品を読み続けるかどうかが決まると思うのですが、宮城谷作品との出会いが『重耳』だったから、現在もまだ作品を追いかけることになってるのだと思います(もし最初の出会いが直木賞受賞作だったら、その後はなかったかも…)。昨年末に購入した文庫本棚も、既に1段分は宮城谷作品で埋まってしまいました。
『重耳』については以前紹介しました。今回は『重耳』のアナザーストーリー。晋の名君・重耳やその子孫を支えた人々が、どれだけ魅力的であったのかが、これらの作品を読むと、滲みるようにわかります。

『孟夏の太陽』は、時代を追った4つの物語で構成された短編集。重耳を支えた宰相・趙衰の息子、趙盾の物語からスタートし、趙家の興亡を描いた作品です。春秋時代から戦国時代へ移っていく様を、趙家を通して見るという、古代史の面白さを味わえました。
『沙中の回廊』の主人公は、晋の君主となった重耳に見出され、後に宰相となり名兵法家と呼ばれた士会。重耳亡き後、覇権を楚に奪われた晋が、どのように立ち直っていくかが描かれます。『孟夏の太陽』の趙盾と、この作品で描かれる趙盾の印象が、かなり違っているところも面白かったです。
そしてこの中でお気に入りなのは『介子推』です。
重耳が諸国をさまよって飢えに苦しんでいたときに、重耳のためだけに食糧を確保したり、最強の暗殺者から重耳を守ったのが棒術の名手・介子推。しかし重耳が晋の君主となって以後、介子推は自分の信念に従って忽然と姿を消します。何故彼が姿を消さなければならなくなったのか、その状況と彼の心の動きようがせつなくもあり、すがすがしくもあり、実に「深い」のです。
重耳の命を狙う暗殺者・閻楚と介子推との闘いはアクション映画を見ているようなスリルを味わえるし、サブキャラも魅力的だし、主人公・介子推は文句なくカッコイイ! 『孟嘗君』の白圭の次に惚れちゃったキャラでした。

さて、次の宮城谷作品は何を読みましょうか。
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2 コメント

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続いてたのね~ (ハナキャップ)
2008-05-22 09:34:11
スバラシイ! もう私の知らない域に入っちゃってます。
知ってる話も、もう一度ここで反芻して楽しめちゃって、なんか牛みたい… でもお得な気分。 
後は、ほんの少し前の時代の‘楽毅‘なんかいかがでしょう?
ただ、確か切ない話だった記憶が… 
でも‘重耳‘を薦めてくれた義兄がコレも面白いと言ってたので読んだような…
私もだいぶん忘れてるわー 再度、宮城谷ワールドの住人になるか・・・
勇気が要るのよねー、面白過ぎて、他の事なぁんにもしたくなくなっちゃうから。
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ハナキャップさん (とみ)
2008-05-22 23:17:39
「面白すぎて、他の事なぁんにもしたくなくなるから、勇気が要る」っていうの、わかるわ~。
でも実は「途中でしおりを挿んで読むのを中断する」というのにも「勇気が要る」ので、
どうせ「勇気」が必要ならば、読んじゃった方がなんじゃない?
宮城谷さんの小説に関しては、ハナキャップさんに感謝・感謝だよ。
次は『楽毅』に行かせていただきます!
返信する

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