伊坂幸太郎さんの『クジラアタマの王様』を読みました。
この夏のあまりの暑さに本を読む気力もなくなりそうでしたけど、伊坂さんの文庫新刊ですから、いつも通り、楽しく読了です。
製菓会社の広報担当・岸。岸の会社の新商品が縁でつながった都議会議員の池野内と、人気ダンスグループのメンバー・小沢。実は3人は過去に同じホテル火事の経験者だったことがわかり、そこからパーティーを組んで現実と仮想世界で立ちはだかる「敵」と戦うことになる。彼らが仮想世界の「敵」に負けてしまえば、現実でも悪いことが起きてしまう。現実と仮想世界の境目がわからなくなってしまうようにもなって……。
パラレルワールドもので、一瞬、私の苦手な「ファンタジー」のジャンルなのかと身構えました。でも確かにファンタジー色を感じなくもなかったけど、ストーリーとしては現実世界がしっかり作られていたので、全然いつも通りの伊坂作品。洒落た会話と、見逃してしまいそうなことでもしっかり伏線回収してしまう伊坂マジックが健在でした。
本作での注目点は、台詞のない漫画イラストが挿入されているところでしょう。冒頭からいきなり漫画で始まるというのは「どうなの?」と思ったのですが、これがとてもよいのです。イラストのテイストが作品にとても合っているし、読者をすんなりと仮想世界へ導いてくれるのです。この新しい試み、川口澄子さんのイラストを見るだけでも楽しくさせてくれます。
そして驚かされたのは、リアルな今の状況とリンクしている部分が描かれているところ。
この作品が単行本で刊行されたのは2019年で、まだコロナ禍で大騒ぎする前です。でもこうなってしまった今読むと、現実に起きていることと同じことが作中で起きていることに驚かされます。
タイトルの「クジラアタマ」ですが、これはラテン語でのハシビロコウのことだそうです。「クジラアタマ」。確かにクジラみたいなデカい頭だ。
滅多に動かないハシビロコウなんだけど、本作で出てくるハシビロコウは動く。ある意味動きすぎだと思うくらい動きます。ハシビロコウ好きとしてはここはちょっと納得できないポイントでした。
でもそんなことよりも、伊坂さんの新しい試みを素直に楽しんだもの勝ち。そんな作品でした。
この夏のあまりの暑さに本を読む気力もなくなりそうでしたけど、伊坂さんの文庫新刊ですから、いつも通り、楽しく読了です。
製菓会社の広報担当・岸。岸の会社の新商品が縁でつながった都議会議員の池野内と、人気ダンスグループのメンバー・小沢。実は3人は過去に同じホテル火事の経験者だったことがわかり、そこからパーティーを組んで現実と仮想世界で立ちはだかる「敵」と戦うことになる。彼らが仮想世界の「敵」に負けてしまえば、現実でも悪いことが起きてしまう。現実と仮想世界の境目がわからなくなってしまうようにもなって……。
パラレルワールドもので、一瞬、私の苦手な「ファンタジー」のジャンルなのかと身構えました。でも確かにファンタジー色を感じなくもなかったけど、ストーリーとしては現実世界がしっかり作られていたので、全然いつも通りの伊坂作品。洒落た会話と、見逃してしまいそうなことでもしっかり伏線回収してしまう伊坂マジックが健在でした。
本作での注目点は、台詞のない漫画イラストが挿入されているところでしょう。冒頭からいきなり漫画で始まるというのは「どうなの?」と思ったのですが、これがとてもよいのです。イラストのテイストが作品にとても合っているし、読者をすんなりと仮想世界へ導いてくれるのです。この新しい試み、川口澄子さんのイラストを見るだけでも楽しくさせてくれます。
そして驚かされたのは、リアルな今の状況とリンクしている部分が描かれているところ。
この作品が単行本で刊行されたのは2019年で、まだコロナ禍で大騒ぎする前です。でもこうなってしまった今読むと、現実に起きていることと同じことが作中で起きていることに驚かされます。
タイトルの「クジラアタマ」ですが、これはラテン語でのハシビロコウのことだそうです。「クジラアタマ」。確かにクジラみたいなデカい頭だ。
滅多に動かないハシビロコウなんだけど、本作で出てくるハシビロコウは動く。ある意味動きすぎだと思うくらい動きます。ハシビロコウ好きとしてはここはちょっと納得できないポイントでした。
でもそんなことよりも、伊坂さんの新しい試みを素直に楽しんだもの勝ち。そんな作品でした。