あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

青春小説の傑作

2010-09-27 | 本(文庫本)
荻原浩強化月間3冊目。『四度目の氷河期』を読みました。
タイトルにもしましたが、この作品、青春小説の傑作だと思います。決して派手な展開はないけれど、ジワ~ッと沁みます。
とくに女子よりも男子に読んでほしい作品です。男子が読めば共感しまくりになるだろうし、オトナの男性が読めば、かつての自分がそこにいるような感覚でキュンキュンしながら読めるのではないでしょうか。

思春期の頃「自分は特別なのではないか?」と考えたことはありませんか? 人とは違うことにコンプレックスを持ったり逆に優越感に浸ったり。
この物語の主人公「ワタル」もそうです。しかし彼の場合は、何故か「自分の父親はクロマニヨン人」と激しく思いこみ、コツコツと石器を作ったり、クロマニヨン人らしい生き方をしようとします。しかも本気で!
たぶん男の子だからここまで思いこめるのだろうと、読み進めながら考えました。女の子よりも男の子の方が、絶対に無邪気で「こども」なんです。たとえば3歳くらいの女の子はプリキュアのコスプレをするだけで満足するけど、男の子は正義に味方になって本気で地球の平和を守ろうと考える。ヒーローに変身できないのに…。地球の平和を守る前にママに叱られたら泣いちゃうのに…。
そんな感覚が、実は思春期を迎えても男の子にはずっと残っているのかもしれない。この作品を読んで、ふとそう考えました。それは決しで嫌なものではなく、どこか微笑ましく、気恥ずかしく、ちょっと羨ましいような、そんな気持ちです。

幼少時からすっと「自分は何者か?」と考え続けてきたワタルが18歳を目前にして得た答えは、きらきらと「生」に溢れているものでした。すごく爽やかな読後感を得た作品でした。
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