あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

サヨナラダケガ…

2008-03-27 | 本(文庫本)
桜が咲き始め、次の「桜日記」をお届けする頃には満開になっているでしょう。桜の便りの頃はまた、いろんな便りも舞い込むことが多い季節です。
私にとってのこの春の嬉しい知らせは、例の「東大なんて簡単に入れるんだよ、ワハハハハハハ~」の、『ドラゴン桜』を信じきっている甥っ子が、無事、第一志望の高校に合格したというものでした。甥っ子にとっては、高校入学の前に、中学まで同じ学校に通っていた何人かの同級生たちと、別々の高校に進むことになる「別れ」を経験したことになります。私も小さいものではあるけれど、「どうぞいつまでもお元気で」と思いながらの「別れ」もありました。

「別れ」で思い出すのが、「さよならだけが人生だ」という言葉。この言葉だけだと「別れ」に対してどことなく投げやりな感じを受けたりしますが、実はそうではないと知ったのは、そんなに前のことではありませんでした。
「さよならだけが人生だ」は、井伏鱒二が漢詩を訳したものの中に出てきます。

 勧 酒
  コノサカズキヲ受ケテクレ
  ドウゾナミナミツガシテオクレ
  ハナニアラシノタトヘモアルゾ
  「サヨナラ」ダケガ人生ダ

8世紀、唐の漢詩人、干武陵(ウブリョウ)作の漢詩 「歓酒」を、井伏鱒二が意訳したもので、もとの漢詩は、

 勧 酒
  勧君金屈巵 (君ニ勧ム金屈巵(キンクツシ・金の盃))
  満酌不須辞 (満酌辞スルヲ須(モチ)イズ)
  花発多風雨 (花発(ヒラ)ケバ風雨オオシ)
  人生別離足 (人生別離足(オオ)シ)

というものなのだそうです。
「人生には別れがつきものだ」の言葉の中には「さあ、別れをくよくよ思ったりせず、今は酒を飲み干そう」という意味合いがあるようです。
交通機関が発達しているわけもない8世紀の頃は、友が遠くへ旅立って行くと、もう二度と会えないことになる可能性のほうが大きかったでしょう。だから別れの際、万感の思いが溢れるものだったでしょう。
しかし今は、遠くに住むことになった友人に、再び会えないなんてことは、よほどの理由がない限り、ありえないのではないでしょうか。そう思えば、悲しい別れなんてないのかもしれません。
今までのように気軽に会ったりできなくたって、ずっと友だち。だから「またね!」と言って見送ることもある春です。
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4 コメント

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Unknown (なおきちどん)
2008-03-27 21:47:20
まずは、甥っこさん高校合格おめでと~ございます
いいねぇ、高校生かぁ。
も1回やってみたいかも…試験がなけりゃ

とみさんもお別れあったんだね。
今と昔じゃひと言でお別れって言ってもずいぶんと意味が違うよね~。
でも、別れが悲しいばかりじゃないのは今も昔も同じだね。
原文の漢詩…返り点をどこに入れようかと焦ったのは、詰め込み教育受けたせいかしら

とみさんとは、分かれの盃じゃなく出会いの祝杯をあげたいですわ
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なおどんさん (とみ)
2008-03-30 01:18:53
お返事遅くなりすぎました
甥っ子へのメッセージ、ありがとうございました。ホントにね、良いよね高校生
私は小学生の頃から「早く社会人になりたい!」と思っていたので、高校生に戻りたいとは思わないけど、
あの「ぴちぴちの肌」に戻れるなら、試験くらい我慢するぞ!

私の場合「お別れ」と言うか、お世話になった方が定年退職された、ってことなんだけど、
やっぱり「またね!」の感覚で「お疲れ様でした」って言えました。
「出会いの杯」ね…。ワシ、呑めないけどOK?
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さよならだけど さよならじゃない~♪ (ふうちゃ)
2008-03-30 22:30:02
甥っこ君 高校合格おめでとうございます~
わたしの甥っこも 今年高校合格で ホッとしています
携帯電話を買ってもらえたのが とってもうれしかったようです

わたしも もう一度高校生にもどれたらなぁ~と 思う事もありますが 今でも時々 「テストの結果が悪くて 単位が足りない!」っていう夢をみるてうなされることもあります

子供が はじめて地元を離れて ひとりぐらしをした時 親の方がちょっと ウルウルきてしまいました
「さよなら」じゃないのにね
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ふうちゃさん (とみ)
2008-03-31 00:01:53
ふうちゃさんの甥っ子ちゃんも、高校合格おめでとうございます
「オバちゃんと一緒にお風呂入る~」って言っていた子が高校生…。私もヴィンテージになるはずです
しかし最近のガキ、…じゃなくて、お子さまたちはどうしてあんなに携帯電話を欲しがるんですかね?
ウチの甥っ子も既に持っていて、先日メアド交換しちゃいました。

私は親になったことがないので、子供が独立するときの親の感覚の正確なところはわからないけど、
ふうちゃさんの話、グッとくるものがありますね
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